美少年の世界(1)寄宿舎
美少年と寄宿舎の組み合わせはよく出てきます。
それも、数えきれないくらいたくさん。
マユキも寄宿舎に住んでいます。
美少年と寄宿舎、そのルーツはどこにあるのでしょうか。
大雑把に見ていきたいと思います!
(BL的な要素を含むのでご注意ください)
1 特別な友情
「美少年」「寄宿舎」というキーワードでよく登場するのが萩尾望都と竹宮惠とかは、美少年を語るうえでも重要なバイブルとなっています。
そんな作品たちが世に出てくるのに一役買ったとされる作品が、フランスで製作された『悲しみの天使』(1964年)という作品です。舞台をドイツにしてたり、たりとちょっと古い映画ですが、現在もAmazonなどで購入可能です!
この映画は、フランスの小説家ペールフィットの『特別な友情』(1943年)を元に製作されています。ちなみに原作は翻訳されておらず、長らく読むことができませんでしたが、最近読めるようになりました(一部)!!
萩尾望都、竹宮惠子、増山法恵の三人で後の大泉サロン共同生活を送っていた頃、この映画を見てそれぞれが感じたことを作品にしたんでしょうね。
両先生とも大泉でのことについて執筆されています。竹宮惠子『少年の名前はジルベール』(2016年)萩尾望都『一度きりの大泉の話』(2021年)他にも新書や論文などで様々な方が言及されているので興味がある方はご覧ください(ショッキングな内容も含んでいますので、ご注意ください)
2 マユキのおすすめ作品
「寄宿舎」が舞台の作品でマユキが読んで面白いと思った作品を紹介したいと思います。もとなおこ先生の『ガーフレット寮の羊たち』という作品です。(全六巻 紙の本は絶版)
以下引用です。
おすすめポイント①寮(ハウス)の生徒たちの成長物語
主人公のアーリントン視点で物語が進んでいきますが、彼だけではなく寮(ハウス)で生活する生徒たちの成長を追うことができます。
ルームメイトのエピソード、上級生との関係(ファグ、ファグマスター)、他の寮との出来事など、1年分を6巻に詰め込んだ作品となっています。
BLちっくなエピソードもありますが、あくまで一部。ストーリーをちゃんと楽しみたい方に読んで欲しい作品です。
おすすめポイント② 世界観の描写
「おもに英国が舞台の時代物やファンタジーを多く手掛ける漫画家」と公式サイトで言及されているだけあって、かなり詳しく書かれています。
ウィンザー校(カレッジ)が舞台となっていますが、英国パブリックスクールの代名詞のような寄宿制の男子学校、イートン・カレッジのある地域の名前です。
「Girflethouse」 以下引用です。
全巻メッセージが異なっています。また、劇中でシェイクスピアの詩も散りばめられているので、原典を辿ってみるのも面白いかもしれません。
3 寄宿舎が登場する文学作品
海外だけではなく日本でも、寄宿舎の美少年が登場する作品がたくさんあります。東西関係なく寝食を共にすると、友情以上の何かが芽生えるのでしょうか。
森鴎外『ヰタ・セクスアリス』(明治42年発表)でも11歳の主人公と同い年の「薄赤い頬っぺたがふっくりと膨らんでいて、可哀らしい少年」が「彼等寄宿生達の及ばぬ恋の対象物」となっているなんていう記述があります(※青空文庫より引用)。
そういえば、川端康成も『少年』(昭和23年発表)という作品を書いていましたね。(昨年、2022年川端没後50年ということで初めて文庫本版が発売されたそうです)
三島由紀夫や、長野まゆみなどなど他にもたくさんあるけれど、別の記事で紹介したいと思います!!
英国のパブリックスクールを紹介する書籍は調べるとそこそこ出てきましたが、ドイツのギムナジウムに関する本は、あまりピンときたものがありませんでした。(現代の教育機関としてのギムナジウムを考察したものは多数あります。)
ちょっと難しくて分かりにくい記事だったかもしれませんが、今回はこのあたりで失礼します。またこの続きをおしゃべり出来たらと思います!
まとめ
美少年と寄宿舎はよく登場するし、バッチリな組み合わせ!!
ルームメイトが居たら起こしてくれるし、宿題も写しあいできたりして何かと便利だよ!! 力持ちの友達だったらおんぶしてくれたりも!!
マユキの本棚(参考文献 未読も含みます)
のりす・はーぜ『永遠の少年 英国パブリックスクールミステリー』角川ルビー文庫(1994年)
石井理恵子『美しき英国パブリック・スクール』太田出版(2016年)
石井理恵子『英国パブリック・スクールへようこそ!』新紀元社(2018年)
石井理恵子『英国学校制服コレクション』(2020年)
映画『アナザーカントリー』(1984年)