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映画「ブルックリン」キラキラしてない方の海外移住

久々にぐちゃぐちゃに号泣した。しかも飛行機の上で。

時代は1951年と1952年、アメリカ合衆国のニューヨーク州ブルックリン区に移民したアイルランド人の若い女性の物語である。

Wikipedia

日本への一時帰国への往路でこの映画を観た。

ビジュアルになんとなく身に覚えがあり、昔、観てみたいと思っていたうちの一つ。私はいつも、飛行機の離陸前に何となくスクリーン上で物色を進め、機内で観ようかな、聴こうかな、というアイテムをリスト入りするのが好きだ。

旅のワクワクも兼ねて、なんとなく違う都市の話いいんじゃない?という感じで軽く見始めた。

NYは実は隣接している州。トロントに来る前は、近いからすぐに行けちゃうね!みたいな、ミーハー満開だったが、まだ一回しか行ったことはない。

軽い気持ちで観始め、序盤からどっと感情を揺すられた。全くの未知の世界、ブルックリンに向かう彼女は私、過去の私だったように思う。

興奮と緊張と不安と恐れと希望と、全部ひっちゃかめっちゃかに詰め合わせている感じ。実に懐かしかった。

入国審査の感じとか、心をえぐられる思い。もう私はそのような事はないのだが、オフィサーを恨んだ日が無くはない。ああいう気持ちは、普通に暮らしていたら絶対に味合わないものだと思うから、いま思うと貴重な体験をしたのかもしれない。

この映画のストーリー、映画としてはちょっと暗すぎて、嫌いな方も多いと思う。夢がないというか。本当にキラキラしていない。

事実がそこにある、って感じ。生活が、淡々と描かれていて、それでいて、我々、在外邦人が膝を落として泣いてしまうくらいの辛さがちゃんと描写されてて、それもそれで辛い。

なんでこれをすすめるか、というと、こういう辛さもあるよね、って知ってもらいたいからかもしれない。

キラキラして楽しいだけじゃないよ、人生はそういうものだけれど、物事には色んな側面があるよね、みたいな。


さて、この映画を観てからしばらくした頃、

日本人のお友達とお話していた時の話。

彼女には小さい子どもがいて、共働きな事もあり、週末に一週間分の晩御飯の下準備をする習慣がある。

「今週の献立は?」と、私はよく尋ねる。そこでヒントをもらうのだ。

その時に「一日は、ナポリタンの予定」と言われた。

ナポリタンって、個人的にそんなにグッと来るメニューでは無くて、多分生涯で食べたことも数回、作った事なんて2回くらいしかないかと思う。

でもその時はなぜか、ナポリタン!美味しそう、と思った。

ナポリタンの材料を手に入れ、iPhoneで「ナポリタン レシピ 殿堂」と検索

こうして、とても美味しいナポリタンが出来上がる。

事実、とても美味しかった。

そして、それを味わいつつ、私は思った。

昔はこんな事出来なかったんだよなぁ、ある献立が食べたいと思ってもレシピのメモ書きが無ければ、それまでだったんだろうな、と。

だから、私が生きているキラキラしていない海外生活も、目線を変えると、とても便利で文化的なんだろうな、と。


更に、この旅の往路で、一番好きな映画でもある、The Sound of Musicを観たのだが、そこで、難民として生きることへも思いを馳せた。

私は帰ろうと思えば、日本にいつでも帰れる。母国がそこにあり、入国をはばかられたり、一度踏み入れたら最後、みたいな事はない。

国に翻弄させられる事がないのだ。こうして二か国をまたいで生活しているのって、なんだか恐れ多いことだな、と思ったりもした。


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