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ADHDと過集中とタスク量と睡眠

私はグリネル大学に居た時、毎学期睡眠スケジュール管理に失敗していた。

そのせいで授業を休んだり、メンヘラになったり、宿題が出来なかったりした。

なぜ睡眠スケジュールが安定しなかったかの説明は意外と複雑だが、説明をしようと思う。

前提条件1&2: 多量のリーディング課題限定で発動するADHD的特徴

私にとって課題のリーディングを読むというのは、脳への刺激が少なくて、2、3行読むだけでも気が散って続けられなくなる作業だった。しかし、1学期目からごりごりに文系で、しかも毎授業読んでいかないといけない文章の量も多く、難解な学術書が多かったため、まずその毎日の宿題をこなすことに大きく躓いた。しかも、昔から読書は好きだし、読解も得意だったのにだ。宿題でこれだけ出されると急に読むことが苦手になったことに自分でも最初は戸惑った。

解決策1: 過集中モード

私は文章を永遠に読む時は過集中モードに入るという裏技でなんとか対抗していた。

過集中モードとはADHD特有の周りのことや睡眠や食欲も気にならなくなる、とてもとてもある一つのタスクに没頭して取り組んでいる時の様子だ。

ただ、このモードは中々簡単には発動してくれない。何か少しでも気が散ったり気になることがある環境では決して発動してくれないのだ。

自室では誘惑が多いし、図書館は人が多いし、教室は大体違う学生達が陣取ってるし…

という状況の中、降り積もるリーディングをこなさないと、授業に参加出来ないし、テストは解けないし(直前にまとめて勉強出来る量じゃない)、エッセイ課題も書けない(読んだ論文を踏まえたり引用したりして書かないといけないから)。

だから、私なりに過集中が発動しやすい環境を探したり、時には過集中できずに一つのリーディングにひたすら時間をとられたりしながら、なんとか文系の授業を取り続けていた。

私にとって辛かったのは、日本の高校出身で英語を読む速度が遅いだけじゃなく、そこまでの量のリーディングをこなさないといけない状況自体が初めてだったため、過集中モードを自由に発動させられるADHDになれていなかったことだった。

しかも更に辛かったのが、グリネルの文学哲学歴史授業を取ると時間が足りなくなるレベルのリーディングが苦手なADHDだと、一般的なADHDのテストを受けても微妙な結果しか出なかったし、しかもテスト受験時にうつと診断されていたせいで、ADHDの診断が出来ないと医師に言われたことだった。

その先生とそのテストに辿り着くまでも異様に時間や労力がかかったのに、結局誰からも私に必要なサポートをしてもらえなかったのに加え、最後の方はうつと不安が激ヤバなせいで文章読解力、思考力、集中力が著しく低下していたためリーディングという、私の選んでいた授業には一番初歩的で一番大事な課題が出来なくなり、私のグリネル生活が終わった。

問題1: 気まぐれな過集中モード

話は逸れたが、うつや不安がほぼ無かった時も、私は過集中モードを自由に発動させられないせいで、気まぐれのように現れる過集中モードに合わせた生活リズムでなんとか課題量に対応していた。

夜は皆んなが寝静まり、自分1人しか起きていないような感覚に陥るせいか、よく深夜から明け方の時間に私の過集中モードはやってきた。

ただ過集中モードは気まぐれで、午後日光が差し込む図書館の一角で現れることもあるし、夕飯ギリギリ前の時間に現れたりもする。

しかし、午後や夕飯前の時間はなんらかの外的要因によって中断されることが多く、結果的に夜睡眠時間を削って過集中していた。

問題2: 長期的睡眠不足

お昼寝をしているとはいえ、毎日5時間弱睡眠だと、毎学期、2ヶ月半から3ヶ月くらいで、過集中が発動しにくくなり、宿題に費やす時間がさらに増えて睡眠不足で授業に遅刻しだすし、休みだすしで教授やアカデミックサポートのスタッフに心配され始める。

問題3: 無理な過集中モード発動

学期末はアウトプット系の宿題も重くなるので、もうここら辺の時期は気力でなんとか過集中を発動させる。補足だが、私はエッセイの構成を考えるときも執筆する時も過集中しないと出来ない。リーディングよりは発動しやすいけど。

そして、ほぼ燃料切れな状態で学期末を終える。私にとってはそれくらい極限の生活がグリネルで生活し、深く学び、良い成績を納めるということだった。

問題4: わりかし大変な環境にいる事を認知せずに課す自分への期待

メンタルがとても良好な状態の時も、グリネルのリーディングが多い授業を取っていると発達障害っぷりを存分に発揮するADHD特性に邪魔されるし、ましてやうつや不安などの精神疾患の症状に悩まされている状態では太刀打ちできなくなってしまうのがグリネルの生活だった。

いくら帰国子女でも、アメリカに住むのは初めてだし、寮に住むのも、会う人達も、都心部ではないところに住むのも、とても寒くて長い冬を経験するのも初めてだった。奨学生、人種マイノリティ、留学生、外国人、クィアなのも初めて。

それに加えて今までの生活では自分にとって障害になったことがなかったADHD的特徴をほぼ周りのサポートなしに理解し、対処して、苦手なのにひたすらリーディングヘビーな授業を取り続けて、日本での遠隔ボランティアやキャンパスでの課外活動やバイトもして…

なお、周りと自分の違いを上手く認識する事が出来ないまま、近くにいる人と自分を成績や効率性で比較して、無限に自分に期待して、良い結果を貪欲に求めて、頑張っていた。

いんたーせくしょなりてぃ!と様々な場で声高に叫びながら、自分が置かれているインターセクションの重圧を認知してあげることが出来なかった。ADHD、精神疾患、その他障害となっていた自分の特性を踏まえて、タスク量や目指す結果を決めるべきだった。自分しか完全に自分みたいな人は居ないのだからこそ、自分用のスケジュールや目標を設定しないといけなかったのだ。

今とこれからのお話

最近は基本的に夜1時くらいに寝て、朝8時くらいに目覚める生活を送れている。何も特別なことはしていないが、それくらいの時間に眠くなって、目が覚める。

単純にやらないといけない課題やタスクがほぼ無い、もしくは一定の睡眠スケジュールを優先出来るくらい締め切りが(もしあるのであれば)余裕だということ。

仮にまた過集中モードを発動させる頻度を増やすにしても、まずうつと不安が治ってないといけないし、うつや不安の症状がまた発動するような過集中モードの濫用をしないとこなせないタスク量を自分に科すのはご法度だ。

睡眠と過集中とタスク量、リーディングが沢山になると急にリーディングが苦手なADHD、リーディングが出来なかったり睡眠が乱れると悪化するうつや不安。これらの要素が連鎖したり呼応し合うので、どれをどうすればいいのか、特に学期中は分かりにくかった。

もっとちゃんと自分を理解して、自分の取り扱いに慣れて、ゆるゆるとしばらくは生きていくぅ!



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