蛙の子は蛙2



祖母から

汚い水から出てきたのがお前だ、
と小さい頃に言われた事がある。

自分が赤ん坊の時の思い出話は
それくらいしか知らない。

赤ん坊の自分を
写真ですら見たこともない。

こんな子だったよ、
こんな風に育ったんだよ。

そんな風な事を当たり前に
世の中の親は自分の子に教えるのが
自然な気がするのだが、

私が知る記憶の中では
【汚い水から出てきた】
だけであり
他のことは何も知らない。


気にならなかったのも、
興味がなかったのも、

これ以上聞いても良い事がひとつも無いからって
分かっていたからだと思う。

汚い水とだけ聞けば
それがいい事じゃない事くらい
当時幼かった私にでも察しがつく。


今思えば母は妊娠中、
不摂生に生活していたんだろう。

私は身長もずば抜けて小さかったから
背の順はいつも一番前だったし。

生まれつきの喘息で何度も
苦しい思いをしてきた。

多少知恵遅れ何じゃないかと
思ったこともある。

幸いな事に
目も鼻も指の数も正常にあるだけ良かったが。


顔も知らない母に言いたい。

私はこの世に

産まれてくる必要があったのか、と。

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