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おだやかな気持ちで読めるミステリー! 雨宮兄弟の骨董事件簿(アンティーク・ファイル)1 :高里椎奈

はじめての本紹介noteは、高里作品で始めます!

私の高里ファン歴はそれはもう長くて、15年以上大好きなんだけど、あまりに大好きすぎてだれにも言えなかったくらい大好きなんです。
もう、だれからも、1ミリも批判なんかされたくないし、少しの否定の言葉も聞きたくないし見たくないくらい過激なファンだったのです。

そうやって心の奥底に大事にしまって過ごしているうちに、「うちの執事」シリーズで大ヒットされて、映画化もして、新しいファンの人がどんどん増えて、なんだか遠い人になってしまったようなさびしさを感じるようになりました。

さて、ここで気をつけるべきポイントは、最初から私と作者の高里椎奈氏はまったくの遠い存在だってこと! 勝手に遠いところに行ってしまった、なんて感傷にひたらずにドシドシ感想を書くべきだったんだ!
古参のファンを名乗るヒマがあったら、作家の応援をすべく好きな作品について感想を書き、自分が大好きなシリーズをもっと書いてもらえるよう編集部に声をひびかせなければいけないんだ!

というわけで、こちらの作品のご紹介です。

高里作品は大好きなんだけど、大好きと言いつつすべての作品を読んでいるわけではなく、こちらの新シリーズは今回初めて読みました。

高里さんの書く作品の一番の魅力は、ファンタジー、ミステリアス、不可思議といった要素。この要素に、高里さんのもつ優しさ、あたたかさ、丁寧さが混ざって癒やしを感じる世界観ができあがります。
「うちの執事」シリーズはそのキャラクター像や設定、ストーリーが人気でヒットしたんですが、ファンタジー要素はないので個人的にものたりなさを感じてました。

最初に好きになってからずっとファンでいる「薬屋」シリーズや、壮大なファンタジー作品の「フェンネル」シリーズを愛している私にとって、今回のこの「骨董店」シリーズはすんごくオススメです!

ライトノベル扱いでもあるため、本を読むのが苦手な人でももしかしたらトライしやすいかも。ミステリー初心者にもオススメ。何といっても人が死なないミステリーなので、全年齢対象、安心した気持ちでミステリーを楽しめます。

物語の中心は雨宮兄弟という骨董店の息子たちです。兄の陽人と年のはなれた弟の海星、それから友人の刑事である匡士の3人が主要な登場人物として活躍します。

兄弟2人には何か秘密があって、だんだんとどういう秘密なのかがわかってくるんだけど、秘密がわかってくると同時に兄弟間のやり取りにややつたなさも現れてきてハラハラさせられます。
そして、その兄弟を家族ではないポジションからちょっと不器用さを感じさせつつフォローしてくれる匡士がまたいい。
やさしい世界が広がってて、読むほどに穏やかな気持にさせてくれます。

弟の海星には何やら色々とナゾがかくされているようで、その不思議の理由が何なのかはわからないんだけど、わからないことをわからないまま受け入れるってこういうことなんじゃないかなって思いました。
このナゾがあるからこそ、海星の行動や不思議な力を読んでるこちらもすんなりと受け入れられるというすごさ。こうなんですよ、高里作品の良さって。

ちょっと調子が出ないときとか、心が疲れているとき、一息つきたいときに読むと、おだやかで優しい世界観に癒やされて少しだけ元気が戻ってくると思います。
日常に、こういう不思議がどこかにあったらいいな、と思わされるマイルドファンタジーです。

最後の数行がそれまでの温かさをぐっと引きしめるような感じがして、すごく印象的です。
最後までみんな読んでみてね。

真宵 -mayoi-

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