29歳、2児のオカン、自分の化粧品と服を買った話
20〜24歳ぐらいまでの私は、私のことが大好きでした。(とんだ始まり)
毎日YouTubeやインスタで見るのは新しいコスメや流行りの服の投稿だった。
毎月、化粧品に2万円、服に2万円、美容室に1万円、エステや基礎化粧品に1万円、美容費だけでトータル6万円ぐらいかけていた、あの頃の私は可愛かった。(美醜の観点の意味合いではなく、自分にウキウキしているそのマインドとかが、みたいな意味で)
ずっと実家暮らしだったし、自分に使えるお金も時間もたっぷりあった、とは言える。いやそのあいだに貯金しとけよという話ではあるんだけど。
昨日は、オカン1人時間の1日だった。
夫が子供2人を連れて出かけてくれたあと、なんとなく「新しい化粧品が買いたい」と思って、街中のロフトまで電車で行った。
自分の荷物だけを持って、誰も抱っこせず誰の手も繋がず、自分が好きな速度(せっかち)で、身軽に街中を歩ける幸せ。
自分による自分のための買い物を時間かけてできる幸せ。
お子の荷物を持ってお子を抱っこしお子と手を繋いでお子のおやつを買いに行く幸せ(これも確実に幸せ!)とは、また全然違ったホルモンが出ている気がする、なんかそういう幸せ。
前述したように自分による自分のための買い物はもともと大好きマンなので、独身のときも大好きな時間だったけど、結婚して子を持つとこの時間の貴重さがプラスされて、さらに大好きな時間になった。
定期的にオカンに1人時間をくれる夫とじーじばーばたちよ、ありがとう。
ところで、買う気がある日に覗くロフトのコスメ売り場ってどえれぇ楽しさがあります。
しばらく化粧品を買っていなかった。
いや、ちょこちょこは買っていたけど、「そろそろアイブロウないな」とかそういう必要不可欠的な理由での買い物ばかりで、「なんか新しい化粧品が買いたい」という娯楽目的での買い物ではなかった。
コスメやメイクへの知識のアップデートは、子育てが始まったこの4年のうちに止まってしまった。
子供の顔や服にファンデーションがついてしまうと嫌だし、子供とお昼寝するときに布団につくのも嫌だし、そもそも家事育児に追われすぎて化粧に時間はかけられず、その時間あったら寝たいし、化粧品に興味深々(新しいおもちゃかなんかだと思ってる)で寄ってきてメイクブラシで太鼓しだす3歳1歳がいると結局時間はかけられず、そもそものそもそも、綺麗に化粧をして出かけたいデートや推しの現場みたいなイベントも全くなかった。
物理的な距離ができると次第に心理的な距離もできてきて、あれだけ大好きだったのにもう興味もほとんどなくなってしまった。あれだけ大好きだったのに!
そうこうしていると、20代前半から30歳目前になった。
お子の授乳が終わり、保育園に通ってくれるようになり、共働きに戻り夫が1人時間をくれるようになって、なんとなく時間に余裕ができてきた。
物理的な距離がちょっとなくなったので、心理的な距離もちょっとなくなって、「なんか新しい化粧品が買いたい」気分がやっとまた出てきたのである。
この4年のうちに、似合うコスメも時代の流行りもすっかり変わってしまった。ブランク4年はまぁまぁでかい。
化粧品売り場に行っても正直「今の私は何を買ってどう使えば可愛くなれるのか!?」と頭を抱えるんだけど、いやでもなんか、今日は買いたい。たぶんそういうホルモンが出ている日だった。(?)
アイシャドウ、リップ、チーク、マスカラ、ハイライト、まんべんなくいろいろ買って、合計9点、1万1000円のお買い物をした。
月曜日の朝が楽しみになるような日曜の買い物ができた。
ウキウキ!久しぶりに、自分にウキウキしてる!
化粧品を買ったら「これに合う可愛い服が着たい」と思った。
出た。買い物、無限に終わらないやつ。
前述したメイクとの距離感と同じ理由で、ファッションとも距離感あきまくりのこの4年である。
いや、服は妊娠期からだから、もっとかな。ここ5年ぐらい。
やたら痒いお腹とお股(おん)のためになるべく肌触りの良い、締め付けのない服がよかったし、産後は授乳しやすさを第一優先に前開きばっかり着ていたし、今はいかに「汚れてもいいか」「動きやすいか」を優先して服を選んでいる。
服を買っていないわけではなかったけど、だいたいGUかUNIQLOで、汚れたときの心理的ダメージが少ないやつを選んだ。
夏はTシャツ、冬はスウェット、ボトムスはジムウェアみたいなスパッツにスニーカーが一番最高!みたいな感じ。
お子1と手を繋ぎ、お子2を抱っこして、3人分の荷物抱えて階段昇降するのにも、イヤイヤ期でそのへん寝転がるお子を抱えてサッとその場を立ち去るのにも、オカンの足捌きのしやすさってめちゃくちゃ大事なのである。
そんなこんなで、久しぶりに街中の服屋さんに入った。
メイクと同じく、「今の私は何を買ってどう着れば可愛くなれるのか!?」と頭を抱えるわけだか、なんか服はマジでメイク以上にわからなくなっていて、マジでわからなかったので入ったもののいったん出た。
でもやっぱ「なんか買いたい」っていうそういうホルモンが出ている日だったので(そういうホルモンとは)、また入店して、これ可愛いなーというニットベストとロングスカートを見つけた。
えー、とても可愛い。
可愛いけど、これに合わせられそうなカバンも靴も持っていない。買うならトータルコーディネートで買うしかない気がする。
ふと冷静になり、待って、今日って何の日だっけ?となって、別に何でもない日だったので、やっぱり何も買わずにもう一度店を出た。
いったんお茶休憩をした。
でもやっぱりさっきのニットベストとロングスカートが気になって、またお店に戻った。(出たり入ったりキモい客でほんとすみません)
三度目の入店なのでさすがにもう買う気を持って入店した。
「これ着てみてもいいですか?」と店員のお姉さんにニットベストとロングスカートを見せながら、フィッティングルームに入るのも何年ぶりだろうとぼんやり思った。
Tシャツとジムウェアスパッツと踝ソックスとスニーカーを脱いで、グレーのモケモケのニットベストと、テロッとした光沢のあるベージュのロングスカートを履いた。
…え、まって、かわいい!!私これとてもよく似合う!!!(自意識の塊)
試着室のカーテンを開けたら、店員のお姉さんが「これ履いてください」とキラキラのパンプスを出してくれた。
「可愛いですよね」お姉さんとニコニコ笑い合いながら会話。
「これに合うパンプスって他にもありますか?」
「これに合うカバンってありますか?」
「ちなみにバングルとかって…」
5年の空白期間により意思を失ったオカン、お姉さんにガン頼り。
「何かご予定があるんですか?」と聞かれた。
「来週末、夫とデートなんです」と答えて、答えたあとに、そうだった、夫とデートなんだった、と思い出した。
結婚式をした式場で、ちょっとオシャレなビアガーデンをしていて、それに行くことにしていた。
子連れでもOKだったけど、「預かってもらえたほうがゆっくり食べられていいよね」という理由で、子供2人は実家が見てくれることになっていた。
いつぶりだろう?完全にデート。しかも夜の。しかもちょっとオシャレな。
こんな可愛いお洋服を、思う存分着ていける現場がもうすぐあるじゃないか!と気づいたのでもう無敵である。買います。買いました。
結局、ニットベストとロングスカートとパンプスの計3点、トータル3万円のお買い物。
コスメと合わせて4万円ちょい。まって、今日って何の日?まぁこういう日もたまにはあっていいか!(自己解決)
シルバーのカバンも可愛かったけど、結婚指輪と数年前に夫から貰ったネックレスがゴールドなことを思い出して、組み合わせを考えてやめた。
結婚指輪もそのネックレスも、宝の持ち腐れ状態で、今の服装に合わないのでもうほとんどつけていなかった。けど、来週末、それはつけたいな。せっかくだし。
服屋さんのお姉さんが「素敵なご予定にうちのお洋服を選んでくれてありがとうございます。素敵な日になりますように」と言ってくれて、なんだかそれもよかった。
「旦那さん、喜んでくれるといいですね」とかじゃないのが、よかった。
メイクもファッションも、私による私のための武装である。
そりゃ、可愛いって思ってくれたらもちろん嬉しいけど、それ以上に、自分が自分を可愛いって思っているその瞬間を大事にしたい。自分による自分のための買い物だ。
ちょっと話変わるけど(話の飛び方女子)、今期の『海のはじまり』というドラマが好きで、毎週見ている。
子育て中オカンにじんわり刺さるエピソードや台詞が多くて、考えさせられたりあったかい気持ちになったりして、とにかく好き。
先週の回も好きだった。
1人で子育て中の水季が、職場でいい雰囲気になった男性と2人で出かける約束をして、実家に娘を預けた日。実家の母が、娘の様子を見て、言われなくともデートの予定なんだろうなとやんわり気づき、「子供のこと忘れていい日もあるよ」と声をかけるシーン。
あぁーーーーーーーー、という。そうだよ、そうなんだよね、という、あぁーーーー。
その後の水季の心の葛藤も、あぁーーだし、ラストシーンで子供の父親(勝手に産んでるから子供いること知らない)は新しい彼女を作ろうとしていて、あぁーーだし、もういろんな、あぁーーー。
お母さんだって、子供のこと、忘れていい日もあるのだ。
自分のために、自分の買い物をしていい日もある。
来週末の我が家のデートは素敵な日になるのかな。
これで喧嘩でもして帰ってきたら笑ってください。(あるあるすぎ)