見出し画像

【本】林田一『事例で分かる大人のADHD』~10分で読めるシリーズ

本書を読んだきっかけは、仕事の関係で、ADHDの方の特性をつかむ必要があったからでした。

2日のうちにつかむ必要がありましたが、本屋に行ける時間はありません。ですが、WEB記事では全体感がつかめないこともあり、少し不安があります。

「ここは、やはり本ではないか」ということで、Kindleを探して出会ったのが、この本です。

ちょうど期間限定セール中で、私が出会った時は99円でした。
99円で10分で読めるのであれば、試してみない手はありません。
早速購入してみました。

本書は、10分で読める分量ということで、27ページの薄さです。
結果、かなり内容を絞り込んでいます。
実際は症状の現れかたはさまざまですが、分量の都合上、ひとりのパターンしか紹介されていません。

ですが、そのモデル例が、臨床心理士の支援方法にもとづいて、「社会生活暦」「査定」「援助」それぞれのフェーズで紹介されているので、ひとりの例としては実際の事情から専門家の目線まで全体がカバーされています。

数多いADHDの特徴の現れかたを網羅することはできません。
それでも、複数例が紹介されていると、なんとなくいくつか知っているような気になってしまいます。

そこを、あえて一例にしぼってADHDの特徴を説明した本書のスタンスは、ひとつの切り口として「大いにあり」だと思いました。

私は少なくともこの本で、ADHDには、多動、衝動、不注意の3つの特徴があり、
①多動+衝動の多動型
②不注意型
③ ①+②の混合型
などが存在することがつかめました。

また、ADHDの説明を車で例示したこの部分が、ADHDは「良し悪し」ではなく、「そういう特徴」なんだということを理解するのに、非常に優れていると思いました。

ADHDの多動型というのは出力の強いエンジンを積んでいるとイメージしていただければ分かりやすいと思います。
不注意はバックミラーやサイドミラーのない車です。視野が前しかないので、車を横や後ろにぶつけることが多いでしょう。
衝動性はブレーキの利きづらい車です。一度走り出してしまうと中々とまるのが困難ですね。
このように、ADHDとは程度の大小はありますがこのような車だと思って下さい。確かに、すべての装備を兼ね備えた車ではありませんが、良いエンジンを積んでいるためどの車よりもスピードが出ることでしょう。それは現実世界に戻すならば、興味を持てばすごい勢いで吸収していくとも言えます。

「良いエンジンを積んでいるためどの車よりもスピードが出る」という能力。

ADHDを知っていくうえで、最初にこの本に出会えたことは、とても幸運だったと思います。

この「10分で読めるシリーズ」は、他にもいろいろなシリーズがあるようです。

どれも、短く、手早く1冊読了でき、低価格です。

知りたい知識の入口としてや、本を読む習慣をつけたい人には有用なシリーズではないでしょうか。

気になる本をぜひチェックしてみて下さい。



いいなと思ったら応援しよう!