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エイシンワンドの勝利と芝1200mの見方

まずは謝罪から入ります。

以前、小倉2歳Sを制したエイシンワンドを私はこう評しました。

8/10の血統分析記事より

C評価はいわば最低評価であり、私はこの馬の勝利内容をまったく誉めていないことになります。その理由としては

基本的にペース変化が求められない1200m戦において、
前後半のラップが 35.7-33.5 という超スローペースだったためです。

スプリント戦はスタートから速い馬が集まり、特にクラスが上がると厳しい流れでの消耗戦になる、それを考えると新馬戦だからと言ってヌルいペースで走っていては今後につながらない、と判断。そのため今後は1400m戦向きの馬になるだろうと推測しました。

だが現在の芝1200mを考える上で、それは明らかな誤りでした。

2015年以降の2歳(3歳)新馬戦・未勝利戦の芝1200m戦における「重賞勝ち馬分布」が下記となります。

タイムが速い順に並び替え、何位の時点で最初に「3歳以上での重賞勝ち馬(2歳重賞は除く)」が出てくるかを示すものとなります。なお対象となるレース数は1254レースありました。

(レース)とは先頭の馬が通過する際に計測されるタイムを指すので、実際に勝ち馬が出したタイムとは異なります。なお勝ち馬のタイムが公式で発表されるのは上がり3ハロンだけです

芝1200mとなると走破タイムが速かった馬が強いのではないか、前半から飛ばしたレースの勝ち馬が強いのではないかと考えましたが、実際に調査してみると全く逆の結果が出ました。

上がり2ハロン目のタイムが速い、もしくは自身の上がり3ハロンタイムが速いのが後に重賞を勝ちやすくなる条件でした。

前半から速いタイムを出して頑張った馬は、イメージとは正反対に後に苦戦する傾向が明らかになったのです。

ではエイシンワンドはどうだったか。

★は特に重要とされるファクター

エイシンワンドの新馬戦のタイムは上がり1ハロン、ラスト2~3ハロンのタイムが過去10年間で2位。上がり勝負であったとはいえ相当の能力を発揮していたことになります。

さらに言えば先ほど「後に重賞を勝ちやすくなる条件」とした800~1000m(上がり2ハロン目)のタイム、そして自身の上がり3ハロンタイムでは5位、3位と十分に重賞勝ち馬に値するだけのタイムを叩き出しています。

現在の芝スプリントにおいて、私が重視した「前半から厳しいレースで耐える」はまったく求められていないので、

エイシンワンドがC評価というのは明らかに誤りであったことになります。


事実、新馬戦でエイシンワンドの2着だったクラスペディアも、未勝利馬にもかかわらず小倉2歳Sで2着に入っているように、エイシンワンドの勝った新馬戦は十分にレベルが高いレースだったことが明らかです。

記事を読んでいただいた皆様に深くお詫びいたします。

なお血統評価については変更はありません。Secretariatからの連続クロスが能力の源泉となるが主導が不明瞭で、母の血もそれほど優れたものではないという結論になります。

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浜栗之助
「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。