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セルフポートレートと私。

初めまして。
セルフポートレートやスナップなどを趣味程度に撮っている真夜と申します。

X(旧Twitter)などを中心に写真を公開して徐々に見てくださる方が増えていく中で時折、今のようなセルフポートレートを撮るようになったきっかけについて尋ねられることがあります。
今回はその話について自己紹介がてら書いたものとなります。

さて。
セルフポートレートを本格的に撮り始めたのは2021年頃からなのですが、それ以前からカメラ自体は持っていて、特に方向性もなく何となく街中のスナップや古い建物、廃墟などを撮っていました。
そういえば写真サークルに入っていたこともありましたね。


2017年頃に撮影
CONTAX G1


2018年頃に撮影
BESSA R2M


2018年頃に撮影
FUJIFILM X100


2018年頃に撮影
FUJIFILM X100


2019年末頃から世間では新型コロナウイルスの流行が騒がれ、不要不急の外出が憚られることとなりました。
それまではカメラ趣味に関しては外をぶらぶらと歩いて撮影することが中心であったため、カメラを使う機会がさっぱりなくなってしまいました。
休日の時間を持て余した私は、何か自宅で行える撮影は無いかと物撮りなどを少しずつ試してみることに。
ライティングの本などを読みつつ色々試してそこそこ自分好みの写真を撮れるようになったのですが、割とすぐに撮影する「物」が無くなってしまいました。
あとこの頃は実家に住んでいたため、スペースが限られていたというのもありましたね。

他にも何か一人で撮影を行えるスタイルはないだろうか?と考えたとき、ふと思い出したのが以前古書店で見かけた森村泰昌さんの作品集でした。
森村泰昌さんはセルフポートレートの手法を用いて、様々な肖像画や往年の女優を再現した作品を制作していました。
これらの作品の記憶が蘇ったとき、自分が以前から撮りたいと思っていたような理想のモデル像を自分自身を使って生み出して撮影できないか、と考え始めたわけです。

ちなみに理想のモデル像というのは山口小夜子さんです。
資生堂の昔のポスターの資料などを見て、その和の雰囲気と凜とした佇まいに見惚れて以来、このような写真を自分も撮れたらな、と思っていました。

ただ、実際世の中には普段から小夜子さんのようなおかっぱに前髪ぱっつんのヘアスタイル、シュッとした切れ長なアイメイクをしている女性はそうそういません。
そういうモデルさんをどうやって見つければいいんだろう?と考えつつずっとそのままになっていたのですが、自身を使って色々工夫するならば髪型(ウィッグ)もメイクも衣装も自由なので何か新しいことができるかもしれない。
それから衣装やメイク道具を揃え、メイクや撮影方法について試行錯誤するようになりました。
小夜子さんのような雰囲気の写真が撮りたくて着物の着付けについても調べ、なんとなくではあるものの着れるようにはなりました。

最初は雰囲気を出したくてシティホテルなどに宿を取り、客室などで撮影していました。
この頃はまだコロナ禍だったのでホテルがかなり安かったですね。


2021年 Self Portrait
ホテルで撮影し始めた頃の初期の写真


2021年 Legs
ギイ・ブルダンに憧れて撮影した一枚


2024年 Self Portrait


2024年 Self Portrait


またそれとほぼ同じタイミングで実家を離れ一人暮らしも始めました。
当時フルリモートの勤務であったため、一人で集中できる環境が欲しかったというのがメインの理由ですが、撮影スペースが欲しかった…というのももちろんありました。
自宅での撮影スペースも確保できたため、自宅でも少しずつ撮影重ねて徐々にではありますがイメージした写真が撮れるようになってきました。


2022年 Self Portrait
自宅にて撮影


2022年 Self Portrait
自宅にて撮影


2023年 Self Portrait
自宅にて撮影


2023年 Slef Portrait
自宅にて撮影


セルフポートレートを撮るようになってから、以前の何となく写真を撮っていた時と比べて写真を褒めていただけることが増えるようになりました。
また自分自身としても、以前と比べて撮りたいカラーが定まってきた気がしますし、自分の撮る写真にオリジナリティを見出すことができるようになったのも嬉しいところかもしれません。

廃墟などの写真を中心に撮ろうと考えていた時期もありましたが、廃墟写真というものは同じ場所を撮っている人が大勢いますし、年々取り壊しなどによって場所を減らす一方です。多少足を運んで撮影も行なっていたのですが、綺麗な写真が撮れてもあまりそれが「自分だけの作品」とは感じられなかったですし、自分が撮らなくても他の人が撮るだろうとさえ感じて結局継続することはありませんでした。

ただこれは廃墟だけの話ではなく、綺麗な風景の写真、街中の写真、ポートレートモデルの写真でもある程度似た感情を抱いていました。
写真という表現手段はその性質上、すでに存在するもの、他人が作り出したものを写すことになりがちです。
絵画や造形物のように、作者が自身の想像の中だけに存在するものを作品にする…というのがなかなか難しいジャンルです。

もちろんあくまで趣味で行なっている行為なので「自分だけの作品」になっていなくても問題は無いわけですし、実際ぶらぶら歩いて撮る行為も楽しんでいたのでそれで良いとは思うのですが…「これが自分の作品です!」と自信を持って言い張れる気持ちがなかったんですよね。

でも、セルフポートレートを撮るようになったことで、今まで持ち合わせていなかった「自分だけの作品」に少し近づけた気がして、ちょっと自信がついたように感じます。
自分で自分を着飾って、自分自身を撮る。これは他の人では代わりがきかない表現手段ですから。
これに気がついてから、日常や路上を写したスナップも、どこか真夜らしいカラーが潜むようになったような…そんな気がします。


2024年 Self Portrait
自宅にて撮影


2024年 Self Portrait
自宅にて撮影

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