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会社は社員や求人応募者のゲノム情報収集はNG!厚生労働省でFAQ

ゲノム医療推進法とは?

令和5年6月16日に成立した「ゲノム医療推進法」。

正式名称は
「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」
と長く、当時の厚生労働委員長が提出した議員立法です。

「ゲノム(genome)」は、"gene(遺伝子)"と集合をあらわす"-ome"を組み合わせ、生物のもつ遺伝子(遺伝情報)の全体を指す言葉です。

その個人で異なる全遺伝情報を、病気の診断や治療に活用するのが、「ゲノム医療」。

患者ひとりひとりに合う効果的な治療法を見つけられる可能性に期待が集まっていますが、その一方で、遺伝情報は、その人の個人情報のかたまりでもあります。
取り扱いは慎重の上にも慎重になる必要があります。

したがって、この法律は、成立と同時に施行されましたが、「施行後5年を目途として施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じる」こととされています。

「ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループ」ではそのあたりの検討が細かく続いていますが、今回、「ゲノム情報による不当な差別等への対応の確保(労働分野における対応)」として、労働分野における取り扱いのFAQが公開されました。

労働分野での取り扱いは?

今回のFAQは、6ケース。

まずは大原則として、会社側が労働安全衛生法に基づく健康管理のための情報として、労働者のゲノム情報を収集することは、できません。

また、労働者が会社からゲノム情報を求められたとしても、応じる必要はありません。

そのうえで、もしゲノム情報を提出してしまったことで、何か不利益なことがあっても、それは有効とは認められないことも記されています。

ただしそこには
「ゲノム情報のみをもって、人事考課に不利益な扱いをすることは一般的に裁量権の濫用に当たるとして、無効になる」
等との記載があり、この「ゲノム情報のみをもって」というところの証明は難しい場合があります。

かりに、会社側が「ゲノム情報のみの理由で」不利益扱いしたとしても、会社側も素直にその通り認めるとは考えにくいからです。

最初から会社側がゲノム情報を求めないことはもちろん、求められたとしても労働者側は提出せず、法律違反に近いような情報提供を求める会社は辞退するのが一番です。

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