株式と株主、なぜ重要なのか?
「株式」と聞くとどんなイメージが浮かぶでしょうか。いわゆる、株取引や投資そういったイメージの方が一般的かもしれません。一方で、会社を経営する方にとっては、株式とはもっと身近なものです。しかし、経営者の中でも株式が持つ役割や権利、そして株主がもつ権利を完全に理解されている方はいらっしゃらないでしょう。たまに「うちは大企業ではないから」と株式の意味を軽視される方もいらっしゃいますが、株式の神髄は株価よりもその持ち方や承継の仕方にあります。むしろ、中小企業は株式とその経営権が実質、結びついている場合も多いため、株式の移動は慎重に行う必要があるのです。
そもそも株式とは
株式は、株式会社が設立に際して発行します。発行の際には、対価の払込が発生しますが、設立の際に発行された株式にはまだ決まった株価はございませんので、払込金額は会社が(発起人・つまり後の株主)が自由に決めることが可能です。現在、法律上は資本金は1円での可能なのです。しかし、1円を資本金と定めるということは、会社のお金が1円ということになり、実際の取引でも現金を書きますし、資本金は登記簿に記載されるものですからおすすめはしません。私の経験上、多いなと感じる資本金の額は「金100万円」「金300万円」あたりです。実際、株式会社で行う事業によって、必要となる資本金も異なりますので、そのあたりも検討する必要があります。
例えば、建設業を行う会社であれば資本金は500万円からとお伝えしております。これに関しては建設業の許可のための要件のひとつでありますが、必ずしも500万円でなくても手続きは可能です。ただ、許認可手続きの手間を省くためにもそのようにお話ております。
株主は誰でもなれるのか
株主に欠格事由はありません。(※欠格事由:株主になれない人の要件)ただし、株式会社の設立にあたって、株主となる人・この方を発起人というのですが、発起人の印鑑証明書が必須となるため、印鑑登録ができない年齢の方については設立時の株主となれないのが現状です。しかし、単に印鑑登録年齢だけではなく、株主となることは慎重であった方が良いかもしれません。それには、株式が持つ役割の問題があります。
株主が開催する株主総会と株主の権利
株主が持つ権利のうちの重要なひとつが、株主総会の議決権(決定する権利)です。議決権は原則の株主も持っています。ただし、それぞれの株主がもつ持株数(持っている株式の数)が議決権と比例している場合がほとんどなので、持株数が少ない場合は決定を左右できる影響力も小さくなります。例えば、会社の定款を変更すること。これは株主総会で決議しなければなりません。その場合株主総会を開催するには、株主への招集通知を送ることが必要となります。この招集通知は、持株数の多い少ないに関係なく議決権を持つ株主には送る必要があるため、もし、あなたの会社の株主の中に会社に悪意を持つものがいれば…どうなるでしょうか。総会は混乱、あるいは総会の運営についての少しの誤りを指摘されたり、過去の決議についての取り消しを求められることだってないとはいえません。株主は、会社にとって非常に影響が大きい存在です。株主を与えた以上、辞めてくださいとはいえません。また、買取を行うにしても会社の状況如何によって買取価格は非常に高額になる可能性はありますし、相手方が考えられないほど大きな金額を求めてくるかもしれません。
ちなみに、役員に関しては「解任」という方法があり、一方的に辞めていただくことが法的には可能です。しかし、この方法は会社にとって非常にリスクが大きいため、実際に行う場合は稀です。とはいえ、方法としてはありますが、原則(※)株式にはそれがないのです。
(※)株主と連絡がとれなかったり、持株割合によっては強制的に買取る方法を行うことも可能です。また、種類株式によって会社が強制的に事前に取得することも可能です。詳細についてはお問い合わせください。
一時的な「なんとなく(お世話になっているし)株をもってもらおう」という考え方があるのであれば、一度最悪の未来を想像してみることも大切になります。
上記は株主総会で決議することの一例です。また株主は上記に関する議決に参加する権利(議決権)はもちろんのこと、会社に対して各種の請求権を有しています。例えば、株主総会の決議を取り消すことを訴えることもできるのです。
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