夢日記〜マイクの代わりに突然
文化祭のような空間にいた。
高校の時のように友達と話していて、突然ステージから音楽が流れ始めた。
曲は忘れてしまったが、知っているバンドの曲だった。tacikaの二人のような姿だった。ライブが始まったと、周りの人たちもステージへ近づく。
リハのような雰囲気で始まった歌が一番ほどで終わり、ボーカルがステージを見渡す。
ばっちりと目が合う。それから何度も目が合う。これは当てられる感じだ。目立つのは苦手なのでいつもなら下を向く。けれど今回はなぜか離せない。
やはり声をかけられた。
そこで渡されたのはマイクではなく、何故か丸められたA3くらいの白画用紙。
何か歌える?
浮かんだのはヨルシカの春泥棒と、スピッツの楓。二つ答えたけれど、その時にはもう春泥棒を歌おうと決めていた。
何故か二人にも伝わっているようだ。
しかし歌い始められない。
tacikaのような二人は春泥棒は知らなかったようで、伴奏するまで時間がいるみたいだ。
その間もボーカルは場を繋ぎ、他の人を当てる。
当てられたロングの茶髪の子も何故か丸めた白画用紙を持っている。
その子が伴奏なしで歌い始めた。
彼女の小さくて透き通った目と合った。ワンフレーズが終わり、可愛らしい明るい声がやんだ。
何故かほっとして、私も歌い始められると思った。
頭の中で巡っていた何回目かのサビで声が出た。
愛を唄えば言葉足らず
想像よりも弱々しい歌い始めだ。
緊張で喉はいつもよりカスカスしている。歌い始めたら止められない。次第に声も強くなり、力が入る。
花開いた今を言葉如きが語れるものか
いつの間にか緊張からは解き放たれていた。というより、緊張を超える何かが溢れてくるようで、その感覚に身を任せていた。
ラストまではただ、体から出る声に身を任せるだけだった。
自分の声で響く空間には、感じたことのない解放感があった。
すっきりとした気分と、あまりの未体験の感覚に浮遊感の気持ちのまま目が覚めた。
当たり前のように画用紙で歌っていたけれど、起きたらずっと頭に浮かぶ疑問。
何故、マイクではなく画用紙だったんだろう?
私が絵を描くことが好きだから。という理由だけが浮かぶ。
声のように、絵もたくさんの人に届けたいと思っているのか。
わからないけれど、最近絵を描いていない。
しかし絵を描いている時ほど、夢中という感覚になることはない。
そして、私の前に歌ってくれた彼女に、夢の出来事ながら感謝している。
会ったことのない顔だったけれど、いつかまた会ってみたい。
最近よく、夢をみる。