藪から棒に文学論 おかしみ論4
「つまり、せっかくチョコをもらったと思ったら、それが間違いだった、それをどう思うのか、ってかい」
「いかにも」
「そりゃ、残念無念だね」
「感度が鈍いねえ」
「君の好感度が低いよりマシさ」
「君は残念に思うんだろうけど、彼女に特にゾッコンだったってわけでもないんだぜ」
「う~ん、だとしたら、ちょっとときめいたけど、結局何かの手違いでがっかりはするね。あと、ちょっとクスッとしちゃうかも、ね」
「クスッとするかい。もうちょっと正確に言ってごらん」
「そうだなあ。もらったと思ったらもらえてなかった。僕は不覚にもときめいていたのに、それがずべてムダとなった。後から振り返ると何か滑稽でクスッとしちゃいそうだ、ね」
「うん、そうさ。その情景を上手に描けば、ちょっとした短編なり散文詩なりになりそうじゃないかい」
「う~ん、そんなもんかい」
「そんなもんじゃないのかい。それが僕のいう『おかしみ』さ」
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