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2024~2025 3歳クラシック血統分析(第10週) 2024/08/03~08/04

(有料noteですが、無料で最後まで読めます。内容が気に入った、応援したいという方のみご購入下さい)

新潟開催2週目、今週も天気がよく時計のやたらと速いレースが続いています。

相変わらず「2歳レコードタイム」などと景気のいい文言が踊っていますが、冷静に考えてください。

ホームストレッチに10mの追い風が吹く陸上競技場でオリンピックを行なえば、予選落ちを含めて多くの選手が世界新記録を出すことでしょう。

馬場が速い状態で出したタイムは、どれだけ速くても無意味、事実上の追い風参考としか言えないのです。

タイムを見るなら馬場を見ろ、頭数を見ろ、いくら言っても分からない人は分からないし、学ばないのでしょうね。

今週は2歳オープンのダリア賞が行われました。

勝ったプリティディーヴァの父Kingmanはシュネルマイスターを出しているようにマイル近辺で優秀な産駒を出す種牡馬だが、厳しい流れで爆発的な脚を使うというより、開幕週などの硬い馬場でスピードを持続させるタイプ。同じDanzig系のハービンジャーと近いタイプ。

ただハービンジャーより距離レンジが短めではあるものの、その分多頭数でも耐えることができる馬で、G1になるとハービンジャーよりも優秀と言う評価。

プリティディーヴァ自身は父母間の配合がやや劣るとの判断。オープンやレベルが低い重賞では通用するものの、ここから上となるとやや厳しいと見てます。


◆8/3 新潟 芝1600m未勝利戦

・アルレッキーノ(ブリックスアンドモルタル×チェッキーノ) 評価B+

デビュー戦のタイムが非常に優秀だったこともあり、ここの少頭数戦は当然のようにクリアしてきた。

父ブリックスアンドモルタルは産駒に爆発的な脚を与えることは事実だが、ちょっとでももまれるレース、厳しい流れになると全く良さを発揮できないのが短所。

昨年夏から秋にかけて大活躍し、クラシック路線でも期待されたがまったく応えることができなかったのは、父が伝える脆いメンタルにある。

2着以下が弱すぎるために着差は鵜呑みにできないが、タイム自体はもちろん優秀。ただしこの父の子だけに大きく割り引いて考えるべき。

なお血統については「母はいい馬ですね」以外の感想はない。雑な配合。

上がり1ハロン:11.5秒
残400~200m:10.8秒
ラップ:35.8-33.7(後傾)

ブリックスアンドモルタル:産駒に与えるスピードセンスは非常に優秀だが、とにかくもまれ弱い。広いコースで少頭数なら抜群の能力を発揮できるので非常に強く見せるが、ちょっとでも気に入らない条件になるとすぐレースを投げ出す。よほど恵まれないと重賞では常に人気を裏切るタイプ。

◆8/3 札幌 芝1200m新馬戦

・カワキタマナレア(ヘニーヒューズ×カフジビーナス) 評価B

父ヘニーヒューズということでダート質の前傾ラップで勝ったのかと思いきや、直線に入って大きく崩れた先行馬を鋭い脚で捉えた好内容。単なる前崩れ戦というわけでもないので、それなりに評価はできる内容だった。

母カフジビーナスがHaloへの集中を生かした好内容馬で、芝適性もここから来ている。ただ父母間の配合自体はそこまで見るべきポイントはない。

上がり1ハロン:11.5秒
残400~200m:11.8秒
ラップ:35.2-33.8(後傾)

ヘニーヒューズ:ダートでは現在一番優れた種牡馬と言える。典型的なアメリカ系ダート馬だと「とにかく先行して粘る」という内容に終始するが、この馬は爆発的な脚を繰り出して直線で勝負できるので、配合内容によっては芝ダート兼用でいける。闘争心も高い。

◆8/3 新潟 ダ1800m新馬戦

・シンビリーブ(Constitution×Sand Puce) 評価B+

最近では珍しいぐらいに前が止まるレース展開。ぬるい流れになりやすい新馬戦でも、多頭数になると厳しい流れが発生する。

アメリカのダート馬にありがちな「厳しい流れを先行して相手を潰しながら粘る」という勝ち方は、ぬるい流れではどうしても発揮しづらい。その点こうした流れはアメリカで実績のあるTapit系産駒にはお手の物だった。

際立ったポイントこそないが、バランスの取れた好配合馬。あとは時計がもう少し速くなった時や、スローの流れになった時にどう対応できるか。

上がり1ハロン:13.0秒
残400~200m:13.1秒
ラップ:37.7-39.3(前傾)

Constitution:Tapit×Distorted Humorということで芝向きにはなりようがない(硬い芝のフラットラップなら別)。ダートでどこまで稼ぐか。

◆8/3 新潟 芝1600m新馬戦

・シンフォーエバー(Complexity×Praising) 評価A+

今の新潟のタイムが速いとはいえ、さすがにこのタイムは優秀。

新潟の芝は上がり2ハロンにつき0.4秒を加算すると他の競馬場と比較できるようになるが、それでも22.1秒。なかなか出せるタイムではない。抜け出すときの脚も悪くなかった。

母Praising内のQuiet Americanに血を集中させた構成は非常に優秀で、父母間の配合であれば今年の2歳馬全体でもトップクラスと言える好内容。母自身もPulpit内Preachにきれいに血を集めている。上位でも十分やれるだけの血統構成。

ただし逃げ切り勝利なのと、本質的にはダート向きなのがややマイナス。

上がり1ハロン:11.0秒
残400~200m:10.7秒
ラップ:37.6-33.3(超後傾)

Complexity:アメリカ系の血だけをガチガチに固めた種牡馬で、基本的にはアメリカンスタイルの競馬に向く構成。ただし昔のBold Ruler系はスローで抑えても一発の爆発力を発揮できることで日本の芝でも通用したように、スローペースから爆発力を発揮できるかが鍵。

◆8/4 札幌 ダ1700m未勝利戦

・ベルベルコンパス(ヘニーヒューズ×ピンクシャンパン) 評価B

前走の勝ち馬ナチュラルライズが非常に優秀だったのでこの馬も注目してみたが、4コーナーを抜けた瞬間あっという間に突き放した内容はまさに父ヘニーヒューズの良さをそのまま生かしたものと言える。

前回とうってかわって前傾ラップの厳しい競馬になったが、ヘニーヒューズはこちらの方が合う。ダート戦では順当に走れる馬だろう。

Haloに血を集中させた母の血には見どころあり。ただし父母間の配合が今一つだった。

上がり1ハロン:13.1秒
残400~200m:13.2秒
ラップ:37.2-39.3(前傾)

ヘニーヒューズ:前述

◆8/4 札幌 芝1800m新馬戦

・アルマヴェローチェ(ハービンジャー×ラクアミ) 評価B+

父ハービンジャー産駒はもまれて弱く、逃げる競馬か大外をまくって瞬間的に突き放す競馬をすれば強いが、他ではダメ。大回り札幌コースの走りやすさを利し、さらには得意とする瞬間的なスパートを使って何とか残ることができた。

少頭数戦の逃げ切りと言うことで、このレースだけでを見て強いと判断するのは不可能。

血統表内にNorthern Dancerが父母ともにびっしりと埋まっており、特に母はダイワメジャーとサクラバクシンオー内のノーザンテーストをバランスよく結合させた良い配合。父母間の相性はそれなりで、悪い馬ではない。

上がり1ハロン:12.1秒
残400~200m:11.9秒
ラップ:38.0-36.0(後傾)

ハービンジャー:高速馬場適性はかなり高いものがあり、それゆえにある程度は種牡馬として成功することができた。コーナーを回りながら加速する脚は多くの種牡馬を凌駕しているとも言えよう。ただし少しでも相手関係が厳しくなるとその脚を発揮できなくなる。G3までは強いがG1でダメになるもまれ弱さが欠点(これはデインヒル全般に言える)

◆8/4 新潟 芝1600m新馬戦

・ダンツエラン(ロードカナロア×ミスチヴァスミスティ) 評価B+

1600m戦にしてはだらっとしたペースになったが、ラスト2ハロンはそれなりに速い。タイムだけを見ればかなり評価できそうな馬ではある。

だが前に行った馬がそのままなだれ込んだだけで、有力馬とされたサリーチェが遅すぎるペースで脚を殺されているように、展開の助けがあったことも事実。こういう勝ち方はタイムが優秀でも好評価にはならない。

配合はロードカナロアの母レディブラッサムとMountain Catの相似性を中心に組み立てたもので、父母同士の相性は決して悪くはない。ややごちゃついた感じはあるが及第点にはある。

上がり1ハロン:11.3秒
残400~200m:11.0秒
ラップ:37.4-33.6(超後傾)

ロードカナロア:距離を問わず強い馬を出している優秀な種牡馬だが、母父の影響をかなり受けるタイプ。闘争心はそれなりにあるし多頭数適性もあるのでG1路線でも通用するが、ドゥラメンテやエピファネイアと比較するとやや本番に弱い感じがある。ただしそれはトップクラスでの話。

◆8/4 新潟 芝1800m新馬戦

・ジェゼロ(サートゥルナーリア×ラルケット) 評価B+

少頭数の超スロー戦ではあったが、抜け出した前の2頭を爆発的な脚で捉えた内容は見事の一言で、これは強い勝ち方と言っていいだろう。馬場が堅いからこそ「前の馬を抜く」というのが困難になる。それをクリアしたのは評価。

だが血統が残念すぎる。確かに父の母シーザリオと母ラルケットはいずれもサンデーサイレンスとSadler's Wells(Fairy King)を使った構成で相性がいいのだが、そのまま組み合わせてしまうと近親度が高すぎる。もう一代母父に別の馬を置いてからじゃないと本当の効果は発揮されない。

優秀なマイラータイプではあるだろうが、多頭数や厳しい展開のレースではその良さが発揮されない。最後方や大外からの追い込みなどの極端な競馬が必要なタイプ。

上がり1ハロン:11.3秒
残400~200m:11.0秒
ラップ:37.4-33.6(超後傾)

サートゥルナーリア:ゴール前でひと頑張りする闘争心は父からきちんと受け継いでいた模様。問題はそれを多頭数戦で発揮できるかにある。こうしたタイプは距離が伸びてマイナスになるケースがあるので、そのあたりの見極めも重要か。ただし今のところの傾向として、爆発力はかなり優秀なものがあるが少頭数の方が向きそうな感じ。

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「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。