![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158700302/rectangle_large_type_2_787a85b1b4b8d65a24e39f2fc6c9f42b.jpeg?width=1200)
2024~2025 3歳クラシック血統分析(第21週) 2024/10/19~10/20
(有料noteですが、無料で最後まで読めます。内容が気に入った、応援したいという方のみご購入下さい)
今週は3歳クラシック最終関門、菊花賞が行われました。
逃げ馬が逃げないという展開のために大混乱の状況となり、最終的には6着のダノンデサイル以降が7馬身も離されるという結果に終わりました。
こうした複雑怪奇なレースを読み解くのはほぼ不可能で、結果的には実力通りに買った人が当たるということになりましたが、スワーヴリチャード、ルーラーシップ、レイデオロという「闘争心はあるがそのコントロールに苦しむタイプ」と表した種牡馬が上位を独占していました。
闘争心に欠けたタイプは苦しいレースで前に行くことを選択しないので、格上げ戦では苦しくなります。多頭数適性があるタイプは「ハイレベルの競り合いを制する」ようなレースを得意とします。
だが今回の菊花賞のように「苦しいペースの乱戦」となると、競り合いでの強さがそれほどプラスになりません。その結果としてやや安定感を欠く上位3頭が残ったという感じがありました。
◆10/19 東京 ダ1600m新馬戦
・レッドルイナール(ブリックスアンドモルタル×ハッピーグラス) 評価B
スタートしてから10秒台と11秒台のラップが刻まれ、そのために前に行った馬がほぼ止まるハイペース戦。東京のマイル戦にしては脚をためる展開にならず、後ろから行った馬にはラッキーな流れとなった。3着以下を4馬身離しているのは良いが、基本的には恵まれと考えるべきだろう。
ブリックスアンドモルタル産駒は芝で良績を残しているが、あくまでもまれずに外を回す楽なレースが出来た時だけ走るので、決して優秀な種牡馬ではない。今回も展開に恵まれて楽なレースが出来たのが勝因であり、今後に何かを期待するのは難しい。
なおブリックスアンドモルタルはStorm Cat系ではあるが、母父ディープインパクトの相性は悪い。あくまでディープインパクト×Storm Catとなった時に血の配置が良くなるだけ。
上がり1ハロン:12.4秒
残400~200m:12.6秒
ラップ:37.4-37.2(フラット)
ブリックスアンドモルタル:産駒に与えるスピードセンスは非常に優秀だが、とにかくもまれ弱い。広いコースで少頭数なら抜群の能力を発揮できるので非常に強く見せるが、ちょっとでも気に入らない条件になるとすぐレースを投げ出す。よほど恵まれないと重賞では常に人気を裏切るタイプ。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428334-vUR2Hayc8boP0spmL9BFJqMu.jpg?width=1200)
◆10/19 東京 芝2000m新馬戦
・キングノジョー(シルバーステート×パレスルーマー) 評価B+
シルバーステート産駒といえば多頭数適性がなく楽なレースをした時だけ強い種牡馬で、基本的には上位では通用しない。だが母に名牝パレスルーマーを迎えてどれだけの馬が出るかとなったが、ここはさすがに期待通りの馬を出してきた。
道中で13秒台の流れがないラップとなったが、それにしては11.1 - 11.3という上がり2ハロンのタイムは優秀。またさほど落ち着かない展開でもあり、そこできっちりと2馬身以上の差を付けた内容はシルバーステート産駒にしては珍しく「強い」と評価できるもの。
母パレスルーマーは非常に優秀な牝馬。だがシルバーステートでは母の良さを完全に生かし切れていない。正直「他につける馬はいなかったのか」と言いたいところで、非常にもったいない。シルバーステートの代表産駒にはなれるかもしれないが、それ以上はない。
上がり1ハロン:11.3秒
残400~200m:11.1秒
ラップ:38.0-33.8(超後傾)
シルバーステート:長くいい脚を使えるのが最大の長所だが、多頭数でもまれる流れ、内枠でスムーズに運べないレースとなると長所が激減してしまう。相手が弱ければ何の問題もなく勝てるだけのポテンシャルはあるので優秀な種牡馬ではあるが、体力不足もあって上位では完全に止まる。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428348-OpAtZFYWR2dkSlBJgbwD9nNz.jpg?width=1200)
◆10/19 東京 芝1400m新馬戦
・コルチェスター(ビッグアーサー×グランデセーヌ) 評価B
多頭数の1400m戦で、道中12秒台が一度しかないフラットかつ厳しい流れ。淡々と流れたように見えてそれなりに負荷の高いレースと言えるので、勝った馬のポテンシャルは評価に値する。
ビッグアーサー産駒は多頭数でも粘るし先行して軽く抜け出す脚もあるし、優秀なスプリント種牡馬であることは間違いない。だが前に並んだあとで素早く抜けだす脚がない、厳密には長くいい脚を使えないというサクラバクシンオー産駒の弱点(おそらくこれはキタサンブラックやその産駒にも受け継がれている)を引き継ぎ、それが勝負弱さにつながっている。
Sadler's WellsとFairy Kingの全兄弟クロスを使った配合ではあるが、見どころはそれぐらい。何か突き抜けるものが欲しかった。
上がり1ハロン:11.4秒
残400~200m:11.2秒
ラップ:36.9-33.7(後傾)
ビッグアーサー:スプリント特化型なのは父の血を継いでいる感じだし、多頭数内枠でも力を落とさずに走れるだけの瞬間的な脚も備えている。それでも上位が相手になると脚が止まるのは、いい脚を長く維持できないから。G3クラスまでは行けるがその先が厳しい。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428364-dKmJWy06zoXDnOpC15Tefb8c.jpg?width=1200)
◆10/19 京都 ダ1800m新馬戦
・ビーコ(ベストウォーリア×ジュリアヴィーナス) 評価C
スタート直後だけ速いラップがあったが、その後は淡々と流れたにもかかわらず人気薄の馬が逃げ切る展開。ラップタイムも微妙で特に何かあるレースではなかった。
この馬の父ベストウォーリアはマジェスティックウォリアー産駒だが、これがやたらと雨馬場に強いタイプ。A.P.Indy系の「徹底的に前に行ってようやくスタミナを発揮する」という走りに向くのがメリハリのないダート重馬場。今回は天気に恵まれたと言っていいだろう。
血統もそれなりに悪くはないが特筆する要素はなし。
上がり1ハロン:13.5秒
残400~200m:13.2秒
ラップ:38.2-39.7(前傾)
ベストウォーリア:マジェスティックウォリアーの血を強く引き、広いコースで前に行って良さを発揮するタイプ。逆に言えば小回りコースで差してくるなど、レース内容にメリハリが求められるとまったくダメな大味な産駒を出す。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428374-WSxr4QYdRHtqoZb9IiKET5Jw.jpg?width=1200)
◆10/19 京都 芝1400m新馬戦
・アクルクス(イスラボニータ×フウコウメイビ) 評価C
レース直前に強い雨となったせいか、非常に厳しいサバイバルレースになった。徐々に減速していく中を粘りとおす走りは「粘るが斬れない」イスラボニータ産駒が得意とする。本来は開幕週などの堅い馬場を得意とするが、雨のせいで結果的にフラットラップとなったのが幸いした。
最後に軽い脚を見せていたので悪くないかと思ったが、血統はサンデーサイレンスの3x3という強いインクロス。これは早熟タイプと見て間違いないだろう。
上がり1ハロン:12.3秒
残400~200m:12.0秒
ラップ:35.3-35.7(フラット)
イスラボニータ:多頭数のごちゃつくレースでもまったく苦にしないメンタルの強さと安定感はあるが、そこから抜け出す脚が全くないのが弱点。フラットな流れで相手がバテるのを待つなど完全な他力本願(本来の意味とは異なる)でないと勝ち切れないため、結果的に距離適性が短くなる。キズナの下位互換的存在。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428384-cxVTtLXa1szMvSgnDfjkwEKJ.jpg?width=1200)
◆10/20 東京 芝1800m未勝利戦
・プレシャスデイ(ニューイヤーズデイ×スプレンダークラン) 評価B+
思ったよりも速い時計が出にくい今の東京において、11.1のタイムを続けて叩き出すのは優秀。これだけの上がりタイムでまとめられる種牡馬は誰かと思って注目したら、まさかのニューイヤーズデイであった。
Machiavellianの系統はMr. Prospectorの中では特殊で、厳しいレース展開はダメでまったりのんびりとした流れを好むタイプ。そのメンタルのぬるさは同じMachiavellianの血を引くシュヴァルグランのハーツクライ要素(闘争心)をすべて打ち消してしまうぐらいだ。
配合は悪くないので広いコースの少頭数戦で楽なレースができれば、今後ともそれなりに期待はできるかもしれない。ただしそのメンタルの弱さから、条件クラスで頭打ちになりそうな感じもある。
上がり1ハロン:11.1秒
残400~200m:11.1秒
ラップ:38.3-33.5(後傾)
ニューイヤーズデイ:Machiavellian産駒はMr. Prospector系ではあるがHaloなどのスピード系の影響が強く、闘争心をむきだしにして走るようなスタイルではない。軽い芝、軽いダートを楽に走れた時に最大の能力を発揮するような感じになる。相手関係を見ながら走るようなタイプ。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428399-joC6xadnbufHNKepILJGiSlv.jpg?width=1200)
◆10/20 東京 ダ1400m新馬戦
・スナッピードレッサ(Union Rags×Caramel Snap) 評価A+
ダートとは思えない上がり2ハロンタイムを叩き出し、しかも後続をみるみる突き放していく極めて強いレース展開。タイムだけで物事を判断するのは愚かしいが、走りの内容とタイムが伴っていれば何も言うことはない。
前半がスローだったこともあり、今後下手に短距離戦を使えば不安もある。距離は伸びたほうがいいだろうし、後半の瞬発力が求められる海外のレースでも面白い存在になる。
父Union Ragsは父母の配合がほぼ相似状態であり優秀な配合だが、それを当馬の父母間でも同じように継続させており、きめ細かい配合を実現させている。母の血統内容も優秀であり、今後に高い期待が持てる。
上がり1ハロン:11.7秒
残400~200m:11.7秒
ラップ:37.0-35.4(後傾)
Union Rags:Dixieland Bandはヨーロッパ系の血脈を強く引く割にはアメリカでしっかり生き残れている。もともと強い影響を及ぼすようなタイプではなかったこともあり、母馬がもたらしたアメリカ系血脈の影響を強く受けるダート馬となった。Gone Westっぽい先行馬タイプで、粘り腰はありそう。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428591-fXUIWOkLl34d8TMhyDZPNaSc.jpg?width=1200)
◆10/20 東京 芝1800m新馬戦
・エネルジコ(ドゥラメンテ×エノラ) 評価A+
ペースの割にはレースの入りがかなり速いタイムで、しかも後半に加速が求められる苦しいレースとなった。そんな中をじわりじわりと差を詰めて差し切った内容は評価できるが、ドゥラメンテ産駒と知って少々驚いた。
ドゥラメンテはエピファネイアと違って爆発力に特化したタイプではなく、長く脚を使うこともできる。これがぬるいレースで後半だけの勝負となれば厳しかっただろうが、逆説的に言えばハードなレースだったからこそドゥラメンテ産駒が走った、とも考えられる。
父母間、母内共に母父にあるNoverreへ集中的に血を寄せた配合で。相性は非常に良い。血統だけなら上位でも通用するだけの内容を見せているが、後は苦しいレースでの適性が見たい。
上がり1ハロン:11.1秒
残400~200m:11.3秒
ラップ:37.6-33.3(超後傾)
ドゥラメンテ:多頭数でもまれる展開に強く、一瞬見せる爆発的な脚もトップクラスという現代の最強種牡馬。闘争心とはまさにこの馬の産駒のためにある言葉。ただし弱点といえば長く脚を使わされる展開で、相手が弱くストレスが少ないレースになると他馬の後塵を拝することがある。だが本番では逆転する。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428607-DukQv9IZLUVt14MrPKlCgFGB.jpg?width=1200)
◆10/20 京都 ダ1200m新馬戦
・フェデラー(ナダル×グアン) 評価B+
終始押さえられないほどの手ごたえで直線に向かい、まったくスピードを落とすことなくぶっちぎった。もちろんこの内容は強いのだが、爆発力を使えるタイミングが一発だけのナダル産駒なので、今後はいかに我慢することを覚えさせるかが鍵だろう。
父に必要な血を母が良い場所に備えており、父母間の愛称としては抜群に良い配合。だが母の血統が弱く、いかにもオルフェーヴル産駒という雑な配合になっていたのが残念。上位ではこの母の弱さがネックになりそう。
上がり1ハロン:12.3秒
残400~200m:12.0秒
ラップ:35.9-36.3(フラット)
ナダル:ダートと短距離戦に実績が偏るが、先行だけでなく中断から差す競馬もできているように、Kris S.系の闘争心は強く受け継いでいる模様。最大の長所は一発の爆発力で、瞬時に相手を突き放すレースをして光るタイプ。ダート向き種牡馬ということもあり先行さえできれば我慢が効くタイプ。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428619-dWgBKpCwtGQ7JVj36Ir2AF4z.jpg?width=1200)
◆10/20 京都 芝1600m新馬戦(牝)
・エリカエクスプレス(エピファネイア×エンタイスド) 評価B
京都内回りコースということもあって全体にまったりとした流れとなってしまい、レース映像を見ただけではエピファネイア産駒には思えなかった。父の良さを生かした勝ち方ではなかった。
父が不得意なラップで勝つのは決して悪くないのだが、クラスが上がった時にどういう走りができるかを把握しづらい。もう一度、できれば牡馬との混合戦で走りを見てみたい。
エピファネイアとSadler's Wellsの相性を生かした配合とはなっているが、そこに加えるプラスアルファが何か不足しているような感じ。字面だけは良い配合だが、そこが惜しまれる。
上がり1ハロン:12.1秒
残400~200m:12.1秒
ラップ:35.2-36.0(前傾)
エピファネイア:持続する末脚がないために上がりタイムでは他の種牡馬よりも見劣りするが、一瞬で爆発的な脚を使えること、もまれる展開でも脚を使えるメンタルの強さがあるため多頭数の格上げ戦に強い。そのため格下では取りこぼすし、勝ち上がり戦自体は平凡なこともある。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428633-UAH1wPuoaqkgKJOYvL8V6Ntl.jpg?width=1200)
◆10/20 京都 芝1800m新馬戦
・ヤマニンブークリエ(キタサンブラック×ヤマニンプードレ) 評価B
12秒台後半のラップの連続から上り2ハロンは11秒台、しかも加速ラップ。普通に考えれば悪くない走りと言えるだろうが、直線で展開が何度も変化し、気が付いたら前が勝手に止まっていたというレースで「差し切った」という感じがない。
タイムだけは立派だが、混乱に乗じて僅差の勝利ということは次走につながりにくいとも言える。
父母、母内ともにインクロスが薄く強調点が分かりにくい配合。クラスが上がって通用する感じはない。
上がり1ハロン:11.2秒
残400~200m:11.6秒
ラップ:37.4-34.8(後傾)
キタサンブラック:外枠、少頭数、固い馬場と、とにかく「楽なレース展開」にならないとその能力を発揮できないのが最大の欠点。メンタルの弱さはどうしようもないレベル。だが長所を発揮できる場面になれば抜群の能力を見せるのも確か。爆発力は現役種牡馬でもトップクラスであり、諸刃の剣。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428646-DKFYcBAS6ZXTkbvagdhoQUz0.jpg?width=1200)
◆10/20 新潟 ダ1800m未勝利戦
・タガノマカシヤ(アメリカンペイトリオット×タガノディーバ) 評価B+
13秒台の楽なラップを刻みながら直線に入ったが、その瞬間にぐんぐん後続を引き離す強い内容。スローペースだったのは確かだが、それでもこれだけの内容なら文句はないだろう。
アメリカンペイトリオット産駒はどちらかといえば芝が強い印象があるが、もまれずにすっと前に行き、極端に上がりタイムが速くない馬場であれば抜群の強さを見せる。芝でデビューしたようにラップ適性はむしろ芝にあると言っていいだろう。
母の配合、またその流れをくみ取った配合はそれなりに良いのだが、ややインパクトに欠けるか。
上がり1ハロン:12.3秒
残400~200m:12.0秒
ラップ:37.6-37.9(フラット)
アメリカンペイトリオット:War Front系らしく楽に先行した時に最高の走りを見せるタイプ。上りが速いレースは適さないので、小回りコース専用になるが得意なレース展開では大きく崩れないのが特徴。ただし少しでももまれるとダメ。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428660-vi5uT3bnw12ShEC7lIpjRxAf.jpg?width=1200)
◆10/20 新潟 芝1200m新馬戦
・サウスバンク(グレーターロンドン×パッションローズ) 評価C
前傾ラップではあるが、さほど厳しい流れとは言えないレース。メリハリがないレースとも言える。
グレーターロンドン産駒は気性のコントロールに難があり、大外を振り回すような強引な展開か、もしくは短距離で無理やり折り合いをつけるようなレースが求められる。この馬には短距離がハマったのだろう。
母が持つRaise a Nativeの血が能力の源泉だが、協調材料とするには弱い。
上がり1ハロン:12.0秒
残400~200m:12.0秒
ラップ:34.5-35.7(前傾)
グレーターロンドン:短距離と長距離に成績が偏る不思議な種牡馬だが、これは「スピードが不足しているステイヤー種牡馬」に起こる現象。つまり短距離戦では後々伸び悩む。気性の強さはディープインパクト系には珍しいぐらいに備えているが、多頭数でもまれて良くなるタイプでもない。
![](https://assets.st-note.com/img/1729428679-XUpbSmaOy3Y7Bk8uRQKAsl9o.jpg?width=1200)
ここから先は
¥ 100
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。