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ストリップは「装う」ことと知った。

先日、X(旧Twitter)の相互さんにお誘いいただき初めてストリップ劇場に足を踏み入れました。

レトロな建築やラブホテルは好きなので、関連した情報としてストリップ劇場を見かけることはあったのですが、実際のところ一人で行こうと思うほどの興味は抱いていませんでした。

と言いますのも、ネット上では劇場で行われている内容が写真や動画で公開されることはありませんので、「裸で踊ってる女性が見れる場所なんだろうなぁ」ぐらいの認識しかなかったのです。
ただ今回、「写真を撮っている方にストリップを見てほしい」ということでお声がけいただいたので、きっと裸になるだけでは終わらない何かがあるに違いないと期待してご一緒させていただきました。

さて、そんなふわっとした状態の私が今回訪れたのが神奈川県にある「川崎ロック座」でした。
川崎駅にて相互さんとお会いし、そこから数分歩くと川崎ロック座の看板が見えてきました。「劇場」というイメージがあったのでそこそこ大きな建物なのかなと考えていたのですが、道路から見たその姿は想像していたよりずっとこじんまりとした印象。
(実際は隣の建物と繋がっているので、劇場内はそこそこの広さがありますした)
外に面した窓口でチケットを買い、ロビーの出入り口にいるおじさんに千切ってもらって入場します。

劇場への扉を開き中に入ると、ちょうどチェキ撮影の時間でした。
公演は以下のようなスケジュールで行われており、1公演の中で4人の踊り子さんが演目とチェキ撮影を行なっているようです。



とりあえず空いている席に座り、次の演目までの間チェキ撮影の様子をぼんやりと眺めていました。
アイドルのサイン会みたいのような様子で、順番に並んだファンの方たちが一人ずつ踊り子さんと言葉を交わしチェキを撮らせてもらっているようです。
もっとアングラでスケベな世界かと思っていましたが、意外と普通なのかもしれません。踊り子さんはほぼすっぽんぽんでしたが。

チェキ撮影の順番待ちが全て終わると、踊り子さんはステージの奥に去り、劇場の照明が落とされました。
真っ暗な観客席。一体どんなショーが行われるんだろう…?

音楽がかかり、再び照明が灯ると、そこには水干のような着物に身を包んだボーイッシュな踊り子さんがいました。
藤川菜緒さんの演目です。
衣装を少しずつ脱ぎ去りながら演舞が行われていくのですが、本当に神秘的な内容でした。
もうこの1人目の演目を観た時点で、自分が抱いていたストリップのイメージの遥か上を行っていました。こんなに美しくて儚い世界観が披露されている場だったとは…。

その後も桜庭うれあさん着物の美しくてしなやかな演目、あすかみみさんのドレスを纏ったお人形さんのような可愛らしい演目、矢沢ようこさんの着物のような衣装のスタイリッシュな演目と続いて、1回目の公演が終了しました。
それぞれの演目を一つずつ説明するのは難しいのですが、どの演目にも共通して世界観や衣装、演出…そういった物にすごくこだわって作られているのが感じられました。

その後2公演目の続けて鑑賞したのですが、その中で特に印象に残ったのがあすかみみさんの2つ目の「awake」という演目でした。

音楽がかかり、演目が始まったと思ったら真っ暗な劇場の中みみさんの手に持ったライトだけが光りだします。
ライトの灯りはみみさん自身と観客席を交互に照らし、今までとは違った演出に不思議と惹きつけられました。
チラチラと動く光によってはっきりとは見えませんが、みみさんはピエロのようなキュートな衣装を纏っているようです。
最初のダンスのパートが終わりを告げ、一旦辺りが暗くなった後、再びステージの照明が灯り衣装の全容が明らかになると…はい、かわいい。
もちろんこの後少しずつ衣装を脱いでいくんですが、その過程の状態もやっぱりかわいいんですよね…。
この演目は自分の中で後を引いているというか、劇場を後にした直後からもう一回見たいな…という気持ちに囚われる内容でした。

今回ストリップ劇場の鑑賞に行ってみて、本当に良い体験だったなと思います。
踊り子さん達はそれぞれ自身で演目のテーマを考え、ダンスを練って衣装を作って、そして自身で装い演じる…ということを行なっているわけですが、なんて尊く儚い営みなんだろう…と。
これらの演目は劇場に足を運んだ人にしか見られることはないですし、写真や映画や音楽のように記録されていて何度も見返すことができるということもありません。その踊り子さんが踊るのを辞めた時、その演目は二度と見ることはできなくなるわけです。
そんな儚いストリップ劇場というフォーマットで、自身の魅せたい世界観を表現する踊り子さん達。
インターネットに様々なジャンルの創作物がアップロードされ、手軽に鑑賞することができるようになった現代においても、このようにひっそりと行われていて足を運ばなければ知ることができない世界があることを知れて良かったです。
次は私が誰かを誘って鑑賞に行きたいものですね。

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