専門家が教えるオーストラリアビザ
オーストラリアにて長年の弁護士事務所経営と移民法専門の行政書士経験を活かし、移民法問題(ビザの却下やキャンセル、オーストラリア市民権、不法滞在、国外追放、調停、移民大臣の介入等)、さらに他の分野の法律問題についての実例も紹介します。
オーストラリアへの移民を考えている方、オーストラリアでの様々な法律トラブル、ビジネス進出、裁判案件等でお困りの方は必見の記事です。
オーストラリアの移民法の特徴とは?ビザ申請手続きの流れを解説します!弁護士事務所経営者の経験を活かした実例紹介、移民法以外の法律問題、オーストラリアでの生活なども解説します。
オーストラリアの移民法はとても複雑です。今回は観光ビザ目的のビザと注意事項についてお話しいたします。
「楽しみにしていた旅行がスタートから台無しに!?」― 観光ビザ(ETA)の事前確認
通常の90日以内の観光ビザですと、よっぽどのことがない限り却下されることはありませんが、ビザが必要だという事すら知らず、空港へ着いて搭乗手続きを行う際「ビザがない!?」「飛行機に乗せてくれない!?」という心臓バクバクの経験をした方も少なくありません。
航空券を自前で手配した人は、必ずETA (Electronic Travel Authority)の取得、持っている人でもその有効期限、パスポートの残りの期間など事前に確認しておきましょう。
「えっ?入れてくれないの!?」― 日本人ETA保持者入国拒否
ETAが取れたとしても、近年の不法日本人出稼ぎ労働者増加に伴い、到着後入国拒否をされるケースがあります。
オーストラリアと日本の為替や最低賃金設定の差により空港の入管で疑われ、別室に連れてゆかれ現地での滞在プラン、知り合い、所持金などの尋問を受け、入管職員が納得しなかった場合日本へ送り返される場合もあります。
60歳未満の方で(就労可能な年齢)の気ままな一人旅の方は、予め現地での旅行プラン、宿泊予約、知り合いの連絡先、所持金の証明をお持ちになることをお勧めいたします。
「もっと長く滞在したい!」― 3か月以上の滞在
ETAビザは最高90日までですが、それ以上の滞在を希望する方には、別のクラス(クラス600)の観光ビザ申請が可能です。期間は3,6,12か月で、滞在目的に応じて申請できます。ETAとは違いビザ審査官が個々の申請を審査するため、ビザ審査や発給に時間が掛かりますし、申請者の目的や申請状況によっては却下される確率が高くなります。
ETA不可の国籍の方は観光の場合このクラス600ビザになりますが、国籍や過去の渡航歴等によっては驚くほどハードルの高いビザとなっていて、審査条件も年々厳しくなっています。
「いちいちビザ取るのが面倒?」― ビザの要らないBusiness Travel Card (ABTC)カード
頻繁に短期の出張でオーストラリアへ行かれる方は、アジア太平洋経済協力(APEC)により5年間有効のカードの申請が可能で、これによりビザ申請が必要ありません。このカードがあれば出張や観光の両方の目的で滞在可能となりますので、突然の渡豪にもスムーズに対応可能です。
「入国カードなんて出せばいいでしょう?」の落とし穴
飛行機内で配られる入国カード、軽く考えていませんか?
昨今のテクノロジーの進化に伴い、過去の個人の渡豪や申請情報が新しいビザ申請内容と精査されますのでご注意ください。
何度も渡豪歴のある人が将来他のビザを申請する際、飛行機の中で過去に記入した入国カードの情報まで照会されます。
以前にお手伝いした永住権保持者(非日本人)が市民権を申請した際、過去の入国カードに緊急連絡先に亡くなっていたはずの兄弟の情報が記されていたため、その申請者の永住権をはく奪する旨の通達が届きました。この方のケースでは目の前でそのご兄弟が殺されたため難民認定が下り永住権を得た為、虚偽の申請をしたものとしての措置でした。
正しい情報が人生を大きく変える
オーストラリア人と内縁関係にあるとしてパートナービザを申請した人が、以前のビザでその関係を申告していなかったため、虚偽の申請をしたとしてビザが却下となり、罰として3年間渡豪禁止の措置をとられたという事もあります。
オーストラリアビザ専門行政書士を15年していますが、知れば知るほど奥が深く複雑だと実感しています。一番大切なことは、オーストラリア連邦政府機関に提出する情報は何事も簡単に考えず、正しい情報を提供するということでしょう。
個別のご相談、いつでも受け付けております。
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