
旦那さん呼べますか、と言われた日①
妊娠中で一番心に残った出来事は、酷かった悪阻、はじめての胎動、流行病になったこと、びっくりするほど痛かった陣痛でもなく、とある日の妊婦健診なのです。
その日は朝から気持ち良く晴れていて、悪阻も少し落ち着いたから自分で運転して病院に行けるようになりました。
好きな曲を聴いて、エコーで見れる赤ちゃんを楽しみにして、元気かなと想いを馳せていました。
そんな12wの妊婦検診。
経腹エコーになり、わぁ、これがよくドラマとかで観るエコーか、とウキウキしていたところです。
カチャ、カチャ、カチャ、、、
先生はエコーに写る赤ちゃんの写真を撮っていました。
私の主治医は静かな方だったので、この日も"順調です"と言われて、静かな検診で終わるのだろうと思っていました。
ところが、"今日何時でも良いので旦那さん呼べますか"と言われたのです。
え、ちょっと待って、なに??
なんかあったんだよね、これはそういうことだよね、、、、、
と心の中でつぶやきながら、わたしの血の気が一瞬にして引いていくのがわかりました。そこから身体の力が抜けてしまって、しばらく動けませんでした。
ボーッとしている私に、助産師さんがお母さん大丈夫?、ちょっと診察室から出ようかと声をかけてくれました。
そのときに、ハッ、となりようやく身体を動すことができ、目の前で起きていることに追いつけず、というか何が起きているのか分からない状態で、わたしはパニックになっていたのです。
診察室の外で夫に電話しました。
あの、何か分からないんだけど、、、、、
赤ちゃんのことで先生から話があるらしいから来れる?
と伝えると夫は急いでその1時間後に来てくれることになりました。
先生からの説明を待つ1時間、私は1人今起きたことを整理しようと思い、これまでのことを振り返りました。
この振り返りは夫を待つ時間、さらに私を苦しめてしまうものになるとは。
エコーをしてもらった、先生が同じところをずっと見ていた、たしかそこにはNTという文字が見えた、、、、、、、、、ところでNTってなんだろう、ケータイで調べよう。
NT、その言葉を調べた私は手からケータイを滑り落としてしまったのです。
頭をガーンと何かで殴られたような衝撃と、ケータイに出てきた言葉が嘘であってほしいという気持ちと、これは夢なんじゃないかと現実逃避をしようとする私と、もうわけのわからない世界へ引きずり込まれてしまったのです。
ぐにゃり、と聞こえそうな音で世界が歪んだ感覚を今でも覚えています。
人生で初めてあんな感覚になりました。
そんなときに待ち合わせしていた夫が現れ、大丈夫?と声をかけられると少しだけ現実世界へ戻れたように思えます。
長くなったので、②で先生からの説明について書きたいと思います。