ちいさな世界に目を向けて。
ぼくがカメラをはじめたのは、今からだいたい6年くらい前になります。
それまでぼくには、これといった趣味がありませんでした。
仕事に関することの勉強は、我ながらかなりまじめに取り組んでいたと思います。休みの日にも、時間があればとにかく勉強勉強、また勉強。オンとオフの切り替えなんかナシ。子どものころから勉強は得意だったし好きだったので、あまり苦にはなりませんでした。
そうすることで実績はたしかに伴いました。大きな会社ではありませんが、努力のかいあってなかなかの若さで管理職にもつきました。30歳をすぎて、まだまだ仕事への熱意も体力も十分。だけど。
年齢を重ねるにつれ、やっぱりどこかで偏りが生まれていることを感じていたんだと思います。
ぼくはきっと、このままじゃいけない。
ある程度仕事での結果も出ているし、そろそろ仕事以外で打ちこめることを見つけたいな、と思っていたところで出会ったのが、instagramでした。
最初はスマホのカメラで、食べたものや飲んだお酒などを適当にポストしていましたが、多くの写真に触れ、感激したり関心したりを繰りかえすうち、ぼくもちゃんと写真を撮ってみようかな、と思うようになったのです。
さて。そうは決めたけれど、何を撮ろう。
人とのコミュニケーションがあまり得意ではないので、ポートレートとか、被写体が人っていうのはちょっと無理。はいチーズ!じゃダメなんだろうし。
景色、風景?あんな大砲みたいなレンズ、いくらするんだろう。何十万??これも無理無理。
興味を持ったにもかかわらず、悪い癖で何かと理由をつけてなかなか前に踏みださないぼくの背中をポンと押してくれたのが、マクロの写真でした。
instagramにあふれるすてきな花の写真の数々。
とくに、マクロレンズで寄りに寄って花びら1枚1枚にまでフォーカスされている写真にこころ惹かれました。
そっか。花を撮ろう。
こんなふうに、これまで見てこなかった小さな世界を切りとってみよう。
こころがスッと前に向いた気がしました。
そうと決めたらあとは行動。
休みの日に、新宿のビックカメラへ。
いざ売り場に行くとやっぱりドキドキしました。こんな高い買いもの、ほとんどしたことなかったから。
でも、えいっと勢いをつけて、何とか購入。
記念すべき最初のカメラは、LumixのGX7。最初のっていうか、今も使ってますけどね。
付属の単焦点レンズでちょっと練習して、それからすぐにマクロレンズも買いました。
カメラを持つようになって、価値観がガラリと変わりました。
コスモスだろうと桜だろうと、ぼくはそれらを「花」としてしか認識していなかったのに。
季節を、時間の流れを、より感じるようになりました。
年が明けた。そろそろセツブンソウに会える季節だ。
満開のネモフィラは、今週がさいごかな。
花で季節を知る。そんなすてきな世界が、こんなに身近にあったなんて。
ぼくの写真ライフは、こうしてはじまりました。
instagramはだいぶ前に辞めてしまいましたが、特に最初はやっぱり誰かにみてほしい、いいねがほしい、それがモチベーションになっていたのは事実。
今はSNSへのスタンスについて書きたいわけではないのでそれは別の機会に譲りますが、だから特に最初は努力しました。いいねもフォロワーさんも、たくさんほしかった。
氷点下で手の感覚がなくなっても。雨でずぶぬれになっても。どんなに寝不足で朝が早くても。いい写真が撮れるなら頑張りたい。
1日中歩きつづけて撮った写真をiPhoneに転送して、1枚1枚チェック。
100枚撮っても200枚撮っても納得のいくのは数枚あるかどうかだから、今日は収穫ゼロ!みたいな日だってたくさんありました。
これだ!っていう1枚に出会えた日はもう、うれしくてたまらなかった。
そうやってこれまで撮りためてきた写真たち。もちろん多くはボツなんだけれど、やっぱり愛着がわいてしまって、ボツでもなかなか削除することはできないんです。
もっとうまくなりたいのはもちろん。でも、その写真をみるたびにそのときの思いが鮮明によみがえるような、自分のこころが伴うような写真をこれからも撮っていきたいと思っています。
*
<おわりに>
この記事を書くのに、iPhoneのカメラロールをずっと見返していました。
いろんな写真があって、これはどこで撮ったんだ、これはここ、このときこんなことがあったな...と、さまざまな思い出が行ったり来たり、時間があっという間に過ぎてしまって。
すてきな趣味に出会ったなって、こころから思います。
ほんとうは言わずにさっさとやってしまえばいいことなのだけれど、これまで撮ってきた写真を「みんなのフォトギャラリー」にすこしずつ投稿しはじめました。
眠っている写真たちだったから、もしも誰かの役に立つのならぼくもうれしいし、励みになると思って。
記事のテーマに合いそうなものがあったら、ぜひ使ってやってください。
今日もさいごまで読んでいただき、ありがとうございました。
どうぞ、すてきな週末を。
いただいたサポートは、ほかの方へのサポートやここで表現できることのためにつかわせていただきます。感謝と敬意の善き循環が、ぼくの目標です。