「ユリゴコロ」をよんで
気持ちの悪い話でした。この物語を人に勧めたら、相手から心配されるかもしれません。でも、心に強く残る物語でした。最後は理由はわからないけれど涙が止まらなくて。秋が深まり肌寒くなり、別れがつらい気候だからかもしれません。
あらすじ
恋愛ミステリーとありますが、愛がすべて恋になるわけではない…もっと深い話だと思います。
それにしても、手記を他の人に読ませるだなんて…………絶対無理……
自己開示があまりできないタイプの人間なので、日報ですら提出できない人です。自分の内面はとてもとても大切なので。
高校生から、レンタルスペースで㏋を作ったり、大学生になればツイッターとアメブロ、今はxとnoteと、やり続けていますが、すべて身近な人には自分が開示されないから続けていられるんだよなぁ……
心に残ったフレーズと雑多な感想
例によって、伝わらないネタバレがたくさんあります。
物語のラストにて、荷物を持たず最後の旅行に行くという父を見送るシーンで。でもこのあと、この二人はきっと……それが幸せなのだろう。
数か月前、あの世には思い出すら持っていけない、という事に気が付いて愕然としました。
それどころか、ボケたら死ぬ前に思い出も失うことになるし…とか、仕事が単調だと、考え事がたくさんできるからいいんですが、変なこと考える時間もあるから困りますね。
それでも、どこまでも連れていけるのは、思い出だけ。どこまでも連れて行かないといけない、ということなのです。
主人公の祖母、つまりユリゴコロの手記を書いた快楽殺人犯の母親は、物語の終盤は認知症に。物語に出てくる認知症患者は、たいていはつらいことを一人忘れた哀れで幸せな存在のように描かれるケースが多い(ような気がする)のですが、彼女は認知症を患ってもなお消えない後悔や罪の意識も描かれていて、胸がきゅっとなる場面も……
物語の最後の場面から引用しました。
主人公はどこまでも受け身、受け入れるだけの存在であったと思います。それがこの、混乱を混乱のままに抱きかかえて生きる、という一文から、受け入れる覚悟ができた、ということなのだと思います。
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