副業・兼業を妨げる労働時間通算の問題にいよいよ着手?〜新しい資本主義実現会議2024年改訂版
岸田総理が就任以来取り組んでいる「新しい資本主義実現会議」の、2024年改訂版が公表されました。
「新しい資本主義実現会議」は、2021年に初案が公表され、毎年状況の変化等に応じて改訂版が公表されています。
中には、労働移動を活発にするために雇用保険失業給付を自己都合退職でももらいやすくするようにする案など、この「新しい資本主義実現会議」で言及されたことが、その後法改正で実現しているものもあります。
今後の法改正の方向性を確認するのにも、確認しておきたい資料です。
今回注目したいのは、副業・兼業についての対策です。
原案では、「副業・兼業の奨励」となっていました。
それが、3年たち、状況の変化はこう受け止められています。
「副業・兼業が認められている割合は過半数に達した」。
ソースは参考資料の円グラフです。
「更なる導入加速を図るべき」と、さらにその先の目標達成がされています。
副業・兼業の更なる導入加速のハードルとなっているのが、副業・兼業の場合も、労働時間としては通算して考え、法定労働時間を上回る部分については割増賃金が必要だという決まりです。
制度が複雑で運用が難しいうえ、企業としては割増賃金を負担する側になりたくはないのが実情だと思います。
とはいえ、最初から割増賃金も混みで時給を定め、支払っている会社もあるくらい、人手不足は深刻のようです。
今回は、「副業・兼業における割増賃金の支払いに係る労働時間の通算管理の在り方について、労働基準法の関係法令における解釈の変更も含めて検討し、結論を得る」とあります。
「検討する」ではなく、「結論を得る」。
法定労働時間を大きく超えて働くことによる健康管理の問題など、どのように決めても残された課題が大きいのが、労働時間の問題。
どのように検討され、意見が交わされ、結論が出るのか、注目していきましょう。
もしかしたら、3年後には副業・兼業がふたつどころか3つ以上も当たり前の世の中になっているかもしれません。