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はつこい

                    藤椿まよね

 少女は、あすな、といった。少年は、まこと、といった。

ごく近所に住んでいたから、幼稚園の頃から一緒に育った。

ちいさな街の国鉄の駅からほど近い、裕福とはいいがたい集落だった。すぐ山に手にはお屋敷街と地元のものが呼ぶ、裕福な住宅街もある。

 あすなには三つ上の姉がいて、姉に連れられて三人は一緒に銭湯に行くことも多かった。まだ、どちらの家の誰も帰宅していない夕方の早い時間である。銭湯のお代はつけだったが、時に小遣いを出し合ってアイスを購入したり、おでんのつみれやたまごを買っては分け合って食べたりした。東京の下町である。


 兄妹同様に育ったふたりは、小学校にも一緒に通い、一緒に下校するかあすなの家の前で合流して、遊びながら姉の帰りを待った。もちろん、あすなにもまことにも、それぞれのクラスでお友達はできるし、放課後をクラスの友達と遊んですごすことだってあるのだが、夕食の早い下町、友達と別れてしまえばあすなとまことのふたりが残されるのだった。

たまたま、ふたりの学年にはこちらの集落の子どもがいないのだ。二つ上、二つ下なら何人もいるのに、ふたりの学年にはあすなとまことだけなのだ。

 ある夏の日。金たらいに張った水は湯のような夕方。五年生の夏、純粋に子どもとして水遊びに夢中になれたのは、去年までだった。少なくともあすなにとっては。

 まことは水中モーターという玩具を買ったことがうれしいあまり、あすなの戸惑いに羞恥心に気づくことなく遊びに夢中になっている。たらいの中の戦艦やアヒルやプラスティックのりんごやらに水中モーターの吸盤を吸いつかせて水上を走らせ、相変わらず少年らしい軽やかな笑顔と喉の奥を鳴らすよなくぐもった笑い声であすなを振り返り、同意を求めるのだ。

 見るなよ、とあすなは声を発してしまいそうになる。それなのに、まことの日に焼けた首筋に下くちびるからあごに乳首からみぞおちにそしてへそから海パンに、光る水滴を飾るなめらかで柔らかくてあまり張りのみなぎっていない少年らしい肌にあすなは見とれてしまうのだ。

 生理、というのが来るのだという。赤ちゃんを産む準備を、女子の躰は始めるのだという。姉はもう、生理がある。あすちゃんもじきよ、と、お母さんは言った。だって、おっぱい痛いんでしょ?おっぱい膨らんできたじゃないの、と。

 見るなよ。スクール水着ではなく、花柄の美しい淡い緑色ベースの水着を選んだときは、まこちゃんに見てほしかった。きっと一緒にプールに行くクラスの女子の友達たちより、まこちゃんにこそ、見てみてってジマンしたかったのに。

 見るなよ、まこちゃん。かすかな胸のふくらみは、正面からなら目立たないだろうか、そう思いながら正対すれば、水着の胸を引っ張って浮かせたくなる。子どもの水着なのに変、そう思った内側のブラみたいな三角の奴があるおかげで、あたしの乳首だってわかんないはずなのに、あすなは意識する。

 まこちゃんは恥ずくないの?なんで女子ばっかおっぱいとかあるの?おねーちゃんはぜんぜんだけどお母さんはふかふかのおっぱいついてる。お母さんになってからでいいじゃん、おっぱいは。なんでもう、おっぱいができちゃうの?

 まことが突然、水中モーターをあすなの胸に押し付けた、その瞬間声のない悲鳴を上げてあすなは腕で払いのけて、手のひらでまことの手からそれを叩き落した。

 地面に転がる、白と赤、ん~、というモーターの音、踏切の音、そして、あすなの、まことの息の音。動かない時間。

 「ごめん痛かった?」

 いつでも痛いんだよあたしは、おっぱいだけじゃねーんだ、足も腕も痛-んだ、あすなは心の中で毒づき、まことをにらみつけて胸の内側のこの、重たい粘っこいぐよぐよした何かを吐き出してぶちまけてしまいたい衝動に震えて耐えた。

 まことはもう、水中モーターを拾って遊び始めている。

 くそっなんも感じてねーのか。女子ばっか厭な思いして。

 少女マンガで、少女たちはカッコイイ王子様の到来を待ちわびるけれど、王子に求婚されて終わりだ。実際には、抱き合ってキスをする以外に何をしたいのか。いやさ、王子様に抱っこされてキスされたら夢見心地だろうけどさ、そんな妄想と今この目の前の、無心に遊ぶまことの間にある気の遠くなるよな隔たりは、どういうことなんだ。

 小さい頃から、あすなはまこちゃんのお嫁さんになる、そう公言してきた。今だって、それを否定したくない。今もってまこちゃんは大好きなのに、なんだかイライラする自分の心が、何に不満なのだかが自分でもわからない。

 なんでまこちゃんの腕に触りたいんだろ。ふわふわした産毛がかわいい。ふうーっってしたい。背中のへこんでるとこや鎖骨のくぼみにおみずかけるの、大好きだった。

だった。

 あれ?

もうできないや。

 ふたりでくすぐり合いっこして息も止まるほど笑うのも、寒くて寒くてくっついてお互いの冷え切った手を、脇やらももやらに差し込もうとし合うのも、手にしたつみれを一口かじってはまことにかじらせ、しゃぶるようにちょっとづつもったいぶって食べあうのも、もうできない。

 もうできないんだ。

 あたしはまこちゃんじゃなくて、誰か別の王子様のお嫁さんになるかもだからできないんだ。まだまだ先のことのはずなのに、女子は王子様に見初められるために「今、フリーでーす」って宣言し続けなくちゃいけないんだ。

 最初から、まこちゃんが運命の王子様だってわかってればいいのに。

 水中モーターのスクリューをプロペラに見立てて、「びゅおーん」と擬音を発しながら戦艦が空を飛んでいる。その、まことの濡れた髪の毛から宙を舞うしずくをスローモーションで眺めながら、あすなは物思いにふける。




 イチョウの葉をひとつ手にして眺めながら、前を歩いてゆくあすな。ワンピースの似合う細身の少女、になっていることに気づいて急にどきどきと胸が高鳴って、まことは自分に驚く。

 あっちゃんは前からあーいう服ばっか着ていたじゃん。今日も水色のミニだし。だけど、なんかチガウ。サンダルがかっちょいいやつだから?かかとが高くて、そのせいで僕より背が高い。ミニのワンピの下のパンツが見えそうだから?さっきソフトクリーム食ったとき、脚広げて座ってたから薄いピンクのパンツ、見えたよ。白じゃないんだなって、思ったもん。

 髪の毛が短くなったから?前の、肩より長い髪の毛、好きだったのに。三つ編みとかしてさ、手伝ってやったりしてさ。おっきい学校のお姉さんたちみたく、あごくらいでスパッて切っちゃった髪は、ボブっていうんだそうだ。

 背が高くなったからって、お姉さんぶって。

 でも、あっちゃんはちっちゃいときから僕にはおねーさんぶってたじゃん。ひとりっこの僕と違って姉がいて、いつも妹のくせに、ちびのくせに、なんもわかんないくせに、と押さえつけられてたから、僕にはせめてお姉さんぶったことしたいんだ。僕は別にお兄さんぶりたくないから、気にならなかった。

 リップクリームがちょっとピンクだから?

 赤いレザーの小さい腕時計をしているから?

髪を耳にかきあげて振り返って、あすなは立ちどまる。とても大きく見える。僕は小さいままだ。

 わかってる。あっちゃん、なんか、ほんとにおねーさんになってきてるんだ。姉の、藤花さんに似てきたんだ。六年生の夏休みはほとんど一緒に遊ばなかった。それは、僕が私立中学受験をするから、予備校に行ってたからっていうのもあるけど、それがなくてもきっと、別々だったんじゃないかな。

 背が伸びて、ちょっとだけ胸も出てきて、なんか、違うんだ、遊び方が。山手のお屋敷街のお友達とすごく仲良しになったし。女子だけのかたまりから外れてくれなくなった。放課後、あっちゃんちの前で待ってても、帰ってこないことも多い。

 でも今日は、学校でやるバザーの何十倍も大きなバザーに一緒についてきてって、誘ってくれたんだ。まあ、要は荷物持ちなんだけど。ホントはクラスの女子で山手のお屋敷街のひろ子ちゃんも来るはずだったんだけど、熱が出てしまったんだって。

 自分の服やアクセサリーと、ひろ子ちゃんのと、三月にやる六年生を送る会の劇の衣装に使えそうなものと。紙袋二つ、パンパンなのに全部で二千円いってないんだって。

 「疲れたでしょ、まこちゃん」

「え?ううん、平気だよ、大して重くもないし」

 大勢の人たちが、出店を冷やかしながらゆっくりと流れていく。あすなが的屋を指したあたりに、生ジュースという表記が見える。

 「まこちゃん、あれ飲もうよ」そう言うとあすなはすぐに列に並ぶ。振り返ればあすなの髪がふわっと広がり、その柔らかな手触りを想像させる。「まこちゃん、あそこらの座るとこ席取りしといて」

 今まであんまり考えたことなかったけど、あすなって、かわいいんだ。山手のお屋敷街の女子たちにもかわいい子がいるけど、あっちゃんは二番くらいかな?この沢山の女の人の中の小学生くらいの女子の中だって、二番くらいかも?

 柔らかな日差しの中で、あすなが両手にプラカップのジュースを持って歩いてくる。淡い色あいのオレンジとミルキーピンク。ひらひらと水色のスカートが揺れて、キラキラとポーチの金色のチェーンがまばたき、ときおり黄色のイチョウの葉がくるくると乱舞して色を添える。

 「まこちゃん、お待たせでっす」

 並んでベンチに腰掛けて、あすなとまことの距離はまだ、くっつくほど近い。プラボトルをまことにかかげて見せて、あすなはどっち?と小首をかしげて問う。

 長いまつげ。ふっくらくちびる。おでこにかかる髪のゆるやかなカーブ。

 「やっぱ迷う?迷ってさー、りょーほー美味しそうなんだもん」浮かれているよな、弾んだ口調。まことが問いに答えないでいると、あすなが決着をつける。いつもそう。

「じゃ、まこちゃん富良野メロンね、あたしとちおとめイチゴ」

そう言いつつ、あすなはカップを手渡すではなく、まことの口元にストローを持っていく。それをまことがちゅうちゅうと吸うのを見届けてから、自分もストローに口をつけるあすな。

 「おいしいじゃん。まこちゃんのもちょっと味見」

まことの口からストローを外して、そのストローをくわえるとぶわっと赤面するあすな。「たたた高いんだよこのジュース、ろっぴ百円もするんだよ」

 頬から目じり、そして耳たぶまで赤く染めているあすなを、まことはただ眺めている。なんで?あっちゃん、こないだまで間接キスなんてぜーんぜん平気って言ってたじゃん。なんで今さら恥ずかしいんだろ。しかも、自分でしといてさ。

 それでもそれをあすなに問えば、だん!とスタンピングして「あたし帰る」になってしまいそうだと感じて、まことはだんまりを通すことを選んだ。

 あすながジュースを両手に、まことを見つめ返してそして目を伏せてポツリと言った。「ごめん、まこちゃん」

 何がごめんなんだろ、全然わけわかんねーし、そう思って態度を保留するまことだが、自分の中に小さくオコラセテミタイという声を聴いて驚く。

 でも、そうだ。ぼくは、あっちゃんが怒って聞き取れないよな早口でまくし立てているのを、しっぽを引っ込めて耳をたたんで犬がそうするように耐え過ごすのが、案外好きなんだ。ぼくは、あっちゃんも好きだけど、学年委員長の悦ちゃんも好きだもん。えっちゃんがぎゃんぎゃん吠えるのは、たぶんえっちゃんが正しいことを言ってんだろうけど、聴きとるつもりもないからいいも悪いもどうでもいいんだ。ただ、僕はえっちゃんにやりこめられるのもわりかし気持ちいいんだ。

 風に舞うイチョウの落ち葉のさらさらという音を聞きながらあすなとまことは身動きが取れない。空の高さにはせる思いさえ見いだせない。今この後ずさることもかなわぬ迷いの中で、それでもふたりは先は願わず立ちどまって戸惑うのを良しとした。



 まことのうちだって、あすなのうちと大して変わらぬ経済状況だろうに、それでも一人息子を良い学校にやりたいとご両親は考えたのだろう。私立中学を受験したまことは、ミッション系の中高一貫校に合格した。芸術系に偏差したカリキュラムに特色があるのだという。通学ではなく、寮生活を選んだから、まことの姿はあすなの生活から消えてしまった。あすなは姉も通った地元公立中へ進んだ。

 そして、夏休みも終わろうかというある昼下がりだった。

 「あすー?あすちゃーん?」

「はぁい」

母に呼ばれて台所へ行くと、母が半分に割ったスイカを、もとの網に入れようとして手間取っているところだった。あすなは黙って網を広げるのを手伝い、半分のスイカは網に収まった。

「食べきんなくて半分返すとか?」あすなが尋ねると、母は笑わずに真面目に答えて、スイカの網に風呂敷をかけ始めた。

「まこちゃんがね、半年ぶりに帰ってきてるんですって。文科系の部活なのにお盆も練習があったそうよ」

知っているのに、あすなはあえて尋ねた。「へー、まこちゃん、何の部活?」

 母は網の持ち手を生かしつつも風呂敷でさらに持ち手を付けた。「吹奏楽部ですって。なんだかっていうラッパを買わされて、えらく高くて、大変だそうよ」

 母はスイカをパンパンと叩くと、あすなに持たせた。「さ、お願いね、あすちゃん」

「え?なになに?」

 からからと母が笑い声をたてる。あすなはイラっとしてぶー垂れようとしたが母の言葉に動きがとまる。「まこちゃん、おうちにいるだろうから、うちから残暑見舞いに持ってってちょうだい」「あたしが?」「あすちゃんが」「なんで」「なかよしでしょ」

 すーっと息を大きく吸い込んで、そりゃ昔の話だろ!と毒づこうとして、あすなはやめた。

 会ってみたい。

 吹奏楽かー。小学校にもあったのに、ブラスバンド。あのまこちゃんが、楽器やるなんてそんなイメージ、ぜんぜんわかないなぁ。

 「わかった。行ってくる」

 スイカを置いて部屋に戻ろうとしたあすなを母の声が追いかける。「どこいくの」階段の下で叫ぶ。「こんなでいけないでしょ。着替えんの!」

 母の笑い声を置き去りにして、あすなは急いでワンピースに着替えた。鏡台に座って身支度を整え、ちょっと迷ってから少し色のはいったリップクリームを唇に馴染ませる。

 スイカを手にしてまことの家に歩き始めると、急に不安になる。夏とはいえ、なんだか武装が無さすぎやしねーか?女の子って。ポニテのゴムにシュシュ、ブラとパンツにワンピース、サンダルつっかけて、身に着けてるもの、こんだけ。

 いや、何に武装すんのって、わかんないけど。なんかさ、なんてーかさ、「守も攻めるもくろがねのー♫」、てパチ屋の歌もあるじゃん。

 そんなことを考えて額の汗をぬぐいながら、もうまことのうちに着いてしまった。

 「ごめんください」

小さな声になってしまったのは、玄関わきの縁側、濡れ縁に誰かが横になって寝ていたからだ。玄関を叩きもせずに、あすなは吸い寄せられるように濡れ縁の上の男に近づいた。

 「まこちゃん?」小さく訊ねた。

 返事がないのでさらに近づき、あすなはその少年がまことであると確信する。けど、けど、あれ?眠っている、静かな寝息がセミの声の下から聞きとれる。

 あすなはスイカを濡れ縁に置き自分も腰を下ろして、両手をついてまことの顔を覗き込んだ。

 あれ?まこちゃん、だよね?

 そうなのだ。そういえば、躰だってとても大きい。横になってるからなおさら強調されてもいるだろうが、がっしりと太くてたくましい。あたしより、ずいぶん背丈も高そうだ。なめらかさを失って、吹き出物さえある顔はなんだかごつごつして、髭さえありそうだ。

 そして、肩。白いTシャツの下の筋肉質の、盛り上がった肩。太い腕。胸板も筋肉の力強さにあふれ、少年のまことのほそっこい印象はもう微塵もない。

 手を突っ込んでまくれあがっているTシャツから覗くへそ。黒い短パンから生える足も、太い。膝から下を折り曲げて地面につけているが、その太ももの部分だけであすなの躰くらいの質量がありそうだ。

 そして、見まい、としてもくぎ付けになってしまう。短パンの下の勃起しているのだろう陰茎。幼稚園の頃なら、ふくらかしたまことの陰茎を握ったことだってある。

けど。

 急に体が震えはじめた。

 こないだ、小学生の時はあたしのが背が高かった。あれから半年きりなのに、これ、だれよ?まことっぽい別の生き物。

 ゆっくりと上下する胸板。その鎖骨のところに、あすながつけた傷、チャンバラごっこであすながつけてまこちゃんが大泣きしたあの傷跡がある。

 まことの額の汗のつぶ、首元の濡れたTシャツ、耳やうなじに汗で張り付いたおくれ毛、腕にとまって腹を赤く孕ませたやぶ蚊、細かに微かに気づかぬほどに震えているまつ毛。

 なんだ?震えが止まらない。なんだよ、目に涙もあふれてきた。

 こわいんだ。あたしの好きだったまこちゃんじゃない。

 こわいんだ。あたしが否応なくオンナになっていってしまうのと同じ様に、まことだってオトコになっていく。生き物の雌と雄、として成熟していく。保険の時間にそう言われたのに。

 今ここで寝息をたてている生き物の躰に宿る、圧倒的な暴力性を無意識に感じとって、あすなの躰は自身の意志とは無関係にふるえ、それでいて立ち去ることもできない。

 妄想してしまう。

 まことが、何か声にならない声を漏らしてごろっと寝返りを打ち、その腕が、あすなの腰を捕らえた。悲鳴が、上げたはずなのにどこかにミュートされた。

 震えすら止まり、息もできず、あすなは止まった時間に耐える。

 涙が、あすなの涙がまことの頬に落ちた。

 まことのまぶたが開き、ひとみがあすなを見つけてゆっくりと腕をたどりそして、あすなのひとみを捕らえ、石造に柔和な表情がついた。

 「あっちゃん?」

 声すら、ちがう!

 あすなは転げ落ちるように濡れ縁を離れ、走ってまことの家から逃げ出した。

 もうあたしたち、子どもじゃないんだ。

 高い空の一角にわきおこっている黒い雨雲、稲光、遅れて雷鳴。

  家に着くとはだしだった。「あすー?帰ったのー?」母の声を背に受けて安堵しながら、あすなは手洗いに飛び込んで、そして吐いた。



                         終      

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