2024~2025 3歳クラシック血統分析(第22週) 2024/10/26~10/27
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今週から東京がBコースに替わりました。
Aコースの時点から内有利の状況が続いていましたが、それが改善されないまま10月が終わります。思ったよりも時計のかかる馬場となっているのはいいですが、少しバイアスがかかった馬場であることを認識しておいた方が今後は有効でしょう。特に東京芝で先行して勝った馬は今後割引が必要になります。
2歳重賞はアルテミスSが行われ、キズナ産駒が1着から3着を占める結果になりました。混戦で粘るのが得意なキズナ産駒にとってはベストの馬場状態だったので、この結果は当然でもあります。逆にそんな条件下で外から追い込んできたエピファネイア産駒、マイエレメントの内容は高く評価できます。
京都は芝が荒れてきました。今後どこまで荒れるかが不安なので、馬場状況のチェックは忘れずに行いましょう。
◆10/26 新潟 ダ1200m新馬戦
・ルイステソーロ(シニスターミニスター×ヘルディン) 評価A
1枠1番からすんなり先行して、そのまま後続をちぎっての勝利。速いラップで飛ばして相手がバテても自分は粘りとおす、という父の特性を最大限に発揮したレース内容。
こうしたタイプは自分のペースでさえ行ければ距離延長もさほど苦にしないし、だとでは安定株になれそう。ただし上位まで行ってしまうと後半の脚も求められるために限界に達する。
父母の配合は母父ロードアルティマを父母間、母内共に強調する非常に相性のいいものであり、アウトクロスの馬としては非常に良くできた内容。
上がり1ハロン:12.4秒
残400~200m:12.1秒
ラップ:35.1-37.3(前傾)
シニスターミニスター:完全なダート特化型種牡馬だが、これはA.P.Indyの走りの質が「先行して粘る」に特化しているため。Bold Ruler系はギアチェンジの速さがあるので硬い芝でも走れるが、そこで通用するだけのスピードを与えられない。なので得意分野に出走しているときだけ狙うべき。
◆10/26 東京 芝2000m未勝利戦
・リアライズオーラム(オルフェーヴル×オリヒメ) 評価B
今週から東京はBコースに替わり、先行勢が非常に走りやすい馬場となった。内枠からすんなり先行できたこと、さらには人気馬が後ろから行ってしまったために届かない結果となったこと、その双方が合わさっての「恵まれ勝ち」とも言える内容。
ただし上がりタイムは非常に優秀で、単なるラッキーによるものではないことも断言しておく。問題は気性のコントロールが効かないオルフェーヴル産駒であることで、馬場や展開のアシストがあって初めて能力を発揮できるのは確か。
配合は少々雑。強調点が特に見当たらないのがネック。
上がり1ハロン:11.0秒
残400~200m:10.8秒
ラップ:39.3-33.3(超後傾)
オルフェーヴル:闘争心の高さは現役種牡馬の中でもトップクラスで、前が崩れるレースに持ち込むか、人気のないレースで飛ばしていったときに粘りを見せるのが特徴。ただしコントロールが難しいので安定した走りができない。
◆10/26 東京 芝1400m新馬戦(牝)
・ルージュラナキラ(アドマイヤマーズ×レッドアネラ) 評価B+
うまく内から先手を取ってギリギリでの押し切り。最後は2着ブルーベリーフィズに追い込まれたが、なんとか凌ぎきった。1400m戦にしては伸び脚が求められるラップとなり、スローで先行して押し切るのが得意なアドマイヤマーズ産駒にはもってこいの展開だった。
今後問題になるのは距離が伸びた時にどうなるかと、1400mにこだわった場合にペースアップして同じ走りができるか。アドマイヤマーズ産駒には厳しいレース展開は不適なので、今後は距離を伸ばして走ることになるだろう。まだ距離延長で良くなる要素は見せていない。
アドマイヤマーズの母父Medicianに徹底的に血を集めた配合となっており、父の良さをうまく引き出しているのはプラス材料。
上がり1ハロン:11.0秒
残400~200m:11.0秒
ラップ:37.0-33.8(後傾)
アドマイヤマーズ:闘争心が豊富だったダイワメジャーの系統だが、産駒にどこまでそのメンタルが伝えられるかが最大の鍵。ややぬるいレースで好走する傾向があるだけに格上げでは不安もある。スピード、爆発力に関しては申し分ないレベル。
◆10/26 東京 芝1600m新馬戦
アーモンドアイ産駒アロンズロッドのデビュー戦として注目されたが、東京Bコース替わりのために後ろから行った馬はまったく伸びなかった。そうなると前にいた2頭にとってあまりに走りやすい(しかもマークも緩い)し、モーリス産駒は硬い馬場で先行して突き放す走りに特化している。すべてが上手くいった感。
東京のマイル戦で、道中ラップの緩みがあった割には上がりタイムは今一つ。正直「恵まれ勝ち」以外の何物でもないだろう。
血統構成は母が持つルーラーシップとオリエンタルアートの相性の良さを生かしているが、父母間では特に強調する要素がないのがネック。
上がり1ハロン:11.6秒
残400~200m:11.1秒
ラップ:37.4-34.2(後傾)
モーリス:オーストラリアでの成功を考えれば日本での実績がやや物足りないが、使える脚の長さが短いので長い直線を差し切る芸当ができない上に、ごちゃついた競馬を苦手にするのが原因。意外にスムーズに脚を使えるので「前にいる馬が少ないときに」軽く抜け出すのは得意。爆発力には欠ける。
◆10/26 京都 ダ1400m新馬戦
・ヴィリアリート(ナダル×メリーウィドウ) 評価A+
結果だけを見れば最初のコーナーを4番手で通過した扱いとなっているが、実際はスタートで後手を踏んだために無理やり加速させての4番手。そこからさらに脚を使い、直線に入ってからはみるみる相手を突き放した。
ナダル産駒の持つ旺盛なまでの闘争心が生きたレースだが、前に相手を置いた状態でぐんぐん抜いていけるのは魅力としか言いようがない。見た目よりもはるかに強いレースで、クラスが上がっても苦にすることはないだろう。
ゴールドアリュールにアフリートとダートで実績ある血をずらりと並べた母にナダルを付けたことで、祖母ウエディングベリーの血をほぼ完璧に使い切る見事な血統構成。ダート戦線で要注目の馬となるだろう。
上がり1ハロン:12.2秒
残400~200m:12.3秒
ラップ:36.6-36.7(フラット)
ナダル:ダートと短距離戦に実績が偏るが、先行だけでなく中断から差す競馬もできているように、Kris S.系の闘争心は強く受け継いでいる模様。最大の長所は一発の爆発力で、瞬時に相手を突き放すレースをして光るタイプ。ダート向き種牡馬ということもあり先行さえできれば我慢が効くタイプ。
◆10/26 京都 芝2000m新馬戦
・ミッキーゴールド(リアルスティール×グローバルビューティ) 評価B+
最初はかなりだらけた展開だったが、レース途中から一気に流れが速くなった。馬が一気に入れ替わる中、最初に抜け出したリンクスティップをマークして軽く抜け出す走り。ロングスパートが求められるうえに先行する馬を競り潰すレースであり、こうした流れで走れるのはこの父の産駒の強みと言える。
2着は使える脚が短いキタサンブラック産駒であり、出来ることならばもう少し突き放してほしかったのは事実。そこには不満もある。タイムは今の京都の荒れた芝を考えればそこまで気にする必要はないだろう。
母父Global Hunterに血を集めた母親の内容は優秀。父と母の相性そのものが良い配合。
上がり1ハロン:11.4秒
残400~200m:11.4秒
ラップ:37.5-34.6(後傾)
リアルスティール:フォーエバーヤングがアメリカで見せた無尽蔵の精神力は、この父が産駒に伝えす資質として最も大きいもの。我慢はするが最後の最後で力尽きるキズナとは正反対で、やや多頭数でのコントロールに難があるが「相手に食らいつく」メンタルの強さを持つチャンピオンタイプの種牡馬。
◆10/27 東京 芝1600m未勝利戦
・ダノンミッション(ロードカナロア×フローレスダンサー) 評価B
戦ってきたメンバーは強いので普通に勝ち上がった、という感じ。C.デムーロ騎手の腕も加味されての勝利だが、内容そのものは悪くない。
ただ血統構成は平凡。騎手が変わって同じ走りができる感じはない。タイムはもう少し速くてもよかった。
上がり1ハロン:11.5秒
残400~200m:11.2秒
ラップ:35.5-34.0(後傾)
ロードカナロア:距離を問わず強い馬を出している優秀な種牡馬だが、母父の影響をかなり受けるタイプ。闘争心はそれなりにあるし多頭数適性もあるのでG1路線でも通用するが、ドゥラメンテやエピファネイアと比較するとやや本番に弱い感じがある。ただしそれはトップクラスでの話。
◆10/27 東京 ダ1600m新馬戦
・タガノバビロン(ヘニーヒューズ×スペシャルディナー) 評価B+
東京のダートでたまに見られる後傾ラップのダート戦。こうした流れになると折り合いをつけるのが得意なヘニーヒューズ産駒にはもってこいの展開となる。父の優秀性を生かした勝ちっぷりで、見た目以上に強い内容。
Northern DancerとBuckpasserの組み合わせを中心に据えた母の配合は優秀。本馬はその母の良さに依存した感じ。
上がり1ハロン:12.1秒
残400~200m:12.1秒
ラップ:37.6-36.2(後傾)
ヘニーヒューズ:ダートでは現在一番優れた種牡馬と言える。典型的なアメリカ系ダート馬だと「とにかく先行して粘る」という内容に終始するが、この馬は爆発的な脚を繰り出して直線で勝負できるので、配合内容によっては芝ダート兼用でいける。闘争心も高い。
◆10/27 東京 芝2000m新馬戦
・アマキヒ(ブラックタイド×アパパネ) 評価B+
ディープインパクトからブラックタイドに変わってはいるが、血統構成的にはジナンボーなどの兄と同じ内容。ただし父が代わったことで闘争心はやや弱化し、抜け出すときの爆発力も落ちる。よって今回のレースみたいに内枠で粘りとおす走りが向いている。切れ味を求めると負ける。
2着のロジャリーマインが完全に差し切る流れだったのを再び差し返した走りは魅力的に映るだろうが、ブラックタイド産駒に「差し返す根性」というのは基本的にはない。あくまでも内ラチ沿いの芝状態が良かったから起こった現象であり、次のレースでも同じような走りができると考えてはならない。
血統構成はHaloへ全振りしたもの。よって軽いスピードはあるので良馬場には向く。
上がり1ハロン:11.1秒
残400~200m:11.3秒
ラップ:37.6-34.0(後傾)
ブラックタイド:ディープインパクトの全兄だが、弟ほどの多頭数適性を持ち合わせておらず、もまれて弱い産駒を出す。キタサンブラックのような名馬も輩出したが、あれも逃げに徹したり大外を回すレースができなければ弱さを見せるタイプ。少頭数、上りの速いレース、もまれないレースじゃないとダメ。基本的にはクラシック向きではない。
◆10/27 京都 ダ1800m新馬戦
・ゴールデンクラウド(Cloud Computing×Seoul Gold) 評価B+
道中のラップが緩んで、後半に大きくレースが動いた展開だったが一杯に粘って押し切った。3着以降を大きく離しており、着差以上の内容。アメリカンダート血統はこうした「行って粘る」ことを求められる展開になると非常に良さを発揮する。最後に馬体を合わせる流れになったのも幸いした。
祖母Taegu(母がSeoulなのはこの馬に由来)に徹底的に血を集めた内容で、どちらかと言えばパワーよりはスピードタイプ。時計の速い軽いダートが向くが厳しい競り合いになったときに投げ出す不安はある。
上がり1ハロン:12.5秒
残400~200m:12.3秒
ラップ:38.4-37.7(フラット)
Cloud Computing:フォーティナイナーの系統にA.P.Indyを加えたことで、基本的にはもまれずに突っ走って粘るアメリカンダートタイプの種牡馬。平坦コース、またはハイペースで良さを見せる。大雑把なレースをするので圧勝後のレースや格上げ戦でポカをやりやすい。
◆10/27 京都 芝1600m新馬戦
・リラエンブレム(キズナ×デルフィニア2) 評価B+
エピファネイア産駒のスマートミストラルが最後猛追する流れとなったが、直線入り口で大きく突き放したマージンを生かして押し切り。ただし内回りコースで一瞬の脚で抜け出す競馬はキズナ産駒としては珍しいもので、これだけでも評価は可能。
だがキズナ産駒的でない脚を使ったということは、本来父の産駒が得意とするレースで良さを発揮できない可能性があるということ。今回は内回りコースでの勝利だったが、直線が長いコースでロングスパートが可能かどうかを見極める必要はある。
サンデーサイレンス系に母父Sadler's Wells系をつけると間違いなくNorthern Dancer強調型になるが、そこに余計なインクロスを入れずにシンプルに仕上げられるかが上位で通用する、しないを分ける鍵。この馬は比較的うまくできている。
上がり1ハロン:11.5秒
残400~200m:11.7秒
ラップ:35.9-34.4(後傾)
キズナ:多頭数での安定感は抜群だが、上位クラスでは前の馬を抜こうとしない気性の弱さがネック。直線で邪魔をされなければ凄い差し脚を見せることもあるが、あくまで下級条件限定と言える。クラシック路線で勝つためには前が崩れる展開が必須。
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「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。