Claris Road Show 2024 OSAKAへ行ってきました!〜セマンティック検索の活用〜
こんにちは!マキシムで基幹システムを担当している野村です。弊社では、ほとんどの業務でFileMakerを活用しており、そのシステムの構築も内製で行っています。
先日、Claris Road Show 2024 OSAKAが開催され、参加してきました!最新バージョンのFileMaker 2024の新機能紹介や、より良い開発を行うための手法を紹介するセッションなど、非常に勉強になる話が多くありました。
その中でも一番気になったのは、やはりFileMaker 2024から追加された新機能である、LLMとの連携とセマンティック検索についてです。
セマンティック検索とは
セマンティック検索とは、文脈や意味を理解して検索結果を提供する技術です。これにより、より関連性の高い情報を素早く見つけることができます。
従来のキーワード一致検索では、検索キーワードと一致する単語が含まれるレコードのみが検索結果として得られますが、セマンティック検索では文脈を理解し、検索キーワードに関連した情報を探し出せます。
例えば、商品レビューをセマンティック検索してみたとします。検索キーワードは「小さかった」とした場合、得られる検索結果は下記のようになります。
ワンサイズ大きいのを買えば良かった。
サイズが小さすぎて、着られませんでした。
生地感はいいので、大きいサイズ展開を待っています。
商品レビューに「小さかった」という単語が入っていなくても、文脈を理解して関連した検索結果を得ることができます。
セマンティック検索に適しているデータは、商品説明文や商品レビューなど、ユーザーが自由に入力する内容の検索において非常に有効です。逆に、チェックボックスやラジオボタンなどの、どのようなデータが入っているか分かっているレコードや、日付や数字の検索においては、キーワード一致検索が向いています。
FileMaker2024でのセマンティック検索
FileMakerでセマンティック検索を行うには、たったの3ステップ。
step1. AIアカウントの設定
ベクトル変換に利用するAIの設定をスクリプトステップで行います。事前にOpen AIのAPIキーを発行するなどの準備は必要ですが、FileMakerからAIを利用するための設定は1行のみ。
「AIアカウントの設定」は、ファイルを閉じると設定が消えてしまうため、ファイルを開くたびに1回実行する必要があります。そこまで重たい処理でもないため、検索時に毎回実行しても問題はありません。
step2. 埋め込みを挿入(ベクトル変換)
検索キーワードと、検索対象のデータをそれぞれベクトル変換します。このベクトル変換には、OpenAI など AIベンダー 各社の提供するモデルを活用します。
検索対象のデータのように、複数のレコードをベクトル変換するには「対象レコードに埋め込みを挿入」を利用し、検索キーワードのように、1つのレコードをベクトル変換するには「埋め込みを挿入」を利用します。
step3. セマンティック検索を実行(コサイン類似度を計算して検索結果を取得する)
それぞれベクトル変換した検索キーワードと、検索対象のデータが、どれだけ類似しているか、-1から1の間で評価します。1に近ければ近いほど、関連性があると判断します。「返される数」を設定できるため、類似度の高い検索結果上位N件を取得できます。
セマンティック検索をどう活用するか
セミナーのデモでは、大学生がカリキュラムを検索するのに活用したり、作成したアプリケーションを一覧管理するツールの検索に活用したりしていました。
アパレルという業種において、セマンティック検索はどのように活用できるのか考えてみました。
カスタマーサポートの効率化
日々のお客様からの問い合わせ内容と、どのように対応したかをデータ化しておけば、セマンティック検索で過去の類似した事例を参照できます。お客様への適切な提案ができ、スタッフの負担も減りそうです。新人教育にも使えそうですね。
商品レビューの解析と商品改良
ユーザーのレビューをセマンティック検索で解析し、商品の評価や問題点を把握できます。例えば、「このシャツは素材が良いが、サイズが小さめ」というレビューを集計し、商品の改良の参考にできそうです。
マーケティングキャンペーンの最適化
セマンティック検索を使って、ユーザーがどのようなキーワードやフレーズで商品を検索しているかを分析し、広告キャンペーンやSEO対策に反映させることができそうです。
まとめ
活用次第ではさまざまなことに利用できそうなセマンティック検索ですが、実際の業務に取り入れるには柔軟な発想が必要そうです。しかし、実際に活用できたら面白そうなので、何かしらの業務に取り入れてみたいです。
セマンティック検索に限らず、AIとFileMakerが簡単に連携できるようになったので、それらを活用した業務サポートツールをいろいろと作ってみようと思います。
参考
Claris FileMaker Pro ヘルプ AIアカウント設定
Claris FileMaker Pro ヘルプ 埋め込みを挿入
Claris FileMaker Pro ヘルプ 対象レコードに埋め込みを挿入
Claris FileMaker Pro ヘルプ セマンティック検索を実行
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