プラスサイズのビューティーコンテストに出場して考えた、本当の美しさとは(2022年に書いた記事の加筆修正版です)
2024年のToday’s Woman、今年も観客席から応援していました。今年もファイナリストの皆さん素晴らしく、感動しました!!
図々しいかもしれないですが、2年前に出場した時のことを思い出したく、当時書いた記事の加筆修正をしたので公開します。
2022年9月19日の敬老の日。第二回目となる、日本初のプラスサイズビューティーコンテスト・Today’s Womanが開催された。
何故、出場を決めたのか。
私のコンプレックスは、幼い頃から痩せていたことが一度もなかったことだ。
太っているだとか関係なく、楽しく生きてきたとは思うけど、メンタルの調子があまり良くない時はどうしても体型を気にしてしまう。
そんな時は、小さい頃に他人から言われた悪口を、頭の中で繰り返し再生してしまう。
ダイエットは何度も繰り返していて、10kg単位で増減を繰り返してきた。
しかし、20代も後半に差し掛かり、今までのダイエットでは体重が思うように減らなくなってしまった。
私は体型関係なく自分を健やかに、愛したかった。
本心では自分のことを、醜いと思っているわけではない。
私の輪郭を、正しく捉えたかった。
今年の8月に、私は父を亡くなした。父が体調を崩したのが、5月22日。
Today’s Womanにエントリーしたのが3月、ファイナリストに選ばれたのが6月末。
エントリーした時には、父の体調のこと、家族を取り巻く環境がここまで変わるとは考えもしなかった。
ファイナリストに選ばれた時、そして父を失った時。この不安定な状態の自分に、最後まで成し遂げることが出来るのか、分からなかった。
家族の応援もあり、この大会にエントリーすることを決心した。
本番は9月、それまでの間に他ファイナリスト達と実際に顔を合わせたのは数えるほどだったが、会わない間はSNSで交流を続けていた。
大会までにはビューティーキャンプがあり、そこではワークショップやウォーキングなどのレッスンを通して、大会への心構えや美しさと向き合うことになる。
みんな大会に向けてインスタグラムで投稿を頑張っていたし、SNSで交流を続ける中で距離は縮まっていった。
プラスサイズという共通の境遇を持つ仲間達は、それぞれの熱い想いとストーリーを持っていた。
ポジティブに、しかし等身大で自分の美しさを表現する姿は、一人一人が輝き美しかった。
8月、私達家族は一丸となって末期癌の父と向き合っていたが、大会の約1ヶ月前、ついに父がホスピスで息を引き取った。
ファイナリストのみんなから、心のこもったメッセージをいくつもいただき、
悲しみに寄り添ってくれた。
大会運営の皆様、そしてあるファイナリストの1人からは美しいお花が届いた。
(沖縄に住む友人からも大きな蘭の花が届いた)
父を失った悲しみと周りの人達の温かい心遣いに、何度も泣いた。
こんな時だが、こんな時だからこそ大会に出なくてはいけない。
今の私にしか発信できないメッセージがある、追い風が吹いていた。
本番は9月19日、敬老の日。
大会の2日前から、最後のビューティーキャンプがはじまった。
再会を果たした仲間達の中には、私の顔を見るなり泣いて抱きしめてくれた人もいた。
大会主催者のSteven Haynes氏に、父にいただいたお花のお礼を伝えた。
「お父さんはいなくなったんじゃない 住所が変わっただけ」
と日本語で話し、抱きしめてくれた。
この大会本番を迎えるまで、特に父が亡くなってからの1ヶ月間は、500%の努力をしてきたと思う。
生まれて初めてのウォーキングレッスンに通い、毎日本番のドレスを着て練習をした。
ダンスの練習、スピーチの練習、質疑応答に備え、心を穏やかに過ごした。
苦手だったSNSの投稿も頑張った。
グランプリを取る自分の姿を何度もイメージトレーニングし、父のことで感傷に浸る間をなくしていった。
努力の日々を超えて、本番当日私は全く緊張しなかった。
本番で着たドレスは、実は大会2年前の2020年に用意した物だった。
夫と入籍し、結婚式と披露宴を予定していた頃。
なかなか理想のウエディングドレスが見つからず、オーダーメイドで用意していたのだ。
しかしコロナ禍ということもあって式は延期を繰り返し、結局行ったのは身内のみの挙式で、披露宴は行わなかった。
カラードレスは後撮りで着たのみ、クローゼットの中でこの日を待っていた。
このドレスを、人前で着れる日が来るとは思っていなかった。
このドレスを着た姿を、きっと父も見てくれていたに違いない。
不安はない、迷いもない。私はステージに立って、思い描く自分の姿を表現するだけ。
たった30秒のスピーチ、一瞬のウォーキング、ポージングに私の全てを詰め込む。
私は今も断言できる。
間違いなく、この日の私に欠けるところはなかった。
結果はTOP10入りとベストスピーチ賞、素晴らしい賞をいただいた。
グランプリにはなれなかったが、私の伝えたかったことを、伝えることが出来たと思う。
大会が終わり、私達はそれぞれの人生に帰っていった。
日常が変わった人も、いるだろう。
私の生活は、何か変わっただろうか。
家では、夫が待ってくれていた。
友達と会い、たくさん話をした。
母と義母には、大会の写真を大きく印刷し、額に入れてプレゼントした。
大会で知り合った仲間達とは、すでに数人再会を果たしている。
ここで知り合った仲間達は、自ら学びを求めて行動する先に、得ることが出来た宝物だ。
大会が終わって少し落ち着き、ようやく父のことをゆっくり考えることが出来た。
父を失って悲しむ母との時間を、作ることが出来た。
私は自分の悲しみと向き合い、今度は終わってしまったこの大会のことを考える時間が出来た。
私は知らなかった、私達は初めから、美しさを持っていたということを。
美しさとは何か、私は今も答えを探し続けている。
今こうして思うのは、それは愛なのではないか、ということ。
他者への愛、そして自分への愛。
自分を律し厳しくする先にのみ美しさがあるわけではない。
美しさは時の経過と共に色褪せるものでもない。
己を心地よくすること、手入れすること、甘やかすこと、人を愛すると同様に自分を愛すること。
私の人生を振り返り、ここまで努力し、最後まで自信を持って成し遂げられたことはきっとなかったと思う。
しかし、これだけの努力が出来たのだから、これからは何だってできる。
順調に上に上に、進み続けることはできないかもしれない。
しかし、立ち止まることがあったとしても、私には日本中にToday’s Womanで出会った姉妹達がいる。
最後に、大会で述べた私のスピーチで、締めくくりたいと思います。
「私がここへやってきたのは、あなたが美しいということを証明する為です。
私は、自分の美しさに疑いを持ったことがありません。
それは、誰に何を言われようと、私のことを認めてくれる家族がいたから。
中でも一番私を認めてくれた父は、先月天国へ旅立ちました。
これからは私が、あなたは美しいと証明し続ける存在になります。」