妊娠ってこんなんだったのか!⑧


5.驚異の体重増加、悲しみの血糖値


私は妊娠前、職場のお姉さま方から「私妊娠したとき14㎏も太ったで!」「私は12㎏もいってもうたわー!まあ授乳したらそれ以上に痩せたけどな!」など聞いていた。

もともと太りやすく、飲み会後に体重が1~2kg増加して「あわわわ」と焦ってサラダ生活を始めていた私。その体重の増加具合は正直全く見当がつかなかった。

「赤ちゃんは3㎏前後で、胎盤とか羊水含めても5㎏くらいなはず。なんでそんなに体重が増える!?単に食べ過ぎなんかな?」

当時の私はこう思っていた。だが、実際は全然!!全然違った!!


「妊婦の体重は気を付けていてもみるみる増える!!水を飲んでいるだけなのに太っていくかのような恐ろしい感覚」というのが今の正直な印象である。


そもそも妊婦の体重増加の基準は、妊娠前のBMIごとに以下の指標が定められてる。

やせ気味の人( BMI 18.5未満)     9〜12kg
ふつうの人( BMI 18.5以上25.0未満)  7〜12kg 
肥満の人(BMI 25.0以上)       おおよそ5kgを目安 

なぜ妊婦が体重をしっかりコントロールしなければばらないかというと、妊娠糖尿病や妊娠高血圧になるリスクがあること、難産や胎児死亡の可能性が上がること、胎児の発育に悪影響を及ぼすなど様々な影響が考えられるためである。


しかし現状、ふつう体型の私は妊娠前と比べ臨月現在12㎏体重の体重増加。健診のたびに産科の先生から叱られている...(先生ごめんなさい)

ただ、私は「妊娠中は2人分の栄養とらないと!!」と考え、むしゃむしゃと食べまくっていたわけではない。

めちゃくちゃ頑張って食事制限をして、やっとギリギリセーフ(もはやアウト)の12㎏増でとどめているのである。


反省のため振り返ってみると、まずつわりが治まった時期。

想像以上にごはんがおいしく感じたが、それでも私は妊娠前と変わらぬ食生活を続けていた。

仕事が朝早いため朝食を取らず、その分お昼は定食などを食べ、夜は旦那と一緒に普通の夜ご飯(ごはん、おかず、副菜、汁物)

そして、土日は「出産するとできなくなることをやっておこう!」のモットーに、旅行や焼き肉、ディナーなどに赴いた。しかし、これまで妊娠前も土日は外食していたし、もともとそんなにたくさん食べる方ではないので大丈夫だろうと思っていた...

次の健診を受けて青ざめた。たった1か月で4㎏も太っていたのである。

4㎏!!!!えっ!?

知らなかった。こんなに妊娠中が太りやすいなんて。こんなにも栄養を吸収してしまうシステムだったなんて!!

案の定先生に叱られ、泣く泣く栄養指導を受けた。

また、悲しいことにその時期、全員の妊婦が測定する血糖検査(激甘ソーダを飲んですぐ血糖測定するやつ)も基準値をオーバーしてしまった。私は見事「妊娠糖尿病疑い」として次の検査へ進んだ。

次の糖負荷検査は苦痛だった。まず朝1番9時に採血。その後すぐ例の激甘ソーダを飲み干し、1時間後、2時間後に採血。

病院で3回も針をブスブス刺され採血を受け、その合間の1時間、合計3時間は仕事の書類を作って時間をつぶした。針を差し、仕事をし、針を差し、仕事し...

やっと12時になり、結果を受けに診察室へ入ると先生からすぐ「あー妊娠糖尿病だねー!惜しかったんだけど、ひとつ引っかかっちゃった!」と言われた。ただただ絶望。脳内に「インスリン注射」の文字が浮かんだ(幸い食事制限だけで済んだ)

妊娠糖尿病の基準は以下のようになっており、ひとつでも引っかかると妊娠糖尿病確定となる。

空腹時血糖値:92㎎/dl以上

食後1時間血糖値:180㎎/dl以上

食後2時間血糖値153㎎/dl以上


人間の身体は食事を摂取すると糖分が吸収され、血液中の糖が上昇する。ただ、健常であれば血糖を下げるホルモン「インスリン」が膵臓から分泌され、食前食後で波はあれど血糖が一定のレベル(高すぎないよう、低すぎないよう)にコントロールされる。

しかし、糖尿病はインスリンが出にくい、もしくは肥満などでインスリンが効きにくい状態になっているため血糖値が上昇、その状態が何年も続くと様々な臓器に障害が出てしまうのである。


妊娠糖尿病は、たとえ妊娠前に糖尿病でなかったとしても、ホルモンバランスの変化で妊娠期間中に糖尿病になることをさす。

妊娠中の糖負荷試験はけっこう基準が厳しめのため引っかかる人は珍しくない。事実、妊娠糖尿病の罹病率は10%ほどと言われる。

ただ、まさか自分が「妊娠糖尿病」になるなんて、思ってもいなかった。

先生から「妊娠糖尿病の人はそうでない人に比べ、将来糖尿病になるリスクが7倍なのよー」と聞かされた私、もう真っ青である。


ショックすぎて、私はその日からストイックに食事制限を始めた。

朝食はグラノーラ、昼はコンビニのおでんかサラダ、夜はサラダと豆腐。

正直やりすぎである。でも、これだけしても1か月後の私の体重は-0.5㎏!! 野菜しか食べてないのに!!全然体重が減らない...!! なんという栄養吸収率!!

しかも、ストイックに食事制限をしすぎて尿中ケトン体(栄養不足)が出現。「もう少しちゃんと食べてね」と先生に指導された。

※ちゃんと炭水化物などもバランスよく食べよう!私の食事制限はやっちゃいけない例

食べてもだめだし、食べなくてもだめだし...もはやどうしたら....


妊娠6ヵ月から臨月のこれまで、私は野菜とひとつまみレベルの炭水化物、そして魚や豚しゃぶ、ささみなど太りにくいたんぱく質を摂取し続けた。「もはや私は草食動物になったのか...ひもじい...おなかいっぱいお米食べたい....」と毎日毎日唸っていた。

かたや旦那はどれだけ食べても、お菓子をほおばっても超絶スリム体型。好きなものを好きなだけ食べられる旦那がめちゃくちゃうらやましかった。すべては赤ちゃんのため!赤ちゃんのため!!


妊娠当初の私に言いたい。「毎日体重計にのること!!最初から食事制限をすること!!そうしないと顔もぽちゃぽちゃに太って鏡を見たくなくなるし、産後ダイエットめちゃくちゃ頑張らないといけなくなる!!つわりが治まったからと言って気を抜くな!!」


ふつうに食事をしていただけなのにめちゃくちゃ体重が増える。

昨日の夜ご飯、パスタを食べただけなのに翌朝1㎏太っている。

妊婦は思っているよりはるかに、恐ろしいほど体重が増えていくのだ。


「妊婦さんだから二人分!里帰りしたんだし、これ食べてみ!これおいしいんよ!これ、あんたに食べさせたいと思ってたんよー!」里帰りし母親の誘惑に負けて再び体重増加し始めた私。

体重が増えすぎると、血糖値が高すぎると、赤ちゃんは苦しい。

そう自分に言い聞かせ、今日もドレッシングの味を変えサラダを食べるのだ。

私だけでなく、きっと全国の妊婦さんもそう。大好きなお菓子を我慢し、栄養バランスを考えた食事をとり、満腹になるまで食べたいのをこらえてそっと箸をおく。毎食毎食が我慢の連続なのだ。






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