だから、この花のように。
222個めの記事を22日のうちにポストしたいなぁなんて思いながらも、結局思うように書けず、日付をまたいでしまった。
前回、新宿御苑に早咲きの桜を見にいったと書いた。これから温かくなるにつれ、公園や街中の木々は眠りから覚めたように、思い思いに自らを春の色に染めるのだろう。桜、クロッカス、菜の花、ムスカリ、チューリップ...。文字通り、こころ躍る季節がもう目の前に迫っているようだ。その彩りは、ひとえに歓びと映る。長い冬を耐え、新たな生を謳歌する。色が、香りが、そこここに溢れる。春は、歓びの季節だ。
そんなふうに、だいたいの花が、春の訪れを知らせるように咲く。春を待って、満を持して咲く。けれど。そんな中で、すこし変わった花がある。それは、ヘッダーの写真につかった花。そう。クリスマスローズのこと。
クリスマスローズ。
なんて素敵な名前なんだろう。その名前のとおり、本来のクリスマスローズはクリスマスのころにだけ咲くもの(=ヘレボルス・ニゲル)を指すのだそうだ。ただ、今その名前はクリスマスローズ属に分類される植物を総称するものにもなっており、その意味においては、寒さの厳しい真冬からようやく春が訪れるそのときまでを咲いたまま過ごす、とても珍しい花だと言える。
この花、ぼくは撮るのがとても苦手だ。いつも俯いているし、フォルムが立体的なため、ピントを極力絞って撮るぼくのお得意パターンにはあまり向かないタイプの花だから(技術がないともいえる...。あとは単純に、寒すぎて撮るのがつらいんだ)。
でもね、ぼくはこの花が大好きなんです。
雪が降っても、倒れない。
どんなに寒くても、その花を閉じることはしない。
「雪起こし」の別名があらわす通り、とてもとても、つよい花。
上手く撮れないし、正直ほかの花に比べて華がない。
陽のあたらないところに密集していることもあるし、くすんだ色をしているものも多いし、そんなにかわいらしくもない。
それでも。
生きてやるんだっていう意地みたいな、春を見届けてやるんだっていう心意気みたいな、そんな気概を感じるたくましさに、ぼくは魅力を感じていたんだ。
じつは、よくいる。
両肩にのしかかった見えない何かに、今にも押しつぶされそうにうなだれている人。大きな失望を隠せない人。そう、ほんとうに、ガクンと頭を垂れて、肩を落として。
思ってたことがある。クリスマスローズみたいだなぁ、なんて。
決してバカにしているわけではなくてね。
どんなに辛くても、倒れることを知らない花がある。
どんなに俯いても、前を向こうとする花がある。
だからこの花のようにガンバレなんて、よくわからないことは言わない。
言わないけれど、自然やまわりの動植物から学ぶことってきっとある。比喩としてこころに留めたいことも、きっとある。
こんな花もあるよなんて、伝えてみたいと思ったこともある。
実際そんなことできないけれど。人の抱えるものなど、ぼくには見えないけれど。無責任なことなんて、言えないけれど。
それでも、ねぇ。
こころが乾いていたり、哀しみの涙に濡れていたり、血を流していたり。
前を向きたいときは、何にでもヒントを探してみたいじゃない。
ささいなことを、きっかけにしたいじゃない。
それで前を向けたらきっと、儲けものだもん。
だから今朝は、この花をここに。
今朝も読んでくれてありがとう。
令和最初の天皇誕生日、みんなが柔らかな笑顔で、前を向いて。
清々しく温かく、美しい気持ちで今日を過ごせますように。
それでは、また。
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