
映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」に登場する「α7III」
カメラ好き&ミリタリー好き界隈で盛り上がっていた映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」 。Amazonプライムビデオに登場したのを機に私も観たのですが、これは確かに魂の揺さぶられる映画です、とりわけカメラ好きにとっては。
ネット上で散々、解説や感想が行き交っているので今更触れません。私が注目したのはカメラに纏わる部分。
主人公リー・スミスが使うカメラが話題になっていましたが、SNS上では「SONYのα7なのは分かるが、どのモデルか判別できない」との声も散見します。
主人公のカメラはα7 III
諸説上がっていますが、結論としてこのカメラは「α7 III」であり、レンズは各種あるものの上記シーンでは「LEICA SUMMICRON-M f2/35mm ASPH」を、銘匠光学(TTAritisan)のマウントアダプター「TTArtisan M-E(ライカMマウントレンズ → ソニーEマウント変換)」の旧型(2024年のマイナーチェンジより前の旧型)を使用しています。
なぜ「α7 III」と断言できるのか。以下がその理由です↓

まず「初代α7」と映画のシーンを比較すると、上記のように「7」のロゴ位置とレリーズボタンの高さが異なるのが分かります。

次に「α7 II」との比較では、やはりレリーズボタンの位置する高さが異なります(もっと軍艦部に近い高さである必要があります)。

ネット上でよく見かける意見が「α7R」ですが、これも同様にレリーズボタンの高さ(位置)が劇中のカメラと異なります。

「α7 IV」や「α7 V」も、やはり該当しません。シルエット等が異なります。

即ち、これら諸条件を満たすのは「α7 III」のみであることが分かります。
ソニーα7シリーズは(私がキヤノン機ユーザーなせいか)どれも同じような形に見えるのですが(失礼!)、こうして並べてみると微妙に特徴があるのですね。
スチル用レンズで撮影された映画

こうした劇中に登場するカメラ自体も興味深い本作ですが、カメラマン(写真)がテーマとなっている作品だけあって、写真的表現としての美しいボケやフレアが幾度となく登場します。
例えば、上記はオールドレンズで撮影したような独特なボケ感が演出として用いられています。

なかでも、とりわけWF〈Western Forces:西部勢力軍)駐屯地で主人公リー・スミス(左)とジェシー・カレン(右)が語らうシーンの背景に流れる小川の水面が放つ光は息を呑む美しさ。否が応でも撮影機材のレンズが気になって仕方がありません。
実際、アレックス・ガーランド監督のインタビュー記事でも撮影時に用いたレンズについて下記のように触れています ↓
カメラもIMAX用のものではなく、DJI Roninという小さなカメラを使っています。そこに、「ライカ(LEICA)」の35ミリのスチール用レンズをつけて撮っていました。このレンズを使っている映画はあまりないように思います。
上記のように述べており、映像表現に強い拘りを持っていることが分かります。尚、インタビューでは「DJI Roninという小さなカメラ」と表現されていますが、下記の記事によると「DJI Ronin 4D」を用いたとのこと ↓
DJI Ronin 4Dなら、ライカMマウント用もありますからね。
カメラ好きに”刺さる”映画
このように本作はカメラ好きには最高に”刺さる”映画なので、観ておいて損の無い映画と思います。
因みに、映画としてのレビュー評価があまり高くなく(むしろ低い!)2025年2月時点で「☆2.7」。否定的レビューの多くは「なぜアメリカが2つの勢力に分かれて戦っているのか理由が描かれていない」、「記者目線でしか描かれていないので全体像が分からない」、「そもそも西部勢力軍としてテキサス州とカリフォルニア州なる水と油な2州が同盟するなんてあり得ない」など否定的な意見が散見します。
私は逆に、そうした部分が不気味なリアリティあって良い映画だと感じています。例えば、実際に内戦のような大きな事態が起きた際には一市民・民間人の立場からは大局・全体像は見えずに目の前に迫る事象に対処するのが精一杯でしょうし、水と油な2州が同盟せざるを得ないような状況だからこそアメリカが内戦にまで発展した、と考える為です。
総じて私はこの映画、色々な意味で大好きで、個人的には「☆5つ」!〔了〕