「育休延長したいから保育園入りたくない」に厳しく〜育休給付金延長厳格に、本当に必要?
育児休業給付金の延長手続きを厳格化する方向で、雇用保険の施行規則を改正する案が正式に出されました。
この方向性は、2023年9月に審議され、私も以下の記事で採り上げていたものです。
いまの法律では、育児休業は原則は1歳までとなっています。
それを超えての延長は、本人が延長したいと希望してできるものではありません。
保育園に入れないなどの、「自分は働きたいのだけど、子どもを預けるところがない」というやむを得ない場合のみ、延長することができるという法律です。
ハローワークからもらえる育児休業の給付金も、その法律にしたがって運用されているため、保育園に入れないなどのやむを得ない場合のみ、引き続きもらえることになっています。
ここで起こっている問題が、「保育園に入れないから延長する」ではなく、「延長したいから保育園に入れないようにしたい」という、逆の要望と現状のアンマッチです。
結果、保育園の申し込みはしても、わざと人気の園に申し込むなどして保育園に入れないことを狙う人、さらには、保育園に入れたのに「なんで入れるの?延長出来ないから困る!」と役所に文句を言う人までがでている事態になっています。
そういった延長狙いの保育園申し込みをなくすための変更が、今回の改正です。
資料によると、育児休業給付金を延長するためには、これまでは保育園に入れない証明だけでよかったのが、以下のように、保育園申込のコピーと、本人が書いて出す申告書が必要になるとのことです。
みなさまは、このやり方でいまの事態が良くなると思われるでしょうか?
私は、反対だと思っています。
そこまでして保育園に入りたくない、延長したいという人は、育児休業を取っている人全体からしたら、そこまで割合が高くないのではないでしょうか。
キャリアを積むことを意識している人のなかには、育児休業はそれなりで切り上げて、早く育児短時間で復帰し、仕事をしたいと思っている人もいるでしょう。
そんな人ももれなく、保育園に入れなかったらこのプラスオンされた手続きをしなくてはいけないのです。
育児に家事に忙しい毎日のなかでのその時間や手間は、本当だったらもっと他の素敵なことに使われていたはずです。
そんな時間を一律に負担させるくらいなら、もう余計な審査はやめて、希望すれば2歳まではもれなく育児休業がとれるようにしたらどうでしょう?
キャリアで必要なのは自立。
たっぷり育児休業をとるのも、早めに復帰するのも、それぞれの家庭により方針や判断があるでしょう。
この多様性の時代、一部の人のために厳しくするのではなく、本人が選択できるようにすればよいのではないでしょうか?
その場合、育児休業が2歳までとれるのにとらないと損だとか、子に愛情がないのではとか、そういうことを言う人はほうっておけばいいのです。
もっと国は国民に任せるべき。
そう思います。