平成の眠りを覚ます上喜撰
※このテキストは無料ですが、ネタバレを含む部分のみ有料テキストとさせて頂きます。
私が住む町はかつてペリーが上陸した町として知られております。近所にはそれにちなんだ石碑などもあり、まさに「いとしのペリー」状態。
江戸へ行ったら横浜行け、横浜行ったら浦賀行け、浦賀へ行ったら「ワァ!黒船ダァ!」と散々な目にあった彼ですが、そんな彼らを見た当時の人々が詠った狂歌が今も伝わっております。
「泰平の眠りを覚ます上喜撰(じょうきせん)たつた四杯で夜も寝られず」
蒸気船と上喜撰を掛けた洒落として知られるこの歌ですが、この歌が有名な割には知られていないことが有ります。
そもそも「上喜撰」って何だ?
その謎を解くべく、探検隊は浦賀の地へと足を踏み入れたのです。所要時間は自宅から30分w
「ゴジラ~ゴジラ~ゴジラが来たぞ~♪ ゴジラ~ゴジラ~ゴジラが来たからすぐ逃げろ~♪」(歌詞は適当)
浦賀駅のホームで流れるゴジラのテーマを聞きながら駅前へ。今回お邪魔したお店は、日本茶専門店「茶井」さん。
店の前にドンと書かれた「お茶は上喜撰」の文字! これは期待できます。
お茶屋さんの奥にカウンターと座席があり、そこが喫茶スペースとなっているのです。メニューを頂いてしばらく読んでみることに。
上喜撰を飲みに来たのですが……ヤバい、他にも興味があるお茶が! 特に4番の「一滴茶(10cc)」って何だよ! この量で500円とは! これは次回チャレンジとします。
あと7番の○○茶……うーむ何だろう。昔ジャッキーチェンが「毎日ノンデマス」と嘘こいていたポッ○の「暴々茶」でしょうか。絶対違います。
それはともかく、今日の目的は平成の眠りを覚ますか? 上喜撰。
カフェイン大好きの私が垂涎の飲み物、ついに登場。
それでは一口……温度は60度程度で、最初からでも飲みやすいです。果たしてどれだけ眠れなくなる強力茶なのでしょうか
「………………ん?」
お茶の甘みがします。フラボノイド効果で口がさっぱりします。すっきりとした香りがシャッキリポンと駆け抜けます(意味不明)。
美味しかったです。よく眠れそうですw
は?! 私が望んでいたのはこんなお茶じゃない! 日米和親条約を破棄しそうなぐらい過激でケミカルな奴です! ペリー曰く「I can't sleep without you」です!
これはいかん、さっそく店のマスターにお話を伺ってみました。
「上喜撰ってどういうお茶なんですか?」
「――――――(この部分は有料。一番下にあります)――――」
なんと! 上喜撰ってそういうお茶だったんですか!
これは衝撃である。学校の教科書を読んでとりあえず「江戸時代にはそういう名前のお茶があったんだなあ(みつを)」程度の感想を抱いていたのですが、そういうことでありましたか。
さて勉強になった所で、他にも美味しそうなメニューがあるのでそちらを。お昼時でしたのでお腹も空いていました。
手ブレがきつくて失礼します。
「当店のエスプレッソは日本ではあまり紹介されていないミラノタイプです。ぜひ甘さを入れてお飲みください(フルシティーロースト)」
ほほう。日本茶を飲みに来てエスプレッソとはまた乙なもの。コーヒーも大好きなので早速オーダーです。
しかしエスプレッソって、どうしても日本人には馴染めない。何せ小さいし苦いし、次からは缶コーヒーでいいやと思わせるもの。
エスプレッソラテとかなら美味しいけどガチのエスプレッソは金出してまで飲みたくもない、そう思ってました。しかもここでマスターからの衝撃の言葉!
「砂糖入れてくださいね。2本」
ハァ?! マッ○スコーヒーじゃあるまいし、そんなに砂糖入れて飲んだら飽和水溶液と化すじゃねえか。これだからイタリアンは! イタリアンは新潟の焼きそばで十分だ!
……ごめんなさい。
美味しいです! というかマジで美味しいです、このエスプレッソ!
早速お店のマスターに話を聞いてみました。
「日本って、事実上エスプレッソがまだ紹介されてないんですよ。スターバックスとかのシアトル系やニューヨーク系ばかりで、アメリカを経由してコーヒー文化が入っていることに問題があると思います」
「コーヒーは砂糖をいれずに飲むのが良いみたいな風潮がありますが、それではエスプレッソの味は分かりません。エスプレッソは甘みを入れて飲むものなんです」
「日本の喫茶店は座って飲みますが、イタリアだとバスを待つ間にちょっと一杯『引っ掛ける』感覚。一杯100円ぐらいと安いですしね。じっくり飲みたい日本人には、この量が物足りないと感じるんです。だから店でも出さない」
「しかもイタリア人って、エスプレッソを一日10杯ぐらい飲みますし」
深い。豆のローストよりも深い。
それにしても日本茶を飲みに来て、まさかエスプレッソの話が出来るとは思ってもいませんでした。私がエスプレッソを美味しいと思ったのはこれが初めてです。凄く甘いのに、コーヒーの味が全く負けていない。
コーヒーの後は抹茶アイス付きワッフルを。これまたさっぱりとして美味しいデザートでした。凄いな、最近のお茶屋さんは!
こうして私の「上喜撰ツアー」は終わりました。それにしても、近場にこんな店があったとは……侮りがたし横須賀。
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「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。