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日本語表現法課題:かぐや姫の帰った後

今回はこちらの物語を続きを自分なりに考え、書いてみました。



かぐや姫が月へ帰った次の日。おじいさんとおばあさんは悲しみに暮れていました。
昨日と何も変わらない家の中なのに、何故かいつもより静かでどこか寂しい。おじいさんとおばあさんはポロポロと涙を零し、かぐや姫という存在がどれだけ大切だったかを噛み締めていました。

何気なく、初めてかぐや姫と出会ったあの竹やぶへ向かっていたおじいさん。あそこへ行けばもしかしたらまた会えるかもしれない。もう一度彼女に会いたい、その思いでいっぱいでした。

かぐや姫と出会い生活が一変したので、ここに来るのはとても久しぶりでした。昔と変わらない竹の姿は、変わってしまったおじいさんと対比するように、まっすぐと空に向かって背丈を伸ばしていました。

「わしも変わってしまったな…」

おじいさんはそう呟きながら近くにあった竹をそっと撫でました。人肌のような温もりを感じ、おじいさんは懐かしさを覚えました。
ふと竹の根元を見てみると、一輪の花が咲いている事に気が付きました。それは、昔かぐや姫がおじいさんにプレゼントしてくれた花と同じでした。

「これは…あの子が昔くれた花と同じだ。なんでこんな所に咲いているんだ…?」

不審に思いながらも、その花に触れてみました。
その瞬間、どこからかかぐや姫の歌声が聞こえたような気がしました。おじいさんは周りを見回し探しましたが、かぐや姫の姿はありません。
美しく繊細なその歌声は、おじいさんの心を癒してくれました。
おじいさんは一輪の花の前で、またしくしくと泣き始めました。ですが、心は少しだけあったかい気持ちになっていました。

家に戻ったおじいさんは、周りの土ごと籠に入れ持ち帰ってきた花をおばあさんに見せました。

「まあ…とても綺麗ね。まるであの子みたいに」

そうおばあさんは呟き、嬉しそうに花を見つめました。おじいさんもフッと微笑みました。
花壇に花を移し替え、2人はその花を眺めていました。

「じいさん、私ね、もうこの後の事なんてどうでもいいって思っていたの。だけれど、何故かしらね。この花を見ていたら、もう少しだけ生きてもいいかもって思えたの。余生をたのしみたいと思ったわ」

「あぁ、わしもだ。この花に元気づけられた気がするよ。__そうだ、昔、あの子が歌っていたあの歌を歌わないかい?」

2人は花の前で、歌を歌いました。懐かしさと、悲しさと、愛おしさを感じながら。
夕暮れ時の空には、うっすらと月が見えました。その月は2人をそっと見守っているようにも見えました。

2人の歌声に合わせるように、かぐや姫の美しい歌声が重なっていました。気づいた2人は顔を見合わせて、微笑みました。おじいさんとおばあさんは、明日からは少しだけ、前を向いて過ごせそうな気がしました。

「さようなら、かぐや姫」

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