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2024~2025 3歳クラシック血統分析(第25週) 2024/11/16~11/17
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今週から東京開催がCコースに替わりました。
Bコースに替わった直後ほど極端ではないにせよ、やはりラチ沿いギリギリが一番伸びるコース。そこを通れたかどうかを見ておくことで今後の指針になると思います。外を回して差し切るには能力の違いか、もしくは早めの仕掛けが必要になる馬場でした。
逆に京都コースはインが荒れて外回しやまくり、早仕掛けが求められる展開になりました。こちらは逆にインで粘った馬の方が高く評価できるので、その辺りの見極めが重要です。ルメール騎手はその辺りのジャッジが適切で、今回は彼の腕で勝たせた馬もいました。
以前S評価をつけたキズナ産駒レイユールが赤松賞に出走しましたが、前走の末脚を過信したためか仕掛けが明らかに遅くなり、脚を余しての2着という結果に。キズナ産駒が強い差しを決められるのは新馬戦だけであり、本質は先行粘り込みであることを理解している騎手が必要になります。残念ながらこれは騎手のミスでしょう。
また土曜日に行われた東京スポーツ杯2歳Sを制したクロワデュノールですが、新馬戦を制したときの評価「B+」に変更はありません。父母間の相性が良くそれなりに完成された配合ではありますが、特筆すべきものとは言い難いものです。
上がりタイムが非常に速く能力を感じさせる競馬ではありましたが、頭数も少ない上に2着との差も少なく、また他出走馬もそれほどの実力馬とも言い難いです。
これをもって即クラシック級の実力馬と判定するには早計と考えます。
◆11/16 東京 芝1400m新馬戦
・エルマーゴ(サートゥルナーリア×ホーリーウーマン) 評価B+
Cコースに替わってインが粘りやすくなった馬場を楽に先行した3着馬だったが、そこを外から2着馬(ビッグアーサー産駒)と2頭で合わせながら差し切った。
外が伸びる馬場というわけではないので、サートゥルナーリア産駒らしい爆発力をもってしてもある程度長く脚を使わないといけないのは確か。あまり馬体を合わせて粘る印象のない父の産駒だけに、こうしたレースができたのは悪くないだろう。上がりタイムも1400mのスローペースということを入れても悪くない。
母が近親交配馬で緻密な構成となっており、本馬自身もその構成に従った濃厚な血統構成。距離延長向きではないが良い血統。
上がり1ハロン:11.2秒
残400~200m:11.2秒
ラップ:37.9-33.5(超後傾)
サートゥルナーリア:ゴール前でひと頑張りする闘争心は父からきちんと受け継いでいた模様。問題はそれを多頭数戦で発揮できるかにある。こうしたタイプは距離が伸びてマイナスになるケースがあるので、そのあたりの見極めも重要か。ただし今のところの傾向として、爆発力はかなり優秀なものがあるが少頭数の方が向きそうな感じ。
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◆11/16 東京 芝1600m新馬戦(牝)
・インプロぺリア(ロードカナロア×パストフォリア) 評価B
今週土曜の東京はインが比較的走りやすかったこともあり、インべったりを走った馬には多少割引が必要なのは事実。ただ外から来る馬をまったく問題にせずに走り切っているだけに、レース内容をしっかりと吟味する必要がある。
東京のマイル戦、それも牝馬限定にしてはペースをまったく緩めることをせず、12秒台のラップも一度だけ。他が伸びなかったというよりは「他をすべて競り潰した」と表するのが正解かもしれない。
ロードカナロア産駒は闘争心がないというわけではないが、際立って強い性格を見せることはないので母父シンボリクリスエスは気性の強化に適している。だが配合としてはそのシンボリクリスエスに血を集めてはいるが、その他は平凡。ハッピートレイルズの良質な牝系ではあるが、それぐらいしか特徴がないのも事実。
上がり1ハロン:11.5秒
残400~200m:11.4秒
ラップ:35.9-34.8(フラット)
ロードカナロア:距離を問わず強い馬を出している優秀な種牡馬だが、母父の影響をかなり受けるタイプ。闘争心はそれなりにあるし多頭数適性もあるのでG1路線でも通用するが、ドゥラメンテやエピファネイアと比較するとやや本番に弱い感じがある。ただしそれはトップクラスでの話。
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◆11/16 京都 芝1800m未勝利戦
・フォーキャンドルズ(エピファネイア×デルマコイウタ) 評価B+
京都の2歳戦は1600mと1800mでまるで性質が違う。内回りで行われる1400mや1600mはレースが単調で強い馬を選抜するには不向きだが、1800mは古馬になっても使用するコースなので、ある程度の強さが求められる。先行馬が残る展開ではあったが、3着には後方から来たブリックスアンドモルタル産駒が突っ込んでいるように、そこまで楽なレースではなかった。
道中のラップに緩みがあり、その割にはそこまで上がりタイムが優れているわけではないので能力の過信はできないが、まずまずの勝ち方と評することは可能か。
母がエアデジャヴ―の牝系で、能力の源泉も祖母内ノーザンテーストへ血を集合させたことにある。だがそれだけに多少限界が見えている感じもある。悪くないが……という評価。
上がり1ハロン:11.6秒
残400~200m:11.6秒
ラップ:37.2-34.9(後傾)
エピファネイア:持続する末脚がないために上がりタイムでは他の種牡馬よりも見劣りするが、一瞬で爆発的な脚を使えること、もまれる展開でも脚を使えるメンタルの強さがあるため多頭数の格上げ戦に強い。そのため格下では取りこぼすし、勝ち上がり戦自体は平凡なこともある。
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◆11/16 京都 芝1400m新馬戦
・メイショウタマユラ(キンシャサノキセキ×ピリカ) 評価B
4コーナーで一気に仕掛けた2着馬の背後につけ、一気に差し切る豪快な勝ち方、あれだけ上手く出切った馬を差すのは難しいが、気性が非常に強いキンシャサノキセキ産駒らしく「前に馬を置いて」強い走りを見せてくれた。
ただし京都1400mの2歳戦ということで、緻密さは一切求められずに荒っぽいレースで通用するということを意識しておくべき。常時11秒台のフラットな流れだったこともあり、馬場が固くなければ前に行った馬が苦しいレースだったことにも助けられた。
母父もヨハネスブルグで、短距離の気性の強さに全振りした内容。この勝ち方が次も出来る感じはしなかった。
上がり1ハロン:11.8秒
残400~200m:11.8秒
ラップ:35.8-35.1(フラット)
キンシャサノキセキ:フジキセキ自身も気性の強さとコントロールの難しさを持つ種牡馬だったが、さらに気性を強めたのがキンシャサノキセキ。平坦コースや少頭数なら馬群を突き抜けるぐらいの走りも出来るが、トップクラスでは限界を見せるタイプ。相手が強くないレースなら重賞でも頑張れる。
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◆11/16 京都 ダ1800m新馬戦
・ヒルノハンブルク(ナダル×グリントオブライト) 評価A
私はレース映像を見るときは事前に出馬表を見ず、走りの内容を持って誰の産駒なのかを考えるようにしているが、直線での走りを見ただけで「これは間違いなくナダル産駒」と感じさせるだけの強さを見せた。
前の馬とラチ沿いにほとんど隙間がないにもかかわらず、その狭い場所を突き抜けるには相当の爆発力がないと不可能。ゆっくりとかわすのではインは突けないが、それが可能なのが闘争心現役最強クラスのナダル産駒だ。
直線の走りは絶賛するに値するものではあるが、レースは最初だけが速く、そこからラップが緩んだ割には最後まであまり伸びなかったのは疑問も残る。この程度で止まってしまうような馬を交わしただけ、という可能性も捨てずにおくべき。見た目は優秀だが中身はそれほどでもないか。
ただし配合内容は非常に優秀。Kris S.の強いインクロスを持っているが、それを最大限に生かしたBlame≒アドマイヤライトの近似構成は魅力的。相手が強くなってどのような走りを見せられるかに注目したい。もう一度確認したい馬。
上がり1ハロン:13.0秒
残400~200m:12.6秒
ラップ:38.5-37.6(後傾)
ナダル:ダートと短距離戦に実績が偏るが、先行だけでなく中断から差す競馬もできているように、Kris S.系の闘争心は強く受け継いでいる模様。最大の長所は一発の爆発力で、瞬時に相手を突き放すレースをして光るタイプ。ダート向き種牡馬ということもあり先行さえできれば我慢が効くタイプ。
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◆11/17 福島 芝1800m新馬戦
・ウインファヴォリ(リオンディーズ×ウインファビラス) 評価A
福島開催の新馬戦とは思えないほどに良血馬が揃った一戦となったが、4コーナーでごちゃついた上に直線でも特段の動きがない平凡なレースになってしまった。
いわば混乱の当事者とも言えるこの馬が結果的に押し切ったが、外を振り回す不器用なレースが得意(というかそれしかできない)リオンディーズ産駒にはかえってプラスになった感。母父ステイゴールドということもあり気性のコントロールが相当難しそう。
ただし血統構成としては高く評価すべき。父母同士の相性が極めて良く、ほとんど相似状態とも言えるレベル。どこかで一発決めてくれそうな魅力を秘めた馬で、いろいろな意味で楽しみ。
上がり1ハロン:12.0秒
残400~200m:12.5秒
ラップ:37.0-36.6(フラット)
リオンディーズ:キングカメハメハ系らしく旺盛な闘争心を持つが、兄エピファネイアと比べれば少し気性のコントロールが難しいのがネック。そのため中山マイルなど外回しが利くコースで良さを見せるのが特徴。広いコースで鋭く差すのが得意。
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◆11/17 東京 芝1800m未勝利戦(牝)
・ロートホルン(サトノダイヤモンド×ホーリーウーマン) 評価B+
インが粘りやすい馬場は日曜日も継続しているため、6馬身差とはいえインを通って逃げ切り勝ちしたこの馬を過大評価することは出来ない。だがコースはともかく、ラップ内容としては非常に優秀だったのも事実。
東京の1800mは2歳戦だとスローになりやすいが、最初の2ハロン目からかなり速いラップが続き、道中もほとんど緩めることなく後続を競り潰す走りが出来ていた。サトノダイヤモンド産駒でもまれさえしなければ強さを発揮する馬だが、今回はただもまれずに済んだのではなく「自力で勝利した」と言える内容。ここは高い評価に値する。
グランアレグリアの母に似たアウトクロスで緻密な血統構成の母親は極めて良質な血統構成の持ち主で、今後にG1馬を出す可能性が高いと見る。ただ当馬自身は母の良さを生かし切れず、Haloのインクロスに頼った凡庸な構成になったのが残念。母の血で走っている馬。
上がり1ハロン:11.6秒
残400~200m:11.6秒
ラップ:35.7-34.5(後傾)
サトノダイヤモンド:重賞でも格負けしないだけの体力を伝えられるので決して悪い種牡馬ではないが、とにかくもまれるレースに弱い。広いコースや少頭数では無類の強さを見せるが、それが格上げ戦になると発揮できない。
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◆11/17 東京 ダ1600m新馬戦
・レイクストライプス(American Pharoah×インファルターメ) 評価B+
東京のダート戦は後傾ラップを取りやすいこともあり、長く脚を使える馬と「先行して粘って後続を潰す」スタイルの馬に向いている。ダート戦にしてはかなり上がり2ハロンが速く、長脚勝負になった。
勝ち馬はやや緩い流れを3番手で先行して、前にいた2頭を競り潰しての勝利。前にいた馬は完全に脚を失って2着と3着には大きな差がついた。こうした長い直線での消耗戦に強いのがFappiano系、さらにいえばUnbridled's Songの系統。カフェファラオの走りをイメージするのが一番楽。逆に言えば鋭い脚で突き放せない。
体力勝負で戦えるうちは上位でやれるだろうが、そのうちにある程度の爆発力や切れ味も求められるようになってくる。上位に行くとジリ脚傾向になるタイプでもある。Candy Stripeを十全に生かした母の血はしっかりしているが全体の配合としては不満も残る。
上がり1ハロン:12.1秒
残400~200m:12.0秒
ラップ:37.7-36.6(後傾)
American Pharoah:小回りコースではペース配分が求められてしまうので、不器用なこの馬には辛い。だが広いコースで長く脚を使い、爆発力が求められない流れになれば抜群の強さを発揮する。コースや馬場状態をを選ぶタイプで、強い時の勝ち方に騙されてはならない。
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◆11/17 東京 芝2000m新馬戦
・サトノパトリオット(レイデオロ×ティファニーズオナー) 評価B+
Cコース替わりによるスタンド前直線の芝状態は確かにイン有利だが、向こう正面の芝状態も意識しなければならない時期だろう。少頭数戦ということもあって終始外側を回し続け、4コーナーでも大きく振り回すようにコーナリングしたことでうまくスピードを乗せることが出来た。
レイデオロ産駒は脚の使いどころが極めて難しく、一瞬の爆発力はないし長く加速する脚もないし、タイミングをうまく見切って出切る以外に勝つ方法がない。今回は2着のダノンピクチャーが終始外に逃避しようとしていたこともあって残すことが出来たが、正直なところ「あれがなければ差されていた」だろう。
上がり2ハロンのタイムは相当に優秀で、高い能力があることは確か。さらにBest in Showの牝系で父母の相性も良く、決して血統構成だけなら見劣ることはない。だがレイデオロ産駒であること自体が弱点とも言えるだけに、今後はレースを選びそう。
上がり1ハロン:11.4秒
残400~200m:10.9秒
ラップ:38.6-33.5(超後傾)
レイデオロ:Mr. Prospectorの近交馬ではあるが、ダート向けの闘争心を欠く感じ。ディープインパクト産駒のB級種牡馬にありがちな「少頭数で長い脚を使うがスピード不足」というタイプで、小回りコースの中距離が主戦場になる。クラシック向けの馬ではない。
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◆11/17 京都 ダ1200m新馬戦
・キアニーナ(Take Charge Indy×Carpe Solis) 評価B+
ハイペースとも言えない平板な流れをすっと先行し、追いすがる2着馬を振り切っての勝利。一瞬で相手を突き放す場面がない時点でナダル産駒ではないと分かるし、逆にじりじりと相手を突き放したことでA.P.Indyの系統と分かる「判別しやすい走り」を見せた。
軽い走りで勝っているので、ペースにメリハリが求められたときにどういう対応ができるかが鍵。タイプとしては距離延長はあまり向かず、1400mタイプになりそう。
祖父A.P.Indyと祖母Summerlyがほぼ同じ血を持っており、かなりの近親交配形態。それだけに早熟で早い段階での勝負が求められることになるだろう。弊害が出るかどうかはギリギリのところ。
上がり1ハロン:12.5秒
残400~200m:12.3秒
ラップ:36.4-36.6(フラット)
Take Charge Indy:A.P.Indyの系統でハイペース先行を得意とする。ギリギリまで足をためることさえ出来れば一応一瞬の加速は可能だが、ダート戦でそれが可能なタイミングはまずない。Deputy Ministerも入ってさらに「スケールで押し切る」大味な走りに偏っているタイプ。器用なレースは難しそう。
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◆11/17 京都 芝1800m新馬戦
・キングメーカー(スワーヴリチャード×プレリュードフィズ) 評価B
緩んだペースで坂の下りから少しずつ流れ始めたところを、早めのまくりで先頭に立ってそのまま押し切った。京都コースならではの勝ち方ではあるが、気性の強さを肉体的な強さが嚙み合わずにコントロールが難しいスワーヴリチャードにはベストの走りと言える。ルメール騎手の腕が光ったレース。
本来なら鋭い差し脚もインを突く闘争心もある系統だけに、あまり楽なレースをさせ過ぎると今後が不安になる。多頭数でも人気薄の一発では魅力はあるタイプなので、過剰な人気で嫌っていくのが今後の指針となるだろう。
サンデーサイレンスの3x3インクロスの持ち主で、さすがにちょっときつすぎる。王道を歩むタイプにはならないだろう。
上がり1ハロン:12.5秒
残400~200m:12.3秒
ラップ:36.4-36.6(フラット)
スワーヴリチャード:旺盛な闘争心を持ち、インから鋭く差す走りも得意。ただしメンタルが不安定で狭いコースでごちゃごちゃするとやる気をなくすので、基本的には広いコースか大外振り回し向き。人気を背負ってマークされる展開になった時の信頼性は低い。
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「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。