いのちを見つめる自然観察(2)
美しい極小貝を見て感じること
午後出てきた課題は、小さな小さな貝を格子柄の紙に並べるというものでした。
実は、この貝、長さ1~2mmぐらい。
自然環境の状態の良い砂浜には、普通にみられるそうです。
シャーレに配られた、この極小貝をルーペで覗くとびっくり。普通の貝と変わらない構造を持っているのです。
そして、その美しさは、普通の貝より勝る??
透明で可愛らしい貝でした。これは子供ではなく、れっきとした大人の貝です。
この極小貝は、貝全体の1割以上を占めるのだそうです。
この極小貝同士が、広い海の中で、2体が出会って交尾するのか全く分かっていないそうです。
自然界で相似形が多くみられる
自然界では、この貝のように、機能そのままに極小にした構造がよくみられるというのです。
そこから学ぶことは、「大は小を表し、小は大を表す。」「一部は全体を表し、全体は一部を表す」ということだそうです。
菅井先生の講座は、禅問答のよう。
でもこのような考え方が、午前の観察会、午後の講義を通して菅井先生のお話の中には一本通っていました。
考え方・捉え方は多様
虫に食われた桜の葉を見せられて、どう思いますか?と聞かれたら、
「虫に食われてる!」「外虫にやられている!」と普通は言うでしょう。
でも、「桜が自分の虫に花を受粉してもらうために、その幼虫に葉をやって育てているんだ。」という考え方もあるんです、というお話。
なるほど!
そんな話を聞いただけで、汚いな、と思っていた虫喰われの葉のイメージが変わってしまいますね。
種類を知ることは本当に知っていることではない!
実は菅井先生は、植物や昆虫、鳥や貝やキノコなど、多くの生物の種名についてはとても詳しいのだそうです。
ある時期まで、種名を知るため、大阪市立博物館に通いつめ、自分は何でも知っている、という自信を持つまでになられたそうです。
でも、そこまで突き詰めたある時、「自分は何も知らない」ということに気づかれたそうです。
例えばスズメ。自分はスズメが朝何時に起きて、何を食べて、子供をどうやって育てて、何を感じて何をやって・・そんなことは何も知らないことに気づいたそうです。
また同じ種類のものも、一つ一つ違い、一つ一つ発見があることに気づいたのだそうです。
そして見て深く考えることが本当に観ることだと気づかれたそうです。
子供の人生を変える自然観察会
このような深い自然の味方を伝えることが出来た時、それは豊かな行動につながると菅井先生は言われます。
多様な子供の人生を変えることも・・・菅井先生の長年の教師生活からくるお言葉は重みがあります。
今回菅井先生のお話を聞いて、自分自身、自然観察会で生き物の種名を伝えるだけではなく、私も含めた参加者の「疑問」「驚き」「美しさ」を大切にできる自然観察を心がけて行きたいと思いました。
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