藪から棒に文学論 おかしみ論6
「もちあげて、落とす。チョコをもらったと思って浮かれていたら、もらっていないとわかった。そこにおかしみがあるって言うんだね」
「そうさ。西脇のいう『根本的な偉大なつまらなさ』だね」
「なんで『根本的』なんだい」
「そりゃ、人生、そんなことは実にしょっちゅうあるかさら」
「それが『偉大』なのかい」
「そうさ。人生の本質だからね。それを記録すれば、文学となって世間をにぎわすからね。果てはノーベル文学賞だって夢じゃないし、歴史上の偉人になるんだぜ」
「でも、『つまらない』んだろ」
「いかにも。人生、何でもかんでもスバラシイだの偉大ダなんだのともてはやせばいいってもんじゃないさ。毎日がバラ色ってわけでもないだろ。日常ってのは、よくよくみれば、いやみなくたって、基本的にはつまらないものじゃないか」
「つまらないんだったら、つまらないんだろう」
「そのつまらなさに、ある種の感動を味わって美を見出すのさ」
「ふうん、そんなものかね」
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