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3号の独り言  ~黙って枝豆食べよか~

新しいシリーズよ
あたしが3号
もうすぐ7歳になるの

改めて
よろしくねっ

小さい頃、病気で生死の境を彷徨って
命と引き換えに右目を失ったの
でもよく見えているし
沢山食べて出して走り回って
お母さんと一緒に寝て
全くNo Problemよ

自己紹介はこのくらいでいいわよね
今日はあたしがお話しするわ
何を話そうかなぁ

暑い…

34度とか35度とか
これって今頃の気温なの?
あたし達は毛皮を纏っているから大変よ
桜猫さん達はどうしてるんだろう

俺たちはあんたみたいに
ヤワじゃねぇから大丈夫さ
って暑いけどよ
心配してくれてありがとな

紙一重なのよね
あたしもノラになっていたかもだし
そうなら
今生きてはいないだろうな

って、しみじみした話は置いといて
じゃあ今日は、お父さんとお母さんの生活を暴露しちゃおっと

沢山あるけど、そうね、この間の話をするね

お父さん、夕飯時に大きな声で何かを話していたのよ
これは毎度の事よ
お母さんは出来るだけ聴こうとしていたけど
出来なかったみたい
見ていればわかるのよ
眉間のシワが深くなっていたから
気持ちは分かるの
だって本当にお喋りで煩いのよ、お父さん

ペラペラ話すお父さん
お母さんは黙々とご飯を食べていたけど
いきなり言ったの

「ちょっと黙って枝豆でも食べよか」

言いながらお父さんの目の前にトンと枝豆を置いたわ
お父さんは枝豆を少し見つめて、そして

「それでな、オリックスがな、」

動物じゃないわよ、野球の話ね
お父さん、ファンなの

お母さんのコメカミからピキッという音が聞こえた気がしたわ

「ちょっと黙って、枝豆食べよかっ」

お母さんは同じことを言って枝豆のお皿をツンと突いて
お父さんの顔を見た、
というか睨んだ

「……それでな、オリックスが」

ビックリしたわ
お父さんは何もなかったように枝豆を見ながら話を続けて
あたし、ヤバいなぁと思ったんだけど、
猫にできることなんてないじゃない?

お母さんは表情を変えなかった
でも目の光がこう、何ていうかしら、ギラッとなったというか…
少し離れて見ていたんだけど、お母さんの体から何かの気?とかいうの?
全身のあたしの毛が逆立つような気配があったのよ

背中から黒い湯気のようなものが出てきて、
そうよ!
こういう暑い季節にいきなり空が暗くなって
雷が鳴って大雨が降ったりするじゃない?
そんな雲の感じだったのよ

へぇ、それで?

あんた誰?

あぁ、通りすがりのノラです
続きをどうぞ

あたし、怖くなって後ずさったわ
お母さんは基本穏やかな人だけど、本気で怒らせるとややこしいの
それで走ってお兄ちゃんの傍に行ってくっついた

「お兄ちゃん、お母さんが稲光るかも。どうしよう、ねぇ、起きて!」

お兄ちゃんは言った

なんくるないさー

な?なんくる…?

「黙って! 枝豆食べよか!!」

お母さんの押し殺したような、でも怒気を含んだ3回目の警告の声が聞こえた
そして枝豆のお皿を左手に持ったわ!

あ?! まさかそれをお父さんに?!

でもそれは丁寧にお父さんの前に置き直されただけだった

だけだったけど
怖かった…

お父さんは動かなかった
そして黙ったの
黙って枝豆をつまみ出したわ

黙々と枝豆を食べるお父さん
黙々とご飯を食べるお母さん

ん?

zzz

静かだった

息が詰まるような張り詰めた空気がそこにあったわ

これは嵐の前の静けさなのか
はたまた、

随分おもしろ可笑しく話しているわねぇ、3号
まぁ、大雷雨にならなくて良かったけど

皆さんは可愛い私を忘れてはいないわよね?
この家のプリンセス、1号よ
ちょっと私からも一言話しておくわ

3号の話はね、本当にあった事よ
面白おかしく話しているのはね、
本当に面白おかしい状況であったからよ

でね、あなた
もう既に長いのよ。ボチボチ止めたらどうなの?

ガオーッ!

2号:ビックリしたぁ
目が覚めちゃうよぉ

お姉ちゃんは出てこないでよ!!
今回はあたしのお話なの
何時も煩いんだから、このオババ!!

1号:誰に向かって言うとんねん、あ?

2号:え?え?何?僕じゃないって
あれ?3号はどこ?いや、マジ知らないから
1号:チッ
大きな体なのに根性なしねホント

2号:お姉ちゃんは小さい体だけど
自分の怖さを自覚していないホント…
フフフッ
(お姉ちゃんは「初老」なんだから
そろそろショロ~リと引退したらいいのに)

*お姉ちゃんは前の記事でお母さんから初老と紹介されてキレてました

今何て?
寝たふり

3号が寝たので私が話を〆るわ

基本、お母さんは話を聴こうと努めているけど
お父さんは喋り過ぎね
普通なら心で思っておくようなことでもベラベラ話すから
煩いだけでなく、人を怒らせてしまうこともあるのよ
特にお母さんね

そしてお母さんも、イライラして爆発すると
本当の事を言い過ぎてしまうわ
正し過ぎてお父さんは何も言えなくなってしまう
逃げ道がなくなる

お互い気持ちが詰んでしまう
二人とも物凄く不愉快な思いだけが残って
尾を引くらしいのよね

「枝豆食べよか」は、お母さんの新しい境地だと感じたわ
ああいう言い方は前にはなかったわね
「煩いねん!黙ってはよ食べーや‼」という感じで
そこで黙らないのがお父さんなんだけど


踊る猫「1号、1号~、どこ~」


お母さんが呼んでいるわ! みゃお~ん(もの凄く可愛い声)」

踊る猫「あぁ、こんな所におったの、暑いのに。こっちおいで〜
もう何でこんな可愛いいん?お尻プリプリ」

みゃおん(抱っこは嫌いよ。触らないでったら!お尻プリプリも嫌よ)

踊る猫「何でいつも嫌がるん?かわいっかわいっかわいっ(気が済むまで続くお尻に頬ずり攻撃)」

ホッ
ホント、お姉ちゃんは怖いよ

さて、お姉ちゃんが逃げ回っている間にあたしが〆る

で、ね
ん~~~
あたしったら何が言いたかったのかな?
ま、いいわ。お父さんとお母さんのある日の出来事でした

あ~ぁ!
お姉ちゃんが話したから長くなっちゃったじゃない
2400字?! 確かに長い…

3号の独り言

皆さん最後まで読んでくれて有難う
何の話かよく分からなくてごめんなさい
あたしの独り言って事で許してねっ

これに懲りずにまた遊びに来てよね
待ってるよー
3号でした



あのぉ…



僕じゃないから
僕何も言ってないから
お姉ちゃん怖い

2号でした
僕ってやっぱり可愛い♡
byeニャン

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