美しい朝に思う。私の原点。
昨日感じた原点に戻る体験は、不思議な感覚。
どれほど自分がもがいていたか?
どれほど苦しんでいたか?
どれほど心が痛んでいたか?
痛んでいる地球に自分は何もできないと絶望していた時期。
1997、8年頃
そんな時東京に住んでいた私は移住候補のひとつに浮上した
屋久島を訪れた。
屋久島のエネルギーはパワフルで
ハートがゾクゾクした。
森は深く私を包んでくれた。
屋久島に行くなら逢いたい人がいた。
作家の山尾三省さん。
彼の著書を読んで心惹かれるものがあった。
滞在があと2日になった時に、
ダメ元で三省さんに連絡をした。
もちろん当時はネットなどないから
公衆電話ボックスの電話帳で名前を探した。
山尾三省という名前が一つ掲載されており
私は勇気を出して電話をした。
お盆の頃で誰も忙しない頃だったと思う。
私はドキドキしながら、「三省さんの著書を読んで心惹かれるものがありもし、可能ならお会いしたい。滞在はあと2日しかない。」と伝える。
そしたら、三省さんが少し沈黙の後、「明日会いましょう」と言われた。
夢のような展開だった。
まさか会いに行けるとは思ってもいなかった。
ちょっと前まで連絡できるとも思っていなかったのだ。
三省さんの自宅に行くには足がいる。
泊まっていたのがたまたまライダーハウスだった。
宿で知り合った兄ちゃんたちに声を掛けたら
なんと連れて行ってくれる人が見つかった!!
翌日私はその青年のバイクの後ろにまたがり、三省さんの家に行った。
三省さんに迎えられた私は会いに来た理由を話し始めると
号泣した。
冒頭に書いたどれほど私が地球に対して何もできずに
苦しんでいたかを話していたのだ。
彼は静かに聞いてくれ沈黙の後伝えられた言葉は
「大田さんが存在しているだけでいいんですよ」
その言葉は痛んでいる地球へ何もできないと絶望していた私に
深く入ってきた。
私は事あるごとにこの奇跡のようなシチュエーションと三省さんから
頂いた言葉を思い出す。
そして、悩んでいる若い人や出会った人にたまにそのことを話す。
今度は私からその人に
「あなたが存在しているだけでいいんですよ」と。
今は亡き三省さんに感謝を込めて。
*山尾三省 詩人、作家 東京生まれ
1938年10月11日〜2001年8月28日
社会運動に関わった後、1977年に家族と屋久島へ移住し、終生その地で暮らした。
自然への深い敬愛を持ち、島での暮らしの中から生まれた言葉を詩にした。