いつもと同じように。
さっき、スーパーに買いものに行ってきた。
初夏を通り越してもう夏か、と思うような陽射しの一日。
緑がすこし増えた街路樹、その分だけ濃くなった影。日なたと日かげのまだら模様、美しい午後。
帰りみち、歩いていたら、何とはなしにふり返ってみたくなった。この街に越してきて、ふたりで過ごした時間について、思ったこと。急いで帰って書きとめておきたいなと思ったけれど、とても気持ちがよかったから、ゆっくり一歩ずつ、歩いてみた。
一昨年の今ごろ、同棲と結婚について、話をしていた。両方の実家に挨拶に行った。親同士の顔合わせもした。そのまま夏に今の部屋で同棲をはじめて、そこからちょうど一年たった日に入籍をした。
ふたりで過ごした部屋、ここに流れた(もうすぐ)2年という時間。家族が増えたわけでもないし、劇的な何かが起きたわけでもなかった。けんかもほとんどしなかった。今はすこしだけきみは体調が落ち着かなくて、ぼくは相変わらず仕事の心配をしていて、それでもふたり並んで夕飯を食べて、NETFLIXを観たり、話をしたり。童心に帰ってみようなんて、さいきんは折り紙やあやとりにチャレンジしてみた(子どものころ、ぼくはどちらも得意だった)。
いい大人のふたりだから派手なことや無茶なことはしないけれど、ささいなことで笑い合えるいい関係だなと思っている。ぼくらの関係について、いつかきみにも訊いてみたいと思う。ぼくが考えるのと同じ答えがかえってくることをぼくはわかっているけれど、やっぱりすこしだけ緊張するだろうな、と思う。
ふたりの時間がはじまった季節の入り口に、今年もこうして立っている。
ふたりで気持ちを寄せ合って、何とかして乗りこなしてきた日々の先に、また同じような日々が連なっている。
そんな同じような日々を、同じような気持ちで過ごしていけるように。
夕飯の準備をして、これからすこしだけ、仕事をして。
今日も恙なく、いつもと同じような一日を終えることを、いつもと同じように、願っている。