【働きたい方向け】司法書士事務所の選び方
私は平成24年に司法書士試験に合格し、その後の研修のあと司法書士事務所に入所しました。そして、令和3年に独立するまでずっとその事務所で働き続けました。司法書士の同期と話すことも多いのですが、合格してから約8年同じ事務所で働き続けることは非常に稀なことのようです。ただ、私はその事務所を選んでよかった!と思えるような出会いでしたのでそのことを振り返りたいと思います。
応募はホームページから
当時、司法書士の求人の探すのは非常に限定的でした。そもそも専門的な業界なので採用の広告は少なく、特に小さい形態の事務所だと余計です。当時の私は「司法書士 大阪 求人」で検索し、並べられたホームページを見てどこに応募するかじっと考えていました。おそらく人によりホームページのどの点に着目するかは違うと思います。事務所の場所、給与、業務内容、経営理念…さまざまではありますが、私がその事務所を選んだのは「代表の写真が載っているのとその写真がとてもさわやかだったから」です。代表の写真がない事務所や写真はあるものの非常に厳しそうな表情だったり。ただ、その事務所の代表の写真は非常に明るい笑顔でしたので、なんとなくここにしよう!と直感がありました。写真があること、その写真の印象が良いことは、事務所のイメージの向上につながりますのでとても大事な要素だと思います。私の場合、給与こだわりなし、業務内容こだわりなし、でしたので職場の雰囲気を重視した結果、写真から判断するという選び方になりました。ちなみに勤務地は、特に所縁もなく自宅からも遠い場所だったのと、給与も記載がなかったので、今考えると本当に直感に頼りすぎて心配するくらいです。
実は募集していなかった司法書士
ホームページから求人の申し込みをして事務所からの返信があったのですが、当時あまりメールを見る習慣がなかった私は数日そのメールを放置していました。それも大きな失態なのですが、それだけではなく面接当日の時間も場所も間違えていたのです。時間は15時(午後3時)なのに13時(午後1時)に…訪問場所は勤務する支店なのに本店に訪問してしまったのです。幸い、13時に本店に訪問しても15時に支店には十分間に合う距離でしたので遅刻はしませんでしたが、当然事務所からするとなんてルーズな人間だと思ったでしょう。ですので、私は当然落ちると思っていました。そして、なんと実際に面接を始めると、面接をしてくれた社員の2人は非常に眠そうで私に一切の興味がなさそうでした。実は当時仕事が非常に忙しかった時期らしくあまり寝れていないとのこと、当然履歴書も見ておらず書いていることを聞かれる状態。しかも、実はホームページの採用情報は削除し忘れで司法書士の応募はしていないとのこと…。当時の私は思いました。「あ、落ちたな、これは」
悪いところばかりの私を採用してくれた事務所
ただ、驚くべきことに採用の連絡があったのです。私は大学卒業後も勉強しながらアルバイトをしていたフリーターなので職歴も全くないのですが、いずれのアルバイトも接客業をしており、人と話すことが楽しい・そういった仕事をしたい、というのが存外印象がよかったらしく採用していただけることになりました。当然、きちんと働いたことのない私は、社会の一般常識という意味でも欠けていましたし、司法書士も座学の知識のみ。非常に足をひっぱる存在だったと思います。それでも、いい先輩に恵まれ、約8年お世話になりました。
私が考える事務所の選び方
1.まず自分の働く中での優先度を明確にすること。例えば、それは勤務場所なのか給与なのか仕事内容なのか…。当時はうまく言葉にできなかったですが私が一番に求めたのは人間関係でした。当時の事務所は写真が非常に少なかったですが、爽やかな笑顔の代表の元で働いている人たちはきっといい人間関係を築いているのだろう(という想像ですが)という思いで募集をしたのです。
2.次に情報収集。ホームページが一般的ですが最近はSNSをされている司法書士も多くなっています。もちろん、実名でしている方も。SNSでの発言でその方の人柄というのは意外と分かります。facebookも友人のみの公開にしていなければ見ると良いでしょう。個人的にはGoogleの口コミもと思いますがある程度印象の操作ができるのでSNSが強いかと思います。ホームページよりもSNSを推奨するのは、ホームページは事務所にもよりますが制作業者にほとんどまかせている場合もあるので、その会社の雰囲気を知るのは難しい場合もあります。(採用専用ページを別途設けている事務所は除く)それよりもSNSにはその人の生の声がある。日頃の業務からその人の価値観まで拾えるのです。あえてそういった場で発信しているのは、事務所側も価値観がマッチする人材を探しているということも大きいです。
ブラック事務所の見抜き方はあるのか
これは特に新人の司法書士の方と話していて聞かれるのですが「ブラック事務所」だけは行きたくないと。ただ、このブラック事務所というのが非常に難しいです。このブラックの定義はおそらく人により異なるでしょう。勤務時間なので給与なのか、あるいは仕事内容なのか…。人によっては拘束時間が長くても給与が十分であればよいという人もいれば、拘束時間が長いのは給与が十分でも耐えられないという人もいるでしょう。大事なのは前述した自分の中の優先度の高い事項を明確にし、それに基づく情報を収集することだと思います。私の場合、勤務時間が長いことはブラック要素にはなりませんでした。もちろん、私の中の基準での勤務時間の長さなので、人によっては「そんなの全く長くはない」と思われる方もいるでしょう。それくらい、何を大事にして、何が自分にとってブラックなのかは個人により異なるのです。私は人間関係に重きを置いていたので、怒号が飛び交う事務所は絶対に嫌ですが、怒号が飛び交ってもいいけど定時には帰りたいという人もいるでしょう。自分の働きたい働き方、そしてそれによって得られる未来を明確化しその上で事務所選びをすることがとても大切だといえます。
(とはいえ、本当にどの面から見てもブラックな事務所というのは存在すると思います。そのためにはやはり情報収集は必須なのです)
今年は例年と違い、研修がオンラインで実施され、実際に会う機会というのがかなり限られていると思います。当時の私は、日々の研修に付随している飲み会が楽しくて楽しくて。そして、そこで親しくなった同期はいまでも連絡は取りあい、交流は続いています。今年は従来のように関係性を作るのは難しいかもしれません。しかし、今後の職務の上でも、そして情報交換という面からも同期とは一定の関係を築いておくことは私はおすすめします。
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