ライター時代の怪談 2
🌛iPadが騒がしくなる
原稿を書き上げたその夜は、夜中2時頃に枕元に置いてあったiPadが急に煌々と立ち上がり、動画の再生が始まりました。動画は寝入る直前まで見ていたHuluのものだったので、まあ、そんな誤動作もあるのかなと思い、なんだよー!とぼやいて、iPadを消してまた寝ます。が、またしばらくすると、今度は音楽が鳴る。次は目覚まし。3回、起こされました。
元来、自分に霊感があるとは思っていないし、心霊現象は信じるけれど自分に起こるとは思っていないタイプなので、とにかく眠い!と寝るのですが、朝起きてやっぱり変だなと考える。いくら寝返りを打った拍子に画面に触れたとしても、アプリが起動することってないはずなのに。と。
そんな夜から2、3日経って、旅記事の取材でとある島に行くことになりました。
🌛島に着いてきたおばちゃんたち
午後2時くらいに島のホテルに着いて、あてがわれていた1人部屋で一休みしました。1人では広すぎるくらいのダブルルーム。
部屋のドアを入ると上がりかまちがあり、ちょっとした廊下がある。
右に靴箱、左にトイレと内風呂。開戸を開け、和洋折衷の部屋に入ると、右の壁を頭にしてベッド、左壁には小さめの座卓、突き当たりに窓、といった部屋でした。
特に嫌な感じはありません。私は荷物を座卓の辺りに置き、楽な格好に着替える等してから、打ち合わせのため、スタッフ集合場所のロビーに行こうと部屋のドアのほうへ向かいました。
すると、どこからともなく、
ガヤガヤっと結構な人数の話し声が聞こえるのです。
あれ?隣かな?と思ったのですが、隣はおそらく空き部屋。
少なくとも、一緒に来た他のスタッフは別の階でしたし、シーズンオフだったためホテルは空いていて、知らないお客様の隣にわざわざ私を配置するような気がしません。
嫌な予感がしつつ、もう1度部屋の中まで戻って、ガヤガヤが聞こえてくる方向を探しました。
どうも部屋の奥の方。向かって左の座卓の方。
左の部屋から声がしないか座卓のそばの壁に耳をつけて見ました。ところが、壁に耳をつけると何も聞こえないのです。
でも耳を離すとやっぱりガヤガヤ、ぺちゃくちゃ、聞こえてくる。
あっ!座卓の傍に置いた私のバッグからだ!
と音源に気づいて、バッグを恐る恐る開けてみると、中に入っていた取材用のICレコーダーが動作して、おそらく例の俳優のインタビューが再生されていたのです。
わぁぁぁ!と、慌てて停止ボタンを押して止めました。
当然、移動中、何かの拍子にレコーダーの再生ボタンが押されてしまったんじゃないの?と私も考えるわけですが、
私はいつでも使い終わったら、使わない時にうっかり操作ボタンを押してしまうことがないように、ロックをかけているのです。
大事なデータを消去してしまったり、延々と再生や録音をしてしまっていざと言う時に電池切れ、ということがないように。
商売道具ですから当然です。
仮にロックをし忘れていたとしても、再生されるのは、最後に聞いていた(あるいは録音された)データのはず。前日に取材があったので、その音声が最新であるはずで、例の俳優の音声を聞くなら、いくつかデータを遡って頭出しをして再生ボタンを押さなければならない。
やはり再生されるわけがない。
と言うより、そもそも、私は、あの音声は消去したはずではなかったか?
怖いのでパソコンからも消去したし‥‥!
とゾォっとして、荷物をまとめて、ころげ出るように部屋を飛び出し、他のスタッフの部屋に駆け込みました。今日は一緒に寝かせて!
🌛飛び跳ねているのは誰?
カメラマンの彼女は霊感のある人で、例の俳優の取材の後に行った観劇でも一緒で、肩が痛かったことも覚えていたし、音声データがおかしかった話もしていたので、部屋での出来事を話すと納得してくれました。
彼女の部屋は、たまたま、一人なのに3つベッドがある部屋でした。そのうちの一つを借りて、彼女がいつも財布に入れているお札を部屋に置き、その夜は眠ったのですが‥‥
朝起きると、彼女が、空いているベッドでずっと誰かが跳ねていた、と言うんです。
私はどんな時でも割とよく眠れるタイプみたいで、全く気づかなかったのですけど‥‥
朝起きたら、風邪を引いたのか体がだるく、喉が痛み、声がガラガラ。
発熱はしていないものの、絞り出すように声を出して話す、という体たらく。取材に来て体調を崩すなんてプロとして恥ずかしいことなのですが、例の俳優取材をしたのと同じ媒体だったため、ここまでの経緯を知っているスタッフたちは気遣ってくれました。
早朝の撮影はロケバスで休んでいて良い、などといたわってくれたのでした。
そのお陰で、午後の取材はなんとか無事に完遂でき、夜は山岳霊場の護摩祈祷の取材に行きました。
・・・・・・・・・まだ続きます。
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