緊急事態宣言が出されたスペインの今とクックパッド・スペインの取り組み
現在、欧州を中心にパンデミックが起きている新型コロナウイルス。19日現在、スペイン全土で確認された新型コロナウイルス感染者数は累計で17,147人、死者は767人に達しました。
ペドロ・サンチェス首相が14日に非常事態を宣言してから、食料品の買い出しや医療機関の受診など最低限の外出以外は禁止されている状況です。学校や保育園も休校、商業施設、観光施設も閉まっています。
つい先日まで、対岸の火事と言わんばかりにのんびりとした日常を送っていたスペインですが、一変、町中に人通りもほとんどなくなり、ひっそりとしています。カバー写真は自宅マンションのエレベータの張り紙です。感染拡大防止のために一人ずつ乗るように、と書かれています。
そんなスペインの今と、そしてスペインでも増大した「毎日の料理の負担」という問題解決のためにクックパッド・スペインが取り組んでいることについてお話します。
スペインの今
①移動制限
日本の外務省は、2020年3月19日現在、スペインの感染症危険情報レベルをレベル3(渡航は止めてください(渡航中止勧告))、もしくはレベル2(不要不急の渡航は止めてください)に指定しています。スペイン政府による日本からスペインへの入国は特に制限がありませんが、前記情報を鑑みると中止・延期せざるを得ない状況といえます。
また、17日からは陸路を通じたスペインへの入国をスペイン人やスペイン居住者、通勤する者などに限定しています。
スペイン・イベリア航空は、首都マドリードから日本への直行便を19日をもって一時運休することを決定しました。
また、国内での移動にも制限が出ています。19日からはスペイン国内全ての空港とバレアレス諸島内(地中海のイビザ島やマヨルカ島などの島々)の空港を結ぶ航空機の運航が禁止されています。
状況は刻一刻と変化していますが、毎日より厳しくなるニュースが飛び込んできます。スペインの最新状況についてはこちらの在スペイン大使館の情報をご覧ください。
②買い物
テレビやソーシャルメディアでは、空っぽになったスーパーの棚やパニック状態の買い物客などの情報が飛び交っているようですが、少なくとも私の周りでは起きていません。近所の食料品店やスーパー、薬局は通常通り営業中です。スーパーには食料も充分にあるし、最寄りの食料品店はむしろ普段よりも陳列棚が充実している印象です。ただ、スーパーでは平日の午前中から駐車場で車がいっぱいになっていたり、在庫がいつもより少なくなっているかな?という品物があったり、店員も客もマスクをしてピリピリしているのが普段と違うところです。
また、私も夫も日本人なので、顔はアジア人。夫が先日買い物にでかけたところ、顔を見た店員に露骨に嫌がられてしまったそうです。「いや、もはやアジアよりもイタリアやスペインの方が深刻だよね?スペイン人のほうが危険じゃない?」と突っ込みたくなりますが、具体的な被害はないのでスルーしています。
③食事
レストランやバル、カフェといった飲食店が閉まっているので、自宅で料理をする人が増えています。クックパッドスペインのウェブページへのアクセスは、この週末をはさみ2倍に急増していました。
Glovo!(Uber Eatsのような料理の宅配サービス)などのデリバリーはやっています(が、私の住んでいるエリアで現在営業中のお店はハンバーガーショップかピザ屋さんばかり・・・もちろんハンバーガーもピザも好きですが、選択肢が偏りすぎている)。他人との接触を避けたい今日このごろのためか、町中でデリバリーのバイクもあまり見かけず、利用者もそれほど多くはないと推測します。
④ストレスと励まし合い
外出が禁止されている現在、たとえ自宅マンションの敷地内であっても出ることはできません。散歩やジョギング、パデル、ヨガなど日常的に外でスポーツを楽しむ習慣があるスペイン人にとって、自宅待機は負荷の大きいものだと想像します。また、子どもたちも外出禁止のため、家に閉じこもっている状態です。近所の公園には、遊具エリアにテープが張られていました。なお、犬の散歩は認められているようで、うちの窓から見える数少ない歩行者は、ほぼ犬を散歩させる人たちです。
そんなストレスフルな毎日を送っている中、毎日20時はお楽しみタイム。バルコニーに出て住民が拍手し歓声をあげて、お互いを称え合います。もともとは最前線で奮闘する医療従事者への感謝と称賛で始まったようですが、今は住民同士「今日も一日よくがんばったね」と褒め称えコミュニケーションを取っています。今日も夜空に歓声が数分間響き渡ります(3月29日よりサマータイムが始まったので1時間早くなり、夜8時でもだいぶ明るくなりました)。
スペインでも料理の負担が増大。だからこそ、料理を楽しみにしたい。
リモートワークや休校で自宅で過ごす時間が増えることで、毎日の料理の負担が増加したと感じた、あるいは感じている方も少なくないことと思います。スペインでもこの非常事態での大きな困りごとの一つは、料理の負担の増加です。だからこそ、毎日の料理を楽しみにすることをミッションにするクックパッドの出番。日本でも「人気順検索」を3月15日(日)までの無料開放するなど、様々な支援をしています。
スペインのクックパッドは、料理を楽しむ人々のコミュニティ。そこで、コミュニティならではの、毎日の料理の負担を軽減する、そして楽しくするような施策を実施しています。
①世界中パパママの悩みは同じ!休校中の子供の食事は一大問題
日本でも多くのお父さんお母さんを悩ませたのが、そう、子ども向け昼食。突然の一斉休校に伴い、突然出現した日課、それが休校中の子どもたち用の昼食でした。出勤する場合は、子どもだけでも食べられるようにお弁当を用意したり、レンチンできるように作り置きをしておいたり、リモートワーク中ならば勤務時間をやりくりしたり、と毎日毎日の負担です。
私の息子もいつもは保育園で昼食を食べているのですが、もちろん今は保育園がお休みなので自宅で三食&おやつを食べています。大人だけだったら軽く済ませても良いのですが、やはり子どもにはちゃんと栄養のあるものを食べさせてあげたいもの。しかし、毎日のこととなるとじわじわと負担になってきます。
そんな負担になりがちな休校中の子供の食事。そしてアクティビティ不足で退屈そうにする子どもたち。そこでクックパッド・スペインでは、3月中に子どもたちと一緒に料理したレシピをハッシュタグ#cocinaconlospeques(子供と一緒に料理)をつけて投稿すると、レシピの投稿数に応じて、その子の名前入り証書をお送りするという企画を開催中。
自分の子どもの楽しみをシェアすることで、同じく子どもと料理をしてみたいと思っている人に役立つことができるんです。
こちらはクックパッドのスタッフであり、二人のやんちゃ男児のママ、サラのレシピ。ところどころ作業工程の写真に子どもの手が写り込んでいますね。
他にもアイデアいっぱいの子供と一緒に料理を楽しむレシピが投稿されています。気になる方は、クックパッド・スペインから#cocinaconlospeques を覗いてみてくださいね。
②SNSでのクッキングライブ配信
家にいる時間が増えた今こそ、インターネットで外の世界と繋がってみませんか。クックパッド・スペインでは、インスタグラムとフェイスブックででライブ配信を行っています。
インスタグラムではクックアロング(一緒につくろう)という企画を配信しています。これは、スペインチームに所属する異なる国スタッフが、料理を一緒に作る様子をライブ配信するものです。昨日は、コロンビアのスタッフがアルゼンチンのスタッフにコロンビアの家庭料理アレパスを教えていました。アレパスは、もとはベネズエラの家庭料理ですが、お隣の国コロンビアでも定番の一品です。時差の関係で日本の深夜の時間帯になってしまいますが、もしちょうどよいタイムゾーンにいらっしゃったり、もしくは日本でも夜眠れない方はインスタグラムの@cookpad_recetasにアクセスしてみてください。
上がコロンビアのディーナ、下がアルゼンチンのロミナ。二人のスペイン語のアクセントの違いも楽しい。
また、フェイスブックでも、スタッフが自宅キッチンからライブ配信しています。昨日はアルゼンチンスタッフのノラリがCookpad Argentinaというアカウントでバナナ・マフィンを作っていました。
クックパッド・スペイン語版のコミュニティでカリスマ的人気のある彼女。彼女のクックパッドページにずらりと並ぶケーキやパンの写真を眺めているだけでも惚れ惚れしてしまうのだけれど、ライブで手際よい手元を見ると改めて尊敬してしまう 。
③一番大事なことーー自分自身が楽しむ!
スペインオフィスでは、先週金曜日からリモートワークが開始しました。スペインチームの半数はラテンアメリカなどスペイン国外に住むリモートスタッフで、私も毎日ほとんどの会議をZoomで行っているので、大きな変化は感じていません。後方から息子の叫び声が聞こえる以外は。
さて、周りを楽しませるためには、まず自らが楽しまねば。在宅勤務=家にいる時間が長い=料理がしやすい。ということで、スペインオフィスのスタッフはいつも以上に料理をしています。
例えば、こちらはエンジニアのパコのシンプルなアロス・ネグロ(イカスミのパエリア)のレシピ。#YoMeQuedoEnCasa Día 1(在宅1日目)って書いてあります。在宅勤務一日目から私の一番大好きなパエリアであるアロス・ネグロを作るとは。今度オフィスでも作ってもらわなくっちゃ。
そしてこちらは3人の子どもたちのお母さんであるルシアのブラウニー。先日、一番下のクリスくんの5歳の誕生日だったのでこのケーキを作ったそう。リモートワーク中でなければこんなケーキは作ってもらえなかったかも?!
と、料理をするのが重荷になりがちな今だからこそ、手作り感満載で料理を楽しくしようとスペインチーム一同取り組んでおります。
現場からは以上です!
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