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マカロニえんぴつを365日聴く私の生活(5日目)ーアンパンマンとヲタ活

重い腰を上げて、かねてよりねだられていた、アンパンマンに登場する敵キャラクター「コオリオニ」、「化石の魔王」のぬいぐるみを製作した。

フェルトをちくちく縫うだけの単純なものだが、作っている間に3本の映画とドキュメンタリー2話分見てしまった。腰がえびのように丸まって戻らない。

自慢じゃないが家庭科の成績は、10段階で6くらいのスキルしかない。
あんまり好きじゃない部類の科目だったが、B1A4の追っかけをしていた頃、ジニョンのことが好きすぎて、彼にそっくりなキツネのポロロ(韓国版・のんたんみたいな?)に、同じステージ衣装を着せたくて裁縫を始めたのだ。

他にも、溢れすぎてダダ漏れの愛情の吐口に、羊毛フェルトでちくちくメンバーの顔を休日に作っていた。
あー、オタ活の楽しさここに極まれり。控えめに言って、最高だ。

今度はこの愛情を子どもに向けているというわけだ。
その結果、生後10ヶ月から5歳の現在まで、アンパンマンへの愛がハンパない子どもに育ってしまった(ポケモンの時期もあったが、いつの間にかまたアンパンマンに戻っていた)。

0〜2歳までの幼児は、なぜかみんなアンパンマンを好きだ。誰も教えていないのに、気づけばアンパンマンを愛している。もうDNAに刻まれているのではないかと思うほどだ。例外なしでみんなそうなので、日本国内におけるアンパンマンの幼児向けマーケットは99%寡占状態である。

世界のウォルトディズニーも勝てない。
日本が誇る、最強コンテンツ。それが、アンパンマン。
正義はある日、反転する。本当の正義は「愛と献身」だと、やなせたかし先生は言う。やなせ先生、そして弟さんの戦争経験から生まれたアンパンマン。
子どもがアンパンマンを愛しているのは、本能なのではないかと私は思うのだ。

正義で戦争する国が生み出したミッキーマウスよりも、そんな国の属国と世界では思われている(私の見解だが)が核兵器を持たず戦争を放棄した日本が生み出したアンパンマンを子どもは好きなのだ。

さて、日常に目を戻す。
どこへ行っても必ずいる。スーパーの加工食品コーナーにウィンナーとして陳列され、乾き物コーナーにはふりかけとして、飲料ではジュースが何種類も、お菓子はもちろん、生活用品のティッシュにすらプリントされて、マスクも歯ブラシも、ずっとアンパンマンと一緒だ。

むしろ、アンパンマンを避けて暮らすことがこの日本においては無理なのだ。
「忘れさせない」というマーケティングの基本が徹底的に実践されている。

親も「まあ、100円くらい高くてもこれで夕飯食べるなら」とふりかけを購入したり、「これで電車の中で静かにしてくれるなら」など子どものご機嫌取りツールとして受け入れる。

なので、大体みんな「アンパンマン」が好きなのである。しかし、徐々に子どもは知る。「他にもなんかいるぞ?」と。ここでトーマス、キティ、ミッキー、
スヌーピー、など他の選択肢を見つけ、ライト層のアンパンマンファンは「卒業」していく。(大体、3歳くらい)

うちの場合は、脇目も振らずアンパンマンで、
アンパンマン図鑑に収録された1768体あるキャラクターを熱心に勉強していた。

ばいきんまんの作ったメカの「ゴロンゴロ」「だだんだん」「カッパラス(1000話に1回くらいしか出てこない)「もぐりん」をはじめとする敵キャラや、過去の放送で1回しか登場したことがないであろう「スーパー激辛カレーパンマン」「超甘口カレーパンマン」にはまっていた。

ばいきんまんが発明した「3倍マシーン」という機械でカレーパンマンが3人になってしまう話で登場。
左がスーパー激辛カレーパンマンで右が超甘口カレーパンマン。

むしろ、「沼」に腰まで浸かっている状況。彼がアンパンマンヲタとして幸運だったのは、母親がヲタの気持ちを深く理解できることだった。

私は息子のアンパンマンヲタ活を全力で応援した。
数々の修羅場をくぐり抜けてきたヲタ活スキルは、このための修行だったのか!と「点と線」が結びつく。

アンパンマンミュージアムのショーは、漁師が波と魚の動きを読むごとく人の流れを正確に読み、最前列センター席を確保して鑑賞。
再放送やHuluなどでは見ることができない息子がお気に入りのマイナーキャラが登場する回を何年放送のどのDVDに収録されているか割り出し、メルカリで購入。
絶版になった「ゴロンゴロ初登場の絵本」も古本で探し出した。

1990年8月初版の『アンパンマンとバナナマン』

そして、一生商品化されないキャラは私が夜なべして製作。

ブタマンづくりをするブタマンマン
あんこが大好きなアンコラと冷たい風で風邪っぴきにさせちゃうかぜこんこん


一緒にアニメを見て脳内録画して寝る前に読み聞かせならぬ「はなし聞かせ」をして、眠る寸前までアンパンマンを堪能できるよう配慮した。

ついには、私がシナリオを製作してオリジナルストーリーまで披露するという二次創作にまで発展し、仕事よりも頭を使う。

実は私の母親もヲタである。これがさらに拍車をかけた。
「孫かわいすぎ激ヤバっっ❤️」×「ヲタ」がどうなるかは、書く必要がないくらい目に見えるであろう。

幼少期からヲタ街道をスポーツカーでビュンビュン飛ばして爽快に走っているようなものだ。こんなに甘やかされていて、いいのか? いや、好きなら仕方ない。

そしてついに、恐ろしいことが起きた。
サンタとしてのクリスマスプレゼントを下見しにおもちゃ屋のアンパンマンコーーへ行くと・・・なんと!

「持ってないおもちゃ、ないじゃん!」

その原因は、私の母親である。ヲタ特有のコンプリート願望を「孫のため」に発揮した結果、我が家にアンパンマンのおもちゃが集結してしまった。

どこの富豪だ・・・。

きっと子どもは大きくなった時、気づくだろう。

あ、うちの親ってヲタなんだ、と。だから、今私がマカロニえんぴつのライブで家を空けて少しばかり寂しい思いをさせていることにも理解を示してくれるに違いない。



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