今年ビッグテック(GAFAM)株を買ってはいけないこれだけの理由。
こんにちは、こおるかもです。
イギリスで資産運用をしています。
今日は、「今年は絶対にビッグテックを買ってはいけないぞ!」ということを、自分への戒めも込めて、冷静に分析していきたいと思います。
主に理由は3つあって、以下のとおりです:
アメリカ経済が低迷する予測が支配的だから(マクロ的要因)
反トラスト法が現実味を帯びてきているから(外的要因)
ビッグテック同士の競争が熾烈になってきたから(ミクロ的要因)
ということです。これだけ読んで、「あ~なるほどね、はいはい」という方は、本文は読まなくても大丈夫です。
さっそく行ってみましょう。
理由1:アメリカ経済が低迷する予測が支配的だから(マクロ的要因)
今年は年初からアメリカ経済を不安視する分析が相次いでいます。
これらのニュースを簡単に要約すれば、今年も継続して高いインフレと、それを抑えるための利上げが続き、金融引締によって経済の成長は鈍化するということです。
むしろ個人的には、ポストコロナにおける金融引き締めの効果が、多少の時間遅れで今年やってくるという見方をしたほうがいいのかなと思っています。そう考えると、昨年の金融引締は紛れもなく過去のことなので、未来を予測するよりも簡単です。前年の夏の気温が翌年の花粉の飛散量と相関があるのと同じです。
さらに、景気後退(リセッション)の懸念も高く、リーマンショック以来のマイナス成長になる可能性もあるようです。もしこうなると、ビッグテックどころか、米国株、そして世界的に株式市場がガクッと下がると思います。
その場合には、むしろ安値で仕込むチャンスでもあるので、やはり現段階では手を出さずに、しばらくはキャッシュ率を高めておいた方が賢明だと思います。
ただし、マクロ経済は大外しすることもあるので、あまり気にしすぎない方がいいかもしれません。ぼくも、マクロ経済だけが理由であれば、あまり気にせずに好きな銘柄を買っていたと思います。
大事なのはむしろここからです。
理由その2:反トラスト法が現実味を帯びてきているから(外的要因)
まず、反トラスト法とは、日本では独占禁止法という方が馴染みがあると思いますが、要するに一部の大企業がある分野を支配してしまい、他の企業が全く競争できなくなると、資本主義的な自由競争がなくなってしまうので、本末転倒だよね、だからそういう企業を規制しようね、という法律です。
それで、最近賑わっているニュースがこちら。
バイデンさんいわく、「競争のない資本主義は資本主義ではない。搾取だ」そうです。
でもそもそも、グーグルもアップルも、もともとは小さい会社で、自由な競争を勝ち抜いて大きくなったわけなので、大企業になったから規制されるというのはなんとも筋が通らないのですが、国としては健全な競争を促さないと他国にも負けてしまうので、体裁上致し方ないという感じですね。
ともかく、今回の反トラスト法や、それに関連した競争を支援する法律として、ターゲットになっているのは主に半導体関連と、広告関連のようです。
半導体については、昨年CHIPS法が可決し、様々な企業がアメリカで半導体を内製すべく大規模投資を進めています。ビッグテックはさておいたとしても、半導体については今後もアメリカの戦略的成長産業になると思われます。
広告関連については、AmazonやMeta(Facebook)などが不正に、あるいは不健全に、広告を制御して利益を上げているなどの疑いで、今後当局の規制が入る可能性が高いです。たしかにECにしろSNSにしろ、最近は粗悪な広告や、それを利用したちょっと悪徳な商売も増えていますよね。
Appleもグーグルも、アプリ販売やネット検索において優先的な表示をさせるために高い広告料を取ったりしています。こうしたものを解決するには、数十億人のユーザーデータをお金に変える中央集権的なメカニズムを打破する必要があるというわけです。
最近流行りのWeb3というのがやろうとしているのがまさにこういうことですね。上手くいくかはさておき。
というわけで、少なくとも世論的には、今後はビッグテックにとっては逆風が吹くと思われます。
が、しかし、実はそんな逆風が吹かなくても、放ってい置いてもビッグテックはどのみち袋小路だというのが、3つめにして最も大事な理由になります。
理由その3:ビッグテック同士の競争が熾烈になってきたから(ミクロ的要因)
実はこれは以前の記事でも触れたのですが、要するに今ビッグテックが、それぞれお互いの事業領域にどんどん侵入していって、パイの奪い合いを始めている、ということなんですね。
これについてネットで検索しても、あまり有望なニュースやコラムが見つからなかったので、もしかしたら僕が唱えているだけかもしれませんが、勇気を出して解説したいと思います。
そもそも、GAFAMは、もともとは完全に別々の事業体でした。
Google:ネット検索エンジン
Apple:パソコン、スマホ
Facebook:SNS
Amazon:オンライン本屋
Microsoft:オフィス製品
これを見れば、各社がお互いに相乗効果を生むことはあれど、競合になることは考えにくかったわけです。
それが、しばらく前から、徐々にお互いの事業領域を侵食し、売上を食い合うようになっているのです。
例えば広告事業に関して言えば、上記のGoogle, Apple, Facebook, Amazonは売上の大部分を広告収入に頼るようになっていますし、ハードウェアについて言えば、ほとんど各社が似たようなパソコンやスマホやスマートスピーカーなどを開発しています。
さらに、新しい事業領域として、クラウドサービスがありますが、これもGoogle, Amazon, Microsoftの3大勢力で市場をほぼ制圧しており、競争しています。
挙げればキリがないですが、より直近の話題としては、Appleが電気自動車を開発しているのは有名な話ですし、さらにVR/ARゴーグルも今年中には披露されるとみられています。いずれも、テスラやFacebookと全面対決ということになるでしょう。
さらに一番直近の話題としては、ChatGPTの出現によるウェブ検索(≒広告事業)で、MicrosoftがGoogleと全面対決を始めたことですね。みなさんのなかでいままでBingを使っていた人なんていましたか?ほぼ全員がGoogle検索でほぼ100%の独占状態だったところに、もしBingと50/50で売上を分け合ったら、Googleの売上が半分になるということですからね。
これについては、Googleが非常事態宣言を出すほど逼迫した状況になっているようです。
というわけで、これだけビッグテック各社が競争を始めるとしたら、彼らは成長どころか消耗すると思うんですよね。
例えばVRゴーグルひとつとっても、現在はメタのQuestシリーズがダントツで売れていますが、Appleがゴーグルを出せば、そちらにある程度流れることは想像に難くありません。
ちなみにAppleのゴーグルは、一応ARゴーグルであり、メタのVRゴーグルとは少し棲み分けが違うのですが、だからといって誰が何万円もするゴーグルを2個も3個も買うでしょうか?
つまり、これ以上市場全体のパイは増えないのに、類似の商品やサービスが溢れかえるということですね。
このことから、僕は個人の予想として、今後ビッグテックが大きく成長することはない、と考えています。もちろん、多少成長することはあるかもしれませんが、今までのように数年で2倍、3倍と時価総額が上がるような成長は期待できない、ということです。
結論
ということで、マクロ的要因、外的要因、そしてミクロな要因として各論を取り上げて、今年はビッグテックを買わないほうが良さそうです、ということをお伝えしました。
ではどんな銘柄なら買うに値するかということを最後に触れて終わりにします。
もし仮に、ビッグテックが反トラスト法などで、大規模な解体を余儀なくされたり、成長が鈍化して一気に時価総額が下がるとしましょう。
そうしたら何が起きるかというと、その下がった時価総額分、どこかの企業に再投資されることになるわけです。
それはどこかといえば、やはり今までビッグテックに後塵を拝してきた企業ではないでしょうか。
その代表例のひとつが、ぼくはインテルだと思います。
インテルも、かつてはビッグテックと並び称されるくらいの大企業でしたが、近年は失速気味で、Appleのパソコンも内製化が進みインテルのCPUが締め出されたり、GPU事業ではNext GAFAと呼ばれるNVIDIAに惨敗したりと、あまりいいところがありません。
株価を見てみても、なんとあのインテルが時価総額約100億ドルしかないんですね。これはNVIDIAの5分の1,Appleの20分の1の規模です。
こうした企業が、今後巻き返しを狙って、数年で2倍、3倍、とスケールするというのは、普通にありえる話です。また、インテルはこの記事で紹介したCHIPS法の恩恵をもろに受けている企業のひとつでもあります。
というわけで、ぼくは今月インテル株を買いました。今後も下がるようならどんどん買っていくつもりです。
この記事は株式の売買に関して、一切のアドバイスを意図していませんが、実際にぼくはこうして書いているだけではなくて買っているので、参考になれば良いかなとは思います。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。