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「ひとりでしにたい」から考える終活準備

みなさま、こんにちは。司法書士の植田麻友(うえだまゆ)です。

私は司法書士という仕事の中で、多様な家族の形を見てきました。とはいえ、私が関与する「相続」においては、多くの家庭が、夫婦がいて子供がいて…いわゆる「一般的な」家庭です。日本においては、この結婚して子供がいるということを前提として法律もありますので、一般的といっても差し支えないでしょう。しかし、近年…いえもっと前から家族の形は多様になっています。2040年には、約4割が単身世帯になるといわれています。この中には生涯未婚である人もいれば、死別の方も含む数字とされていますが、それでも4割は決して無視的ない数字です。

また、亡くなる場所については、1950年代以降の日本では、自宅よりも病院が亡くなる人の割合で増加していきました。しかし、2010年代に入って自宅で死亡する方も増加しているのです。自宅で死亡するというと、何が浮かびますか?いわゆる「孤独死」これに向き合いことができていますでしょうか。

「ひとりでしにたい」は自死の話ではありません

孤独死について真正面から向き合っている漫画があります。この「ひとりでしにたい」は、今まで自分の老後(そして両親の老後)について危機感ゼロで育った30代の主人公が、自身の叔母が自宅で孤独死したことをきっかけに自身の終活について考える漫画です。この漫画の具体的な自体は不明ですが、おそらくこの現在を元にしているのでしょう。自宅で1人でなくなった叔母に対して主人公の父はこう言います。

「ま・・・結婚もせず子どもも生まないでずっと1人で好き勝手やってきたから、最後に罰が当たったってとこだな」

女が結婚して子供を産まないことは罰当たり。主人公の父親は亡くなった叔母に対してそう述べるのです。父親にとっては、当たり前の家族像が結婚・子供であるからそのような感想も出るのでしょう。しかし、前述のように単身世帯は増えているわけですから、「罰当たり」かどうかはともかく現代を生きる我々は自分が亡くなる時の準備はしなければなりません。大切なのは、結婚することでも子供を持つことでもなく、自分が「ひとりで死ぬ」ことの準備を行うことなのです。結婚しても、子供を持っても、穏やかな老後の担保ではありません。

結婚しているものの、自分が体調を崩しても配偶者は何もしてくれない。(むしろ、ご飯の催促をされる)
〇 子供ができても、その子供が自立せず世話しつづけなければならない。

そういった例も挙げられています。もちろん、結婚し、子供ができることで家族が増えますから、実際の法的な手続きも全く家族がいないよりもはるかにスムーズですし、前述しているのは極端な例ですのでうまくいくことの方がはるかに多いと思います。

終活において大切なのは、結婚することでも子供を作ることでもなく、自分が死ぬ間際のことを考え、先に準備できることを整えておくことです。

30代からはじめる終活

30~50代の方がご自身の終活について考えるほどはほとんどないでしょう。結婚している方よりも未婚の方の方が考えるきっかけはあるでしょうが、老後・終活まで具体的に考えている方はあまり見ません。というのも、それは本人が元気だから。本人が元気なうちは、やはり終活に向き合うことは非常に難しいものです。では、ご自身の両親を見てみましょう。ご両親の老後をイメージは自分よりはるかに近いものではないでしょうか。

ご自身の終活はまず両親の終活から、といっても過言ではありません。

安心して亡くなるための死後事務委任契約

亡くなった後の法的な手続きとしては「相続」、生前に準備できるものとして「遺言」。それらについては比較的メジャーだとは思いますが、遺言では不動産やお金についての財産の分け方について法律の効力を持たせるという意味で家族間の紛争を回避し、スムーズな承継を行うことにつき大きな意義があります。一方で、ご逝去された直後の、病院手続きや葬儀、納骨については明記されることはほとんどありません。もちろん、故人のご意思として「家族葬にして欲しい」「●●寺にお願いしたい」といった意向があれど、それは法律的な委任を受けたものではなく、あくまでお気持ちなのです。

そういったご逝去直後の手続きについて、事前に定め、フォローすることが可能なのが死後事務委任契約です。親御さんを看取った時に家族が行わなければならないことは非常に膨大ですし、〇日以内という制限もあります。そんな中で葬儀社の手配やお寺との打ち合わせを行う必要があります。そんな時に故人の意思が反映さえた契約書があり、かつ葬儀についても事前に打ち合わせをしていれば死後の手続きがとてもスムーズに進みます。

ご両親がどんな葬儀を望んでいますか?また、あなたはご自身のご葬儀をどんなものにしたいですか?規模もですし、来て欲しい方もいらっしゃいますよね。死んだ後に、ああすればよかった、こうしたかったという気持ちを一切なくすことはできませんが、事前に準備を行うことでそれを少しでも減らすことはできるのです。


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