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久々の海外で時間を忘れてみた

テレビかなにかで見た、「台湾式シャンプーをやってみたい!」

それがきっかけで、コロナ禍以降初めてどころか、気づいたら10年以上仕事が忙しい、飛行機が怖いを言い訳に行かなかった海外旅行で台湾へひとり旅してきた。

三連休ということもあり、周りを見渡しても家族連れや友達・カップルばかりでひとり旅は見当たらず、羽田空港に来て「あぁ、なんで一人で来ちゃったんだろう?」、「あぁ、どうしよう、気づいたら海外旅行に行くの10年以上前だー」と緊張でひとり静かにパニック状態。

飛行機が苦手なのは、自由に逃げられないし、不規則に揺れるから。子どもの頃に乗った経験がないからだと言い訳してたけど、私はジェットコースターのように上下動する乗り物が大の苦手で、要するに怖がりなのだ。

それなのに、海外への憧れがあり、自分の中で恐怖と憧れる気持ちがせめぎ合って、溢れ出て思い切ってひとり旅に出る。飛行機に乗る前に絶対焦って後悔してお腹痛くなるのに、本当に自分で自分が一番わからないもので、帰国するとそんな自分に笑ってしまうけれど何度も繰り返してしまう。

そんな状態でも時間が来れば飛行機は飛ぶもので。EVA AIRという台湾のANAのような航空機でとてもいいおもてなしだった。行きは緊張して手に汗握っていたから、せっかくの機内食もほぼ食べられず、気を紛らわすように見た「インサイド・ヘッド2」だけど1を見てなかったから全然頭に入ってこず、途中から見たのが「ガーディアンと魔法の虎」

アメリカ映画のようだが、内容的には日本人にも馴染みの深い十二支と魔法の石を守る守護者(ガーディアン)の男の子の成長と絆の物語。

悪役がマレフィセントに出てくる女性にそっくりだった。アメリカだと、悪女はああいうイメージなんだろうかなどと考えて、少し緊張を和らげるのに役立った。ありがとう、マレフィセント!!(厳密にいうと違うけど)

映画も微妙な時間で終わってしまい、腕時計を合わせるためにりゅうずを回したりしたのだが、全然合わない。
諦めて時計をそっとバッグにしまった。

そして、台北松山空港に到着。携帯をWi-fiにつなぐと、自動で台湾時間が表示された。腕時計を使えない不安が解消されるとともに、アップルウォッチみたいなデジタル時計を付ける人が多い理由が理解できた。

私は就職祝いに親に買ってもらったので普通の電波時計をつけているけど、そういう思いやこだわりがないとデジタル時計に移行するんだろうな。

到着時はそんなこんなであまり気にしていなかった「松山」の由来だが、最終日にガイドさんが教えてくれた話によると、日本統治時代に愛媛県松山市から移住した人たちが故郷を懐かしんでこの地を「松山」と名付けたそうだ。

飛行機苦手な私からすると、その当時は今よりも飛行機は揺れただろうし、映画で気を紛らわすこともできなかっただろうし、何よりも今より気軽に故郷に帰ることなんでできなかったはず。もう帰らない覚悟で台湾へ渡ったんだろうと思うと、ちょっと胸が熱くなってしまった。

昔の日本は移民を送る国だった時代が長くあったと聞いた。もし私がその当時の日本に生まれていたら、飛行機自体乗る機会もそうなかっただろうし、逆に怖いよりも新天地を求めて海外へ飛び出して行っただろうか?なんて考えてみたりした。

台北の中心地には台湾総督府を始め、日本統治時代の建物がまだ残っていてレトロ建築好きな私としては、本当に写真を撮るスポットが多くて楽しかった。


台湾総督府

台湾も地震が多い印象だけど、日本の大都市ほど空襲の被害もなかったから古い建物が残っているようだ。
こんな素敵な建物で仕事できたら、少しはやる気が上がりそう。

日本の漢字とは違うけど、漢字文化圏だし、何よりこんな夜に女性一人でも外をほっつき歩いても大丈夫なほど治安がいい。歩くのが好きで、久々の海外旅行の私にはちょうどいい訪問先だった。初日は中正紀念堂や台湾総督府辺りを散策して2万歩以上歩いても、半袖に風が心地よかった。

中正紀念堂から

2日目も絶対行こうと思っていた故宮博物院とオプションツアーで九份・十分へ。

故宮博物院へは地下鉄の駅からバスで向かったのだが、バス停には他にもたくさんの日本人観光客がいた。駅のバス案内図によると何本か博物院の最寄りを通るようだが、それ以外にも通るバスがあるようで他の日本人が乗らないバスに恐る恐る乗車してみた。
結果、無事に故宮博物院のふもとで下車することに成功。

つくづく、臆病者のくせに冒険したがる自分がいることを思い知る旅だった。

もしかしたら、どんな人も自分の中に対極の性質を持ち合わせるのかもしれない。私は基本は臆病で慎重だけれど、たまにすごく勇敢な時があるから。でも、臆病な自分も勇敢な自分もどちらも本当の自分だし、どちらも自分の人生を動かしているんだと今は思えるようになった。

故宮博物院は建物に収蔵されている様々な宝物の価値もさることながら、外にある庭も台湾らしさを感じさせられて、しかも博物院内のように混んでいなくてゆっくりとした気持ちなれてよかった。

博物院では日本語の説明をしてくれる方がそこかしこにいたのと、四天王寺高校の学生さんがいたので、レンタルした音声ガイドを聞いたり、学生さんたちに説明するガイドさんの説明を横から聞きながら回って、最後にミュージアムショップで購入したポストカードをその場で投函。

旅行に行くと、必ず旅先から家族と友人に手紙を書く。台湾は国内・国外関わらず10元だそうで、今回は自分宛にも出したので届くのが今から楽しみ。

そして、夕方からは千と千尋の神隠しの舞台となった九份と、ランタン上げで有名な十分を訪れた。どちらもザ・観光地という感じだった。

九份は金銀銅と石炭の採掘で栄えて、日本統治時代は台北と並ぶ位栄えていたが、閉山して廃れて、また映画の舞台になって観光地として脚光を浴びる場所になったと聞いていて、ものすごい混み具合だった。

かつて栄えたという話通り、レトロな建物と鉱山があっただけあってすごい山の斜面に街が作られていて階段の下から見上げる景色は圧巻。
ただ、観光客が多すぎて、ここは多少スリなど要注意と言われており、確かにうっかりカバンから目を離すと危険そうと感じた。

その後、バスで移動して十分で願い事を書いてランタン上げをした。
複数人のグループだと、一人で願い事は一つだが、私は単独で参加したため、ランタン四面を独り占めだった。

が、いざ四つ願い事を書こうとなると、よいものが思い浮かばない。
筆字なので、やっぱり四字熟語でしょ!と思い、最初に思い浮かんだのは
「家内安全」、「健康第一」

他のグループの人と「やっぱり思い浮かぶのは、そういうものになりますよね!」と言い合った。

でも、自分に素直になることをこの半年学んで、恥は捨てることにした。

残りに二つに書いたのが「婚活成功」、「起業順調」(これは熟語というより造語か)

そして、書き終わったらランタンを一面ずつ広げて、お店の人に写真を撮ってもらい、火をつけてあげる際には動画も撮ってもらえる。

その時は気づかなかったけど、あとで確認したら、動画には「婚活成功」がバッチリと映っていて、「うわー、台湾の人も漢字読めるから、これが一番の私の願望だったってバレてる!!!」と思ったのは言うまでもない。

私の願いは無事、空高く上がって行ってくれた。ガイドさんによると、前に「TWICEのツウィと結婚できますように」と書いたランタンが落ちた事件があったらしく、意外と神様は見ているようだ。

婚活成功ランタンが打ちあがる様子

二日目になると、写真を撮るタイミングくらいしか携帯を見ないので時計もその時しか見ない。それに慣れてきた自分がいた。
そして、心が安らいでいくのを感じた。

最終日、ガイドさんオススメの足裏マッサージと念願の台湾式シャンプーをLINE予約していた。
が、ここで海外らしいハプニングが発生。

「お店の給湯器が故障してシャンプーはできなくなりました」

シャンプーが目的だったのに、シャンプーできずに日本に帰るのか?
それで後悔しない?また苦手な飛行機乗ってこられないかもしれないのに・・・。

そこから、Googleマップで検索して、急きょ飛び込みでやってくれる美容院(青絲舫美容院)に行ってみたところ、30分待てばできるとのこと。

正直、空港への送迎バスの時間に間に合うか微妙だったけど、とりあえずチャレンジしてみよう!ということで予約。

そして、30分後、念願の台湾式シャンプーを体験!
担当してくれた若いメガネの女性は、とてもサービス精神旺盛で色々な形を作ってくれて、何パターンも撮影できて大満足。


一番有名な台湾式シャンプーのスタイル

流すのはどうするんだろう?って思ったけど、そこは日本と変わらなかった。

この後、ブローなのだがブローし始める辺りから、時間に間に合わないのではないか?とそわそわし始める私。

こんな時に、くせっ毛なのでブローに時間がかかるのが憎い。やっぱり、もっと余裕ある時間にくるべきだったと思いながら、この辺でOKです!と手でOKマークを作り、700元を支払って急いで立ち去った。

そこから爆走してホテルに戻り、10分ほど遅れてしまったが何とか送迎バスに間に合った(他の人を待たせてしまったが)

帰りの飛行機は隣にラガーマンみたいな人が座って圧迫感があったけど、たぶんあの人も飛行機苦手族だと思う。そんな人を見て、なぜか安心してしまい、ゆっくり映画を見ながら機内食を楽しむことができた。

夕方の便だったから最初は夕焼けが綺麗に見えていたけど、それもつかの間ですぐに夜になった。

毎日繰り返されているはずなのに、夕方から夜になる短い時間をただ見ていることなんてそう多くない。普段は時間に追われて、見ているようで見てないことがいかに多いかなどと考えた。

また、帰国日は中国が台湾を取り囲んで軍事演習を行っていた。そういえば、地下街の入り口に「シェルター」と書いてあったのを思い出した。今、日本にいると忘れてしまうことが沢山あることも海外に行くと思い出すことができる。

時間を忘れてただ心のままに楽しむこと、日本との違いを感じること、これは動画で見るだけではわからないと思う。

だから、きっとまた飛行機にビビリながらもきっと海外旅行に行くんだろうな。

手帳の個人的な夢に書いた「台湾式シャンプー」が叶っただけでなく、もっと大切な時間と気持ちを思い出すことができた素敵な旅行だった。


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