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介護保険の今後のために、介護保険がつかえる福祉用具がどう選ばれるか気にかけておこう 0364/1000
2023年3月16日に厚生労働省でひらかれた「第215回社会保障審議会介護給付費分科会」で、「令和4年度介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会の結果について」という報告がありました。
以前ちきりんさんのブログを紹介しましたが、介護保険がつかえる福祉用具はその用具の値段の8割~9割が介護保険から支払われるため、今後介護保険財源がますます厳しくなっていくことを考えると、わたしたちも気にかけるべきポイントです。
報告資料では、どういう基準で福祉用具が評価され認定されているのかがわかります。
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これらの評価検討項目をもとに、有効性・安全性の視点から評価され、判断される、ということのようです。
「保険適用の合理性」には、「一般国民との公平性や経済性、有効性、保険給付への影響等の観点から総合的に勘案」とあり、やはりどう考えても一般の商品との明確な区別ができないものは、選ばれない・・・はず、ということになっています。
今回、まさに入浴用補助椅子が検討対象としてあがっており、どいういう観点で検討しているかがわかるようになっています。
説明書きには、「さらには介護保険の給付費抑制を目的とし、提案する」とあります。
この椅子を介護保険が利用できる用具として認めた結果、「この用具を認めれば、利用者がよりいっそう安全に入浴できたり、介助者の負担を軽減することにつながって、用具に使う介護保険給付費のほうが低くすみます」という大前提がまずかかれています。
結果、この用具は、今回はみとめられず、継続して検討されるという結論になっています。
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総合的評価をみると、まさに、大前提に「?」がついていました。
「介助者の負担が軽減されたとあるが、アンケート調査による該当の有無に留まっており、具体的な軽減効果が示されていない」
「示されている利用対象者に対して、どのような介助行為が軽減されて、どの程度介助者の負担軽減につながったのか、具体的な効果や事例を示す必要がある」
介護保険で認めるに足りる、客観的な根拠をしめしてくださいという差し戻しです。
要件6「給付対象となることにより、市場への供給が高まり、利用が促進されるもの」の評価内容では、まさに、民間の類似製品との価格差も表示されています。
○希望小売価格
・98,000円
○類似製品の価格 ※該当がある場合、事務局で記載。
・10,000円~30,000円
この椅子が介護保険がつかえる福祉用具として認められれば、介護保険をつかって買うひとは、一番安くて9,800円で買うことができ、類似製品の10,000円よりは安いということになります。
そして98,000円マイナス9,800円の88,200円は介護保険からメーカーのところへ・・・
それでも、その用具が、本当に今後の介護保険給付費が減らせれば意味がある金額だとは思います。
そのあたりがきちんと評価されているか、私たちも関心をもつことで、より正当な評価をうながせるのではないでしょうか。
気にかけておきたいところです。