居場所
「こんにちは、いつもありがとうございます!」
そう私を見て声をかけてきてくれたのは祖父でした。
地方に住んでいる祖父の認知症が発症したのは5年程前になります。
年に数回会いに行く中で、私が訪れると「まゆ!よー来た、よー来た」と声をかけてきてくれた祖父はいつしか私の名前を呼べなくなりました。
知っているはず、だけど名前が出てこない。そんな状況に祖父自身も困惑している…様なそんな事もない様な?笑顔を浮かべていました。
日に日に進行していく症状に、フラッとお散歩に出かけるも帰り道が分からなくなる事が多発しはじめました。
日中家族がいない間に何かあれば…そんな不安からデイサービスの利用をはじめた事は聞いていました。
久しぶりに祖父に会いに行くと、丁度デイサービスを利用する日でスタッフの方が
「◯◯さん、おはようございます!今日の調子はどうですか?」と明るく声をかると
「今日は元気もりもりよ〜」
と嬉しそうに話す祖父を見たとき、
…私が見るようになった笑顔じゃない。と気づきました。
あぁそうか、やっぱり私に見せるようになった笑顔は不安を隠した笑顔だったんだなと。
そこで初めて気づきました。
知っているはずなのに…分からない。
それは本人にとって不安で、怖い事のはずなのに祖父はそれを笑って誤魔化していたのか。
家はもちろん安らぎの場所でもあるけど、
" 分からない " 事があると急にココに居ても良いのか…という不安になるかもしれない。
だけど、皆んな知らない人であり、覚えなくても良いという環境。
ココに居てもいいんですよ、と席を用意されている居場所は祖父の心の支えになっています。
そんなデイサービスのお仕事に感謝を込めて制作したロゴがこちら。
・お店の名前は「ほとり」
身ほとりという言葉から、ほとりをもらいました。
自分(身)のそばに(ほとり)にいるヒトのもう一つの場所を作りたい。
・自分の席がある/用意されている事は安心しませんか?
" ココはあなたの居場所だよ " ということを伝えたくて椅子がモチーフのロゴにしました。
・「デイサービスほとり」は風通しがよく、個人を尊重してくれる居場所だということを余白で表現
・「 ほとり 」をローマ字にした際のそれぞれのイニシャルをロゴに
デイサービスに関わらず、皆んな誰かの支えであり、知らず知らずの内に居場所を用意しているかもしれませんね。
私も誰かの支えとなり、スッと椅子を用意できる様な余裕を常に持っておきたいと。制作しながら思いました。
ロゴをご依頼いただける際は、ヒアリングを重視しております。
あなたの事、あなたの想いをしっかりとロゴに込めます。
想いを込めたロゴは、あなたが迷った時でも明るく照らしてくれると思うから。
p.s.今はもう、私の事をデイサービスのスタッフさんだと思っている祖父に今月会いに行きます。
さて、モナカが大好きな祖父に今回はどこのモナカを買って行こうか?