とある最低男の浮気と友情の終わりについて話そう
先日、私はある友人と縁を切った。
学生時代以来の、もはや腐れ縁と呼べるような仲の友人をだ。
「リアルの友人と縁を切る」なんてそうそう人生で起こり得るものでもないと思うけど、実際にそれは起こった。
ここにあるのは、私がかつて友人だったその人物と縁を切るに至った、とある男の浮気行為と不貞の数々、そして1つの友情の終わりだ。
それらをまとめて、後々のために備忘録として書き残した。
私にとってはノンフィクションであり事実そのものだが、読む人にとってはフィクションとして捉えてもらっても全く構わない。
何せ読んでいてあまり気持ちのいい内容ではないからね。
ただ、リアリティだけは保証する。
もちろん決定的な個人情報等は伏せるし、あくまでお話として捉えて欲しい。
そしてこの記事を書き終えることによって、私は完全にその友人と縁を切り、ここ数か月悩んでいたあらゆることに、最後のケジメをつけることができる。
ちょっとばかり長い話になるけど、肩の力を抜いて程々なテンションで読んでみてほしい。
◆登場人物
友人A
今回の一連の騒動を巻き起こした張本人。元金融系会社勤め。独立して会社を設立し経営者になるも、ゴタゴタとトラブルになり辞職。
後述する奥さんとは金融会社時代に知り合い、独立前に結婚する。その後はシステム系の会社に転職。その転職先の会社で浮気を醸成。現在に至る。
私とAは大学時代からの友人で、同じサークルで共にする。が、Aは2年経たずしてサークル脱退。当時の脱退理由は"家庭の事情"とか何とか(家庭の事情でサークル脱退って何だよって話だが)。
Aがサークルから離れても、大学内では普通に顔を合わせるのでその後も友人関係は続くが、在学中から彼女がいるにも関わらずAはこの頃から浮気癖が絶えない。年上年下、見境なし。当時の浮気の件数と罪状を数えるだけで片手の指が足りなくなる。
性格は人当たりがよくやさしい男に見えるが、内面では目先のことだけしか考えておらず、基本的に対人関係を舐め腐っている。
保身のために都合のいいことばかり口が回り、嘘に嘘を重ねるタイプ。約束事の遅刻は日常茶飯事。
顔は取り立ててよくないが、自分になびいてくれそうな女に付け込んで垂らし込める才能はピカイチで、これが浮気件数の多さに繋がっている。
またメンヘラ体質で、めんどくさくなったり都合が悪くなると逃げ出す癖がある。酒が入ると態度が大きくなり、相手が例え奥さんでも暴力を振りかざす。
実家が太かったせいか金遣いが昔から荒く、目先の欲望の為に金を糸目なく使う。だが借りた金は返さない。
そして浮気行為におけるケアがガバで、とにかく脇が甘い。
これが奥さんに浮気が発覚した最大の要因でもある。
ここまで書けばわかる通り、Aの人間性は最悪だ。
最悪なんだけど、表面上は人当たりもよく弄りやすい性格をしているので、どこか憎めないところもあって、友達を続けてきた。
だがそれもついに終わる時が来た。
奥さん
Aの奥さんであり最大の被害者。同時にAの浮気を見抜き、虎視眈々と復讐の機会を伺う強固な意志の持ち主でもある。Aの浮気を察知しながらも粛々と状況証拠を集め、地の利を得ていく。
容姿はいわゆるキレイ系のお姉さん。Aと同僚だった金融会社時代は社内のスター的存在だったようで、優秀な社員で頭が回る。後に大手広告系会社へ転職し、Aと結婚後は在宅勤務中心の生活。
Aとはセックスレスが続いており、子供を持つことには懐疑的。
浮気女
Aの関連会社に勤めるエンジニア系の年下アラサー女。
かなりいい大学を出ているようだが、男慣れしておらず垢ぬけない印象。そして相当セックスに飢えていると思われる。そこをAに付け込まれたのか、Aにお熱になり、自からAが既婚者であることを知った上でアプローチして浮気ムーブを開始。つまり浮気の根本的なきっかけを作ったのはこの女である。
類は友を呼ぶのか、Aと同じくかなりのメンヘラ素養がある。
エンジニア職にも関わらず、手書き便箋5枚分の超大作長文お気持ちラブレターをAに送り付け、Aが自宅に隠していたその手紙を奥さんが発見。AとのLINEのやりとりも高校生カップルかと思うほどの低レベル語彙力のオンパレード。
都内に1人暮らしだが生活環境の水準は高くなく、家にはテレビも洗濯機もない模様。ワールドカップの時にAの家にある奥さんと共用のクソデカい液晶モニターをAが浮気女宅に持ち込み、一緒に観戦。そのクソデカモニターは今でも女の家にあるとかないとか。
友人T
私とAの共通の友人。大学時代の同級生であり同じサークル出身。メディア系会社を遍歴し、Aや当時の同級生らと連れ立って趣味の活動をしていたところ、私にもかつてのよしみで声掛けしてもらい、数年前に共に活動開始。
少々ガサツだが野心家で顔が広く行動派。いろんな年齢層の人から頼られやすい性格。
奥さんからAの浮気に関して相談を持ちかけられ、その後はAの行動を逐一報告する浮気監視LINEグループ内で情報を共有。Aの奥さんを支える。
2022年12月、ついにAの誇大妄言と浮気ムーブに限界を感じ、浮気監視LINEグループの存在とAの浮気の顛末を筆者に告げる。
学生時代からよくAの浮気の尻ぬぐいをしてきており、浮気された女がこぞってTに相談を持ち込む図式がこの時点で成り立っている。
そのため、Aが不貞を起こすタイミングを察知する嗅覚はずば抜けている。
長年連れ添ったAとの関係はよく悪くも「腐れ縁・悪友・歴戦の友」といった感じだったが、ついにこの関係にも終止符を打つ時が来た。
私/berber1105
この記事を書いている人。私だ。社会人生活と並行してAとTと共通のユニットで趣味の活動をしていた。
2022年秋ごろからAの行動に不信感を察知。Tが打ち明けてきた浮気監視LINEグループの存在により全ての事実を知る。
◆時系列から紐解くAの不可解な挙動
2022年10月末
この時期、TやAらと活動しているユニットで大きな動きが2回あった。ともすればユニットの今後の方向性が固まる大事なタイミングでもあり、これから気合いを入れてやっていくぞというアッパーなテンションになる筈だった。
ところがこのタイミングでAは事前の重要な打ち合わせに2回連続で大遅刻。
遅刻の理由も「奥さんとケンカした」「奥さんが家を出る直前でヒスを起こした」と、まるで自分は何も悪くないとでも言いたげな始末。
本番前のふるまいも挙動不審そのもので、当然本番でのAは散々な仕上がり。身内目線で見ても贔屓できるようなものではなかった。
既に以前より、Aの口からは「奥さんと別居したい」というような話が、かなりの頻度で漏れ出していた。
その理由は、
というような内容だった。
前述の奥さんのヒスもこの別居云々の話題がブリ返したからと言っていたが、今思えばこの時の言い訳も半分本当で半分がウソである。
私が決定的にAの挙動がおかしいと感じたのは、この10月末の帰りの電車内。Aは自宅に向かう路線とは全く無関係の途中駅で下車。
時刻は既に夜中の22時を回ったところ。さぁ、一体どこに向かったのやら。
2022年11月~12月
11月中旬にAからコロナ陽性に感染したと報告があった。同月下旬から回復して会社に復帰したようだが、病み上がりなのにも関わらず連日のように飲み歩いていたらしい。
同時に、奥さんもコロナに感染したという報告を聞いていた。十中八九Aからの感染である。そんな奥さんが苦しい状況にも関わらず、Aは家に戻らず朝帰りを繰り返す。
そして12月上旬。これまた学生時代の知り合いの活動云周年の記念ワンマンライブがあり、都内でも有名なライブハウスにTと共に赴く。
Aもそこに顔を出すが、開演して程なくそそくさと引き上げていった。友人の貴重なライブを放り出して、安くもないチケット代を出して入場したにも関わらず、さて一体どこに行ったのやら。
12月中旬。年内最後に自分たちの活動でAやT達と集まる機会があった。
終了後、喫茶店で「最近どう?」みたいな話をネタに茶をしばいていたのだが、その際にAから「会社に通いやすくするために都内の○○(地名)に引っ越すのもいいかもな~」という話が出る。
その日の終わり、Aと分かれた後にTから声を掛けられ、中野のインドカレー屋で私たちは2人でディナーとしけこむことにした。
その席で、Tの口から全ての事実を告げられることになる。
内容を噛み砕くとこんな感じだ。
まぁ何というか。Aが浮気していたこと自体はなんとなく想像できたオチだが、奥さんとTが裏でつながっていたのは正直想定外だった。
なぜ、このタイミングでTが打ち明けてきたのか。
それはAがこの日漏らした"都内の○○(地名)”というワードがきっかけだった。
事前に奥さんからTに打ち明けられた情報では、女が住んでいるのは都内のその地域(この情報を奥さんがどうやって入手したかは後述する)。
つまりAは奥さんと別居して、浮気女のところに潜り込む気満々なのである。
この地名が身内の会話で出てきたことでTはついに堪えきれなくなり、諸々の事情を全て打ち明け、ついに自分もAの浮気監視LINEグループに参加することになった。
以降、Aの行動や言動は全て監視LINEグループを介して奥さんに報告され、メンバーによってその真偽がジャッジされる環境となった。
◆Aの浮気ガバ要因
浮気監視LINEによってついに私も本格的にAの奥さんと繋がり、すべての事実を知っていくことになるが、果たしてなぜAの浮気は奥さんにバレたのか。
全てがガバガバのAの浮気行動。その要素を1つずつ見ていこう。
・領収書の残骸
例えばタクシーのレシート。職場から帰宅に使った筈のタクシーのレシートがAの衣服から出てくるが、やたらと料金が高い。
そして高級レストランやリゾート施設のレシート。会社で泊まりの飲み会があると告げられた日付のそれらのレシートが服の中から出てくるわ、机の上に転がっているわ、もう脇が甘い。甘すぎる。
極めつけは消費者金融からの借り入れレシート。
これがもう本当に最悪。
前職が経営者をしていたこともあり、現収入もそこそこあると思われたAだが、連日連夜飲み歩いて朝帰りをし、移動にタクシーを使いまくり、高級レストランやホテルで浮気女と遊びまくるとなれば、それこそ官僚クラスの収入がないと回る筈がない。その遊ぶ金欲しさに消費者金融から借り入れて、女と浮気するリソースに割り当てていたのだ。
また、前職の方が収入があったということは、転職した2022年は収入が下がっており、Aにかかる税金の請求はエグい額になっている筈である。
その税金の支払いに加えて、独立して会社を設立する際に奥さんからも多額の借金をしていたようだが、その奥さんへの借金はビタ一文返していないという有様。
さらに付け加えると、こんな性格だからAの債務信用情報はマジで最悪であり、社会人になった直後にブラック判定を食らっている。
一時期はクレジットカードも作れなかったというが、そんな信用情報のAにも消費者金融は金を融資した。
こうやって債務能力のない人間に金を貸し、また別の金融会社から貸付させ、自転車操業で支払いをさせていくことで、消費者金融は無限にチューチューできる仕組みだ。消費者金融側にとってみれば、カモがネギしょっておまけに鍋まで持ってきたというところだろう。
というかAも金融系会社出身なら消費者金融のヤバさくらい知ってるだろ!!バカがよ!!!!!!!
・Googleアカウントの共有
Aのガバその2。奥さんとGoogleアカウントの設定を共有していましたとさ。
おかげでAが浮気に使った検索履歴が奥さんにリアルタイムで筒抜け!
デート先のレストランの名前、女と泊まったホテルの名前、映画館のチケット予約履歴、果ては避妊方法や妊娠周期の検索、ベッドの上での女の悦ばせ方に至るまで。
全ッッ部、何から何まで、オールウェイズ100%筒抜け!!
アホ!!!!猿がよ!!!!!!!!!!!!!
しかもAがリアルタイムにその場で何を検索したのかわかるから、余計にタチが悪い。浮気女との会話のネタに使ったであろうドラマのタイトルとか、マンガの話題とか。しょーもない検索ネタばかりである。
ついには奥さんと自宅で一緒にいる時に検索したと思われるFAN〇AやPor〇Hubで日常的に使っているオカズネタの履歴まで出てくる始末。
勘弁してくれ!!!
・機種変更前のiPhoneのLINE履歴
Aは2022年秋にiPhoneの機種変更をした。以降、それまで使っていた古いiPhoneの存在を忘れ自宅に保管していたが、もしやと思った奥さんが機種変更前の古いiPhoneの中に残っているLINEの履歴を見たところ、見事に浮気女の名前とそのやりとりが馴れ初めから一部始終残っていた。
家族であっても他人の携帯電話のロックを解除して、LINEの履歴を覗き見るという行為自体は決して褒められたものではないが、上記の状況証拠が続々と出てくる中、奥さんはもはや背に腹は代えられない状況だったと言う。
そして奥さんはやりとりの画面全てを自分の携帯で撮影し、いざという時の証拠として隠し持っている。
(ちなみにこの時のAの携帯の暗証番号はAの弟の誕生日であり、A自らが周囲の近しい人間に以前からひけらかしていた。どこまでもガバ)
浮気女の本名が特定できてからは、自ずと先の情報も明るみに出てきた。
Aの会社のホームページを調べれば、浮気女の写真が自己紹介と共に載っている(そもそもLINEの履歴に浮気女とAの顔寄せツーショ画像があったので顔バレもクソもないのだが)。
ご丁寧に経歴やスキルと共に出身地、出身大学まで記載があり、そこそこの有名大学を卒業したようだ。
顔面偏差値に関しては、男が嫁を捨てて浮気するくらいめちゃくちゃ魅力的!!!!なんてことはなく、過去の浮気歴等も踏まえてAの好きそうな趣味の顔だなという範疇だった。
さらにAの定期券が登録されているAppleWatchの通勤費履歴から、会社以外の場所に頻繁に通っていることが判明。その金額からおおよその地域を特定。まさにAが先日打ち明けてきた都内某所だ。これで浮気女の居住地域をロックオンした。
こうして奥さんが粛々と情報収集していく傍らで、Aは会社の飲み会とウソをつき、連日浮気女の家に泊まり込んでセックス三昧。
何喰わぬ顔で帰宅し、自堕落な毎日を送っていく。
◆AppleWatch事件
クリスマスも目前に迫ったある日、奥さんから監視LINEグループに連絡が入った。どうやらアップルストアらしきところから自宅に届いた荷物があるとのこと。
言うまでもないが、事前の奥さんのGoogleアカウントのリサーチから、Aが浮気女へのクリスマスプレゼントに買ったAppleWatchだということが判明した。
そもそも浮気相手へのプレゼントなら自宅じゃなくて、会社に届けるとか方法あるだろうに。本当にガバガバガバナンスである。
浮気女へのプレゼントを前に腹の中が煮えくり返る奥さんとLINE監視グループのメンバー。
怒りのあまりに奥さんが取った行動とは………
AppleWatchの梱包箱にたっぷりのお茶をこぼす!!!!!!!!!
ドバーッ!!!!!!!!!
やったぜ!!!!!!!!!
何も知らずにのんきに帰宅するA。中身がAppleWatchだとはつゆ知らず、手を滑らせてこぼしちゃった〜ごめんなさい〜と謝る奥さん。
失意の中、AppleWatchを開封するA。シュリンクで保護されているものの、中身はお茶でびたびたである。到底浮気女にプレゼントできる状態ではない。
そしてAが発した言葉がこれ。
は??????????
んなわけあるかボケ!!!!!
そもそも奥さんは極度のインドア人間であり、アウトドア人間御用達のAppleWatchが大嫌いなのだ。
中のバンドのサイズなんて浮気女に合わせて買ってあるから、奥さんの腕にフィットする筈もない。完全にその場しのぎの見え透いたウソである。
バンドのサイズが合わないから返品するよと、あの手この手でお茶でびたびたのAppleWatchを回収しようとするA。でもせっかくだしバンドだけ自分で交換するからAppleWatchは受け取るよ〜と、ウソを見抜いた上で浮気女へのプレゼントを掠め取ろうとする奥さん。
その結末は………
Aはお茶でびたびたのAppleWatchを返品!!!!
浮気相手へのAppleWatchを新たに再購入!!!!
さらに後に引けなくなったため、奥さんへのプレゼントとして新品のAppleWatchを購入!!!!!!!!
計16万円近くの出費!!!!!!!!
𝑴𝒆𝒓𝒓𝒚 𝑪𝒉𝒓𝒊𝒔𝒕𝒎𝒂𝒔!!!!!!!!!!!!!!
◆クリスマスイブ作戦会議 〜さらに明かされる真実〜
2022年12月24日、クリスマスイブ当日。
この日は日頃から神経を擦り減らしている奥さんを労う意味と、今後の作戦会議も含めて、新宿のちょっとお高いフグ料理屋に監視グループメンバーで集まることになっていた。
当のAは言わずもがな、浮気女の家だ。心底性根が腐っている。
私はバルト9でTHE FIRST SLUM DANKを観てガン泣きしてから、会合場所の店に向かった。
Aの奥さんとは以前から何度かお会いしたことはあったが、監視グループに入ってから会うのは初めてだった。実際にこの日会ったことで、新たな浮気女ネタと今後の奥さんの考えや対応方法を聞くことができた。
ちなみにこの記事のトップにあるカバー画像はこの日食べたフグ刺しだ。
・浮気女謹製!手書き長文お気持ちラブレター
この日、奥さんが持ってきた新ネタ。自宅の居間の書類関連の保管場所から見つけたという、浮気女がAに向けてしたためた便箋枚数にして計5枚程の手書きの長文ラブレターだ。実際にこの日奥さんが持ってきたのは、事前に実物をコピーしたものだった。抜かりがない。
内容に関してはまさに特級呪物と言える代物で、極限まで噛み砕くとこういう文面だった。
とにもかくにも、システムエンジニアでテック系のアラサー女が、令和のこの時代に手書きで便箋に歯が浮くような長文ラブレターをしたためたという事実だけが、ただただ恐怖だった。
手書きなのでところどころ字が荒くて読みにくいし、無駄に便箋5枚とボリューミーだし目が滑る。それを無防備に自宅の居間に保管しておくAもバカの極みだ。
・Aと浮気女の馴れ初めのきっかけ
この日、奥さんはAの古い機種変更前のiPhoneも持ってきていた。つまり中にはAと浮気女が付き合い出した時の情報がたっぷり詰まっている。
それを辿ると、Aと浮気女が不貞行動を始めたのは2022年の10月頃。やはり私が怪しいと勘づいたタイミングとぴたりと重なった。2人がそもそも知り合ったきっかけは、社内のプロジェクトがきっかけのようだった。
そしてこの時期の打ち合わせにAが大遅刻をぶっかました理由は、前日まで浮気女の家に入り浸り、朝帰りした挙句に爆睡して寝坊したからということが判明。
これでAは私やTらに対しても不義理を働き、浮気を介して友人やその関係者をも振り回したということになる。
・奥さんの姿勢と今後の展望
ここからは奥さんが考えていた今後の計画の話だ。
前提としてAの奥さんは相当にキレ者である。そもそもAと結婚するにあたって夫婦同姓にせず、籍を入れても別姓にしているくらいなので、離婚に対するリスクヘッジは完璧である。
唯一の落ち度があると言えば、Aと結婚してしまった事実そのもの、という点に尽きるのだが……。
さて、奥さんは既に各保険会社の窓口へ相談し、現在契約している保険を一部解約するなどして、離婚戦争となった際の軍資金を準備している。加えて貯蓄も自身の口座にそれなりに蓄えてある。
対して旦那のAは消費者金融にまで手を出して遊び狂い、借金まみれだ。もうこの時点で戦争の勝利者は誰になるのかは見えている。
また、奥さんは先日役所にある届出を出したと言う。
それは『今後Aが離婚届を勝手に役所に出しても受理されず、浮気女と籍を入れようとしても法的に認められない』という、離婚届不受理申出制度だ。
まさに最大の攻撃にして最大の防御手段だ。これでAは勝手に奥さんと離婚することができなくなり、奥さんの許しがなければ生きることも死ぬこともできなくなった。
さらに奥さんは年が明ける頃合いを見計らって、調査会社に浮気の現場を抑えるべく見積をとっているという。
そして浮気現場の決定的証拠を確保した後は、然るべきタイミングでAに事実を叩きつけ、慰謝料諸々を浮気女に請求するという運びだ。当然Aは浮気女への慰謝料を肩代わりするだろうが、その金はやはり消費者金融からさらに借りるというオチが見えている。
どう足掻いてもAは破滅する一途だし、対する奥さんからは「Aと浮気女の2人が一緒になる未来を絶対に潰す」という強い意志をこの時に感じた。
併せて法的に打って出る準備として、これまで手に入れてきた浮気や不貞の情報などを弁護士に提供済み。さすがにAのLINE履歴を盗み見たという事実だけは、逆にAからそこを突かれて訴えられるというリスクが伴うが、状況証拠として浮気女とのやりとりの文面全てを弁護士に送っている。
そのAと浮気女のLINEの文面を見た弁護士の反応は、
もう情けなくてこっちが死にたくなる。
・判明する新たな罪状
そんなこんなで二次会三次会と河岸を変えて一晩飲んで奥さんを励まそうとしていた会だったが、ここに来て新たなAの罪状が浮上してきた。
発端はやはりAの機種変更前のLINEの履歴だった。
ここで登場する新キャラは大学時代の後輩女子のSとYとしておこう。彼女達2人の後輩とAのやりとりが、2年程前でぷつりと途切れていることに違和感を持ち履歴を辿ったところ、AはなんとSとYにも2年以上前に浮気をしていたのではないかという、ドス黒い履歴が出てきた。
2年前といえば、当然Aは今の奥さんと結婚済みである。
特にSはこの時期にAの自宅の近所に住んでいたらしく、よく家にまで遊びにきていて、奥さんもその時に何度か相手をしていたという。私にとってもSは在学中に結構仲良くしていた後輩だったので、余計にショックだった。
この事実が浮かび出てくるやいなや、途端に目元に涙が浮かんできていた奥さんの姿は見るに堪えられなかった。しかし、このSとYとの不貞行為に関しては100%確定的な証拠とは言えないため、あくまで「かなりの高確率で黒」という容疑に加わるだけにとどまった。
一晩飲み明けた翌朝。奥さんにはいつでも私たち監視グループのメンバーが力になることを伝え、Aが地獄の底に落ちることを切に願った。
◆12月末~ 新たな燃料投下
新たなネタと状況が奥さんよりもたらされた。
なんとAは消費者金融や奥さん以外にも多額の借金を抱えていることが判明した。ソースはAに届いたメールで、もちろん機種変更前の携帯で容易に確認できるものだった。
メールの送り主はAの金融会社時代の得意先で、都内で飲食店を営む経営者。金融会社時代の得意先ということは、当時同僚だった奥さんも知っている相手だ。
その文面は要約するとこうだ。
つまりAはこの元お得意先のお客からも金を借りていたのだ。
わかりにくいかもしれないのでこのお得意先を漫画家、Aを編集者に例えると、「編集者が漫画家先生にお金をせびって借りる」ようなもので、コンプライアンス的に絶対にあり得ない図式だ。
恐らく独立後に資金援助してもらう目的で金融会社時代のコネで借りたのだと思われ、その返済が滞っているということらしい。詳しい額までは不明だが、雰囲気からして少ない額ではないだろう。それを1年以上も放置しているのだから、もはや詐欺に近い犯罪スレスレのラインだ。
さらに後日。Aが機種変前のiPhoneの存在を思い出したのか、暗証番号がいつの間にか変更されていたという報告も入る。
この数日前に、奥さんはAの帰りが連日遅いことを理由に、かなり詰め寄った口論を繰り広げたようだ。
その際、「もしかして浮気してるから毎日遅いんじゃないの?」という感じでAに迫った結果、
という言葉がAの口から出たという。
極大ブーメランとはこのことである。
ここで奥さんから「浮気」というワードが出てきて初めて警戒したのか、Aは古いiPhoneの暗証番号を変えたのかもしれない。
旦那とはいえ、他人のLINEやメールを覗き見しなければいけない状況自体が健全な状態ではなかったので、この点ではある意味よかったと言えるのかもしれない。
ちなみにこの日の口論は全て奥さんのボイスレコーダーに録音済み。
オイオイオイ、死ぬわアイツ。
◆2023年以降の時系列
年も明けて正月。私は大晦日から高熱にうなされて正月休暇はほとんど寝ていた。今思えばコロナだったのかもしれないが、当時の検査結果は陰性だった。だが熱でうなされる夢に何度もAが出てきて、こいつをどうやってとっちめてやろうかと悶々としながらベッドで蹲っていた。
・正月から浮気の新年営業開始 〜調査会社、動きます〜
三が日に差し掛かった頃。Aはいつものようにあれこれ言い訳をつけては家を出て、浮気女の元へ向かった。事前のGoogleの検索履歴から、この日は浮気女と神社に初詣に行き、その後は浮気女の家へとしけこむ算段のようだ。
そして奥さんはこの日、ついに調査会社へ浮気現場の証拠を押さえるように追跡実行のオーダーを下した。
調査会社にもピンキリあるようだが、調査に関しては依頼主が時間を買い切り方式で支払う形の会社が多い。
例えば、調査時間40時間に対する費用が50万円。そして初回の24時間で調査を行い、残りの16時間は別日に保険として二重で調査を行ったりとか、色々やり方がある。
もちろん、尾行対象が不貞行為を行わず、その日の調査自体が空振りに終わることもある。その場合でもきっちり調査時間は消費される。
また尾行対象が長距離移動して新幹線や飛行機に乗ってしまった場合は、都度依頼主に確認が届き、尾行を継続するかどうか決める。そこで飛行機のチケット代が発生した場合は、その分も別額で依頼主に請求されるという仕組みだ。
ただ今回の場合、事前にガバガバなGoogleアカウント共有情報が奥さんの手元にあるおかげで、Aがどこで何をするかをあらかじめ予測した上で調査会社に依頼できるのが爆アドだった。
事実、この日の内に調査会社は浮気女の家へと潜り込む現場の決定的な証拠写真を押さえてきた。これらの情報は数日の内に書面としてまとめ上げられ、依頼主である奥さんの元に届く。
だが正月時期は調査会社も繁忙期らしく、通常よりも書面の準備に時間を要するようだ。どこもかしこも浮気調査ばかりらしい。
いずれにせよ、審判の日は近い。
◆1月20日 ~第2回寿司作戦会議~
クリスマスイブの作戦会議以降、2回目の会合が新宿の寿司屋で開催された。まぁこの日は連日のゴタゴタで疲弊した私が鬱憤晴らしのために寿司を食べたかったので招集したようなものだったが。
ただ、この日会った奥さんの様子は、以前のイブの時とは少し違った。以前の時のような「浮気絶対潰す」というような牙の鋭さはなりを潜め、どこか落ち込んでいる様子だった。
話を聞くに、ここ数か月の浮気監視に疲れてしまい、最終的にAと離婚した後の1人の生活を想像して、ナイーブになっているように見受けられた。
当然だろう。こんな日常を送っていたら精神が擦り減らないわけがない。
Aの浮気騒動に決着をつけ、その上で最終的に離婚するかどうかは奥さんの判断でしか動かせないことなので、あくまでも外野の私やTらは見守ることしかできない。だがここでTが奥さんの状況を風刺したうまい例え話をしたのが印象に残っている。
我々外野の意見はもはや一片の曇りもなく、「Aは今後人生を共にする価値のない最低人間なので可能な限り早くケリをつけて別れた方がいい」という点で一致しており、その理由は奥さんも十二分に理解している。
ただ将来や年齢のことも考えると、離婚という選択肢はやはり臆病になってしまうこともわかる。傷が浅い時点でこの悪循環から抜け出す方法も既にわかっているのだが、それに二の足を踏んでいるのだ。
一方で、もし奥さんがAに引導を渡さず、このまま一緒に結婚生活を続けるとしたら、私やTはAと一緒に今後活動するのは難しいので、こちらからAに対して金輪際友人としての縁を切る、というスタンスも伝えた。
奥さんが次の最終ステージに上がるにはもう少し時間がかかるかもしれないと感じたと同時に、ここまで奥さんを悩ませるAに、そろそろ面倒くさくなってきた頃合いだった。
◆終局は突然に
新宿寿司会議の翌日、1月21日。この日は2023年最初にA、そしてTらと集まる日だった。
去年の12月以降にAの顔を見ていなかったとは言え、出合い頭にいきなりAをぶん殴るわけにもいかず。平静を装い淡々とやることを終え、夕食がてら居酒屋で飲むことになった。
しかしアルコールが入った酒の場で、次第に各々のギアが入り始める。
今後の活動方針の打ち合わせから始まり、近況報告をふまえ、話題は自ずとAの私生活の話に舵が切られていく。
もちろんAの私生活や自宅で何をしているかなどの情報は、全部監視LINEを通じて奥さんから共有されている。この酒の席でAが口にしたことは「5割が真実・残り5割がウソ」だった。当然だが、この場でそのウソを追及することはしない。あくまで「へぇ~」とAの誇大妄言に耳を傾けるだけにとどめる。
しかしTの姿勢は違った。
繰り返すが、Tは学生時代から散々Aの浮気の尻ぬぐいをしてきた。Aが不貞を起こしたタイミングをキャッチしたり、追及する能力はずば抜けている。
そのTのテンションがエスカレートしていき、アルコールの勢いに任せてついに突っ込んだ。
当然Aは否定する。しないしない、やってないと。だがその語調はしどろもどろだ。
私を含め、同席していた他のメンバーもAが過去に犯した経歴は周知の事実なので、このAの焦り具合が見える反応には敏感で、さらに「やってるだろ」と冗談交じりのトーンで追撃をかける。
そして、その場に居づらい空気になるとAは煙草を吸うと言って席を外す。このパターンが飲んでいる最中に何回か続いた。もう誰が見ても明らかに動揺が見えている。
結局、この日は酒の場の勢いとノリも交じり、Aは自らにかけられた容疑を払拭するわけでも完全に否定することもなく、幕を閉じた。
だが本当の終わりはこの日ではなかった。
・2023年1月24日
年始最初の打ち合わせから3日後。この日、Tは仕事の関係で夜遅くまで飲んでいたようだ。その深夜、私を含めAとTとユニットの活動をやりとりしているLINEグループ上で、Tが再度Aに攻勢をしかけた。
この後はTのAに対する暴言が続いた。
当然Tの頭にはアルコールが入ってたことだろう。
直後、Aは無言でLINEグループを退出。図星をつかれて逃げ出した。
これで終わるはずもなく、Tは個人的にAとグループを繋げ「何逃げているんだよ」と追撃。
この様子はリアルタイムに監視グループLINE上でTが共有しており、奥さんにも伝わっている。
当の奥さんからは「Aは携帯持ったまま風呂に入っています。風呂の中で返信する内容を考えているんじゃないですかね」。
そしてついにTが監視グループ上で私に告げてきた。
恐らくTの中ではもうガマンの限界だったのだろう。
自身の欲求の為に奥さんを顧みず、周りの友人をも裏切り続け、嘘に嘘を重ね、社会的信用を失い続けていくAの醜態に。
かくいう私も、これ以上Aの身勝手な浮気や行動に振り回されて、自分がやりたいことをできないのはしんどいと感じていた。
よし。切ろう。
遅かれ早かれこうなることはわかっていた。
例え奥さんが先にAに調査会社からの書面を突きつけ、弁護士を通して慰謝料請求ムーブを起こして社会的に引導を渡したとしても、その後にAが真人間になって復帰できるビジョンが見えない。そうなった時点で私もTも、Aには奥さんから浮気相談を裏で受けていたことの全てを打ち明け、関係を終わらせるつもりだった。
お前の行動は全部筒抜けで、浮気女と会った回数も、通ったラブホテルの場所も、全て知っていたぞ、と。
どの道、Aは最初から破滅する運命だったのだ。
私はAにこう告げた。
大体どころかAの行動全てを把握していたわけだけど、私はウソは言っていない。
言いたいことのすべてが伝わった感触はあまりなかったが、この後Aからはひたすらごめんという謝罪の言葉が返ってきた。
いや、言う言わないの問題ではないんだけどな?
それはさておき、私が意図したことはどうやら伝わったみたいだった。
そしてTが「いつか本当の意味でフラットな関係になった時にまた話そう」と告げて、この場を締めた。
こうして私は、1人の古い友人との友情を終わらせた。
◆日常は続く
正直、Aとの縁を切ったことで気持ち的にはスッキリしたが、それに伴って色々なことを切り替えていかなければいけないので、まだまだ前途多難だ。
今日も相変わらず浮気監視LINEには奥さんからの通知が届くが、Aの話題は少し減った気がする。今日何食べた~とか、美味しいお店の話題とか。在宅勤務中にフラフープで脂肪燃焼した~とか。そんな感じだ。
私はAという友達を失ったが、代わりに奥さんと友達になった。
以前、奥さんはこう言っていた。
「Aに浮気するスキを与えたのは自分にも責任がある」と。
確かに奥さんは子供そのものが苦手で、セックスにも興味がなくて、その平行線でAとセックスレスの状態を続けた。
理由はわかるし、そう思ってしまうのもわかる。
だからといって、それでAが浮気をしていいっていう話ではないし、そもそもAには奥さんを幸せにできる器ではなかった。
もっと奥さんと早く知り合っていれば、Aと結婚することに助言して「こいつは金と女関係に関しては最悪だから気をつけろ」と、忠告を入れることができたかもしれない。2023年にもなるのにタイムリープマシンがこの世界で発明されていないことが残念だ。
やがて近い将来、Aと浮気女には審判の日が訪れるだろう。
過去の自分が積み重ねてきた不貞行動のツケを支払う瞬間だ。
そんな日が来ることも知らずに、もしかしたら今日もAは浮気女とセックスしているのかもしれない。
だが、もう私には関係ない。
社会的にも精神的にも破滅して、それでも這い上がることができたら這い上がってこればいい。それだけのことだ。
今回の一連の騒動で得た教訓がいくつかある。
①浮気癖のある人間の性根は何年たっても変わることはない
②金と時間にルーズな人間は信用するな
③なんでもいいから自分の心に確固たる芯を持て
④持つべきものは友人
⑤因果応報。世の中全てこれで回っている
これに尽きる。
Aに限った話で言えば、やっていることが全く学生時代から進歩していない。ただスケールがデカくなって、その分周囲に振りまく不幸の度合いがえげつなくなっただけだ。
そしてAと付き合っていく内にわかったことだが、Aの中には本当の意味で夢中になれるものが何も存在していなかった。
それは奥さん然り、仕事然り、趣味然り。好きなことに対しても上澄みだけで浅く、全てが中途半端。
性根からして対人関係を舐め腐っているので、多分浮気女のことも本当に心の底から好きではないのだろう。
夢中になれる何かアツい物があったり、これだけは譲れないという信念さえあれば、こんな結末にはならなかったかもしれない。
仮にAがこの先なんやかんやあって浮気女とくっついたとしても、経済的・社会的な面から、絶対に浮気女も幸せにすることはできないだろう。
ましてや生まれてくる子供を育て上げることなんて、できる筈がない。
それは何より、Aがこれまで犯してきた行動と結果が全てを物語っている。まさに因果応報だ。
Aよ、お前は過去のお前によって破滅するんだ。
その意味はもうわかっている筈だよな?