オンラインを物足りないと感じる理由
コロナ禍、組織の在り方は大きく変わっています。人と会う、顔を会ってのコミュニケーションから、オンラインでのコミュニケーションへの移行しています。とはいえ、多くの日本人が去年の緊急事態宣言解除後に感じたように、やはりオンラインでは物足りない!リアルで会いたいという声も大きいのです。私は昭和63年生まれですが、私よりもはるかに若い現在の大学生でも、「こんな時代だからこそ会いたい」という言葉も出ているくらいですから、人間という存在はまだまだオンラインだけでは生きることができないのだと思います。もしかしたら、ここから100年、200年単位でみれば、人類の構造自体が変わりその可能性があると思いますが…。コロナ禍において、急速に人と人とのコミュニケーションは変化し、おそらくこれは今後続いていくものとなるでしょうが、人類そのものにおいて急速な変化があるわけではないのです。ただ、これから生まれてくる世代からは徐々に変わっていくのかもしれませんね。今後のワクチンやウイルスの状況によっては、「マスク」「非対面」が当たり前の世代になってくるかもしれないのですから。とはいえ、現在社会にいる人々とのコミュニケーションについては考えていかなければなりません。
オンラインでのコミュニケーションは有用か
現在、特にビジネスの中でのオンラインコミュニケーションを語るうえで欠かせないものとなったのは「zoom」です。ビジネスだけではなく、プライベートな飲み会から打ち合わせに至るまでzoomが使われています。当初からセキュリティの脆弱性については指摘されていることもあり、当初はzoomが攻勢でしたが現在は、多くのツールが展開されています。このオンラインでのコミュニケーションツールは今後も発達していくでしょう。私も何度もオンライン飲み会をしていますが、これはこれで楽しい。自宅で飲むというのはまわりの目を気にする必要もなく、それこそリラックスできる状態でいる。とはいえ、オンライン飲み会が終わった後に感じるなんともいえない寂寥感があります。オンラインが悪いわけではない、でも物足りないので、リアルで飲みたい!そんな声を聞いたことは皆さんあるのではないでしょうか。オンラインでは、顔が見れます。会話もできます。それでも何かが足りないと感じる方が多いのではないでしょうか。
リモートーワークに伴い退職が加速
2020年私は司法書士法人に勤務していました。今まではリモートワーク(職場外での仕事)はできないという思い込みがあったものの、いざコロナ禍で出勤できないとなれば自宅での仕事をする環境を整えることができました。私自身は、それ以前から自宅で仕事をすることはあったものの、そもそも自宅は仕事をするためというよりも、「くつろぐための家」として準備したものであったため、リモートワークのために環境整備は必須となりました。おそらく、リモートワークに移行した多くの会社員がそうであったように、そこに会社の保障はありません。あくまで自分が快適に仕事をするためのものであるからです。新たな備品購入、光熱費の増加、会社は交通費や光熱費の削減があるのに保障はなされない。リモートでの仕事は指示もより、簡潔でチャットやLINEで行うということになれば、これは外注を受けるのと変わらない…と思った人も多いのではないでしょうか。
退職の理由の傾向はどうなっているのか
過去に退職の経験のある人であれば、退職理由を100%すべてを伝えるべきではないことも分かるでしょう。もちろん、嘘はいけないが言わないという選択肢はもちろんあり得えます。特に伝えることで今後の社内の人間関係に影響があるようなことは言わない方が多いだろうし、その選択が好ましいでしょう。これは、辞めるまでであっても、会社という組織、一つの村の中で生活をする(仕事をしている)からに他なりません。おそらくは家庭よりも長い時間を過ごす会社という場所、そしての時間、人間関係は、「退職したい」ということに際して非常に影響が大きいのです。
それが今やリモートワークでコミュニケーションを取る機会が圧倒的に減った。対面で会うことがない、自分が仕事をして隣にいる、話していなくても気配があり、誰かと話す声を聞く。それがないということは、会社そのものから断絶されていると感じる。他愛もない話をしないことでその人のプライベートはますます遠くなり、組織としての密度は失われるのです。何気ない話ができない、その人のその日の顔が見れないというのは、徐々に人々の心に積み重なり、密度の低下へと繋がっていきます。
”集団凝集性”が維持できなくなっている
先ほどオンラインでは何かが足りないからこそ、物足りないとうお話をしました。その中で重要となってくるのが、集団凝集性です。集団凝集性とは、組織にとどまらせる力です。オンラインでのコミュニケーションは非常に効率的である分、限定的です。議題があり、それに基づく会議を開くので、その議題以上の雑談が発生する可能性は非常に低くなっています。むしろ、全員が効率的に終わらせようとするでしょう。その結果、組織の中にいるからこそ、職場という場所に身を置いているからこそ得られる情報を得ることができません。例えば、隣の席の同僚の電話の声やその他雑談。他の顧客とのやりとりやその過程で発生するトラブルがあればそれを共同して解決するということ。差し入れのお菓子をつまみながらの近況の報告。これがないとなんとなく寂しいと感じる人もいるのではないでしょうか。声があって言葉がある。オンラインではそれだけですが、対面ではその人の空気、そして服装や装いから分かるその日の体調や調子。そういった些細な話から生まれるコミュニケーション。相手の私生活を知り考え方を知った上での、仕事のやりとり。
そのほか、業務時間以外にあるレクリエーション。私が昔いた会社の場合は、春はお花見、夏はバーベキュー、それ以外の時間もマラソン大会や新入社員があるごとの飲み会。
悪く言えば同調圧力ともなりますが、少なくとも組織がその人材の流出を防ぐためには、組織の内部にいるからこそ得られる業務以外の情報こそが、集団凝集性を高めることに必要となるのです。特に、今まで企業風土としてそういった面を重視していた会社ならなおさらです。
リモートワークを辞めるという選択肢
リモートワークが進む中、コミュニケーションはその質がより重要なものとなってきています。以前よりも部下をよく見て、仕事上のコミュニケーション以外も無視できないものとなっています。例えば、相手の反応は画面上ではわかりにくいために電話と併用し、短時間2人でカフェをする。リモートワークは働く者にとっては効率化という面で非常に有用だが、管理職にとってはむしろ部下とのコミュニケーション、管理、マネジメントという面では従来通りとはいかず、むしろ変革を求められています。そんな中で、企業としては組織の密度が失われることを懸念し、リモートワークを中止しようと考える企業もあるのです。確かに、従前のコミュニケーションでは組織が維持できなくなるために、人材離れを防止するためにリモートワークを廃止することも選択のひとつにはなりますが、今後コロナウイルスとの付き合い方が見えない状況の中で、大切なのはリモートワークの中でも集団凝集性を失わないような社内でのコミュニケーションを実施していくことが大事となっていくのではないでしょうか。
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