道行三人だけど同行二人それぞれに
年に一度、我が家は家族で海に潜る旅に出る。
お盆の私の誕生日は毎年暑いくらいに晴れるから
今年は、私の誕生日を出発の日にした。
ギリギリまで晴れ予報だったのに
当日はよくわからない、聞いたこともない前線が停滞していて大雨の予報に変わっていた。
挙句にコロナ騒ぎもマックスで。
それでも話し合った結果進んでみようとなって出発した。
しばらくすると、道は行く道行く道、通行止めとなった。通る川がどれも溢れる寸前で、空も鈍い色だったのが印象的だった。なんだか、世の中は大変なことになっているけれど、私達家族がまるごと大気と一体化したみたいだなと思った。
残されたたった一つの峠を越えて、いつもの陸の孤島についた時は日が暮れていて、客も我々だけだった。貸切だった。当たり前だ、みんなキャンセルしたらしい。
夫と娘が、刺身の舟盛り越しにバースデーソングを歌ってくれた時、なんだかクスリとわらってしまった。
寝巻きに着替えた夫の背中をみてまたクスリと笑ってしまった。
空海のお経が書いてある。
南無大師遍行金剛。同行二人。
弘法様がいつも見守ってくださるというお遍路さんへのメッセージTシャツを図らずも着ていたのだ。
次の日もあいにくの雨だったが、降り方がやさしかったので、いつものスポットへ向かってみる。
駐車場のおじさんに、海に入るのか?と聞かれ、入るつもりできたが、調子はどうだ?と聞くと
エライ!! と一言笑顔でいわれ
入ることにした。ライフセーバーさん達以外、海水浴客も数人しかいない。ほとんどまた、貸切だ。
外は肌寒く、しとしと雨なのに、海中は驚く程透明で
いつもは見られない種類の魚や群れが沢山いて、なんだかやっぱり海と一体化したような気持ちになる。あんまりにも透明なので、海中にいる大きな鯛を追いかけるために、娘は初めて自分の背丈の倍以上もぐるようになった。海と空が同じ色で、海に浮いてるのか空にういてるのか、わからない。
海からあがり、帰路につこうと車にのると、いきなり車の警告灯がいくつもついてしまう。
重大な事故につながる恐れがあるので販売店へ。
宿へ戻るも、ディーラーは休みだし、レッカー車は手配できても、僻地すぎて乗り捨てのレンタカー屋さんが手配できないとなり、自動車工場でエンジンまわりをみてもらうも、異常がわからないとなる。
またまた家族で会議の結果、そのまま乗ることにした。
行くか戻るか
乗るか捨てるか
入るか入らないか
進むか止まるか
そんな、決断の連続の旅だった。
1人なら、全部反対の選択をしたと思う。
家族3人で出した選択は、どれもハートに従った選択だった。どれも後悔はない。
自宅に戻って、今朝エンジンをかけてみると
警告灯は全部消えて、元に戻り、空はピカピカの夏に戻っていた。
同行二人。
大切なこの夏のメッセージとなった。
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