
経営の不確実性の山の登り方。Maxeffの経営ステージングの考え方について
こんにちは。Maxeffの長野です。今回は僕自身が2021年に起業をしてから、一貫して伴走させて頂く企業・事業に対して「経営ステージング」という考え方をお伝えさせて頂き、組織にインストールさせて頂いている考え方をNoteに書きたいと思います!
この考え方を共有させて頂く事で、「今経営として何に集中すべきか」の納得感を持つ事ができ、「やらない事」を決め、「やるべき事」にリソースを投下する事で、ゴール達成の確度を最大化するというのが意図になります。
支援先の上場企業の新規事業に関する重要な会議、スタートアップの全社会等でも活用されており、非常に好評なMaxeffの独自のフレームワーク、考え方になります。
なぜ「登り方」が大事なのか?
大前提、登り方は経営者それぞれの考え方があり、それぞれに経営哲学やロジックが存在すると考えております。登り方に正解はないという前提で僕自身も経営者の伴走を行っています。その上で、下記になぜ「登り方」が大事なのかを少し書いていきたいと思います。
その1:ほとんどの経営者が「初めて」経営をやる。
一部のシリアルアントレプレナーの方を除いては、ほとんどの経営者は「経営」というチャレンジ自体が初めてです。そんな中、「何をしていいかわかってる」という方が「特別な才能」だと感じます。様々な経営者から相談を受け「ぶっちゃけ今何に集中していいかわからない」という声はもちろん上がってきます。もっと言えば「何をしない方がいいか」という「やらない事」を決めきれず、色々な事をトライ&エラーをしながら「正解」を探っていくというアプローチが多い印象です。例えるなら、多くの経営者が「登りたい山の山頂へのルート」の地図を色々な情報を元に、自分自身で想像で書きながら登っていっているようなイメージです。まだ登った事のない山に地図なしで登山をする事は非常に不安な事が多いだろうな感じます。そんな中「大きく間違わない登り方や地図」があれば、経営する上での自信やメンタル的な安定にも繋がり、結果として経営者が良質な意思決定を毎日行えるようになると考えております。
その2:経営という登山は、登山の号数が変われば全てが変わる
よく「経営ステージ」の話をする時に、経営者の皆さまが想像頂くのは「規模」の観点での「経営ステージ」をよく想像頂きます。たとえば「組織100人の壁」や「ARR1億円超えたら」のような「規模軸」のステージングです。もちろん、規模が変わると経営としてマネージメントしないといけない事も変わる事は紛れもない事実だと思っております。

一方で、経営の山というのは、登っている号数で「登り方」が全然変わってきます。いきなり断崖絶壁のチャレンジもあれば、雪が深く進み辛いチャレンジ、平坦だけど地面がヌルヌルして転倒しやすいチャレンジもあります。経営という登山はそうした登る上での「チャレンジ」が山頂まで一定のパターンで存在すると考えており、それを明確に定義する事で、初めての登山の成功確度を最大化できると考えております。
これを僕は「経営ステージング」と呼んでおります。
経営ステージングの全体像 全8ステージを公開
Maxeffでは、経営ステージを下記のように全部で8つのステージにわけています。赤字で書いている部分が「各経営ステージ」で「検証する不確実性のテーマ」になります。この一つ一つを検証していく事が、最短で登りたい経営の山を登れる事だと考えております。

堅苦しくなる前に 関西弁で全8ステージのざっくりとしたイメージを(笑)
堅苦しい言葉ではなく、大阪人代表として関西弁でそれぞれの経営ステージを少しわかりやく説明します(笑)
初めて説明する際や企業でワークショップをする際は、この関西弁版でまず説明する事が多いです。(すごい勢いでスベる時ももちろんあります)一応、堅苦しい版もあるので貼っておきます(笑)


8つの経営ステージング 何に集中するのか ポイント整理
経営ステージ1:競争優位性を前提にした参入(KPI=技術/チーム
/提供価値)
圧倒的な「提供価値」の源泉となる「競争優位性」を前提に市場に参入できるかが重要だと考えております。技術、ノウハウ、アセット等、様々なアングルから「How」を考えるフェーズですが、結局「顧客にとっての圧倒的な提供価値」を構築できないと意味がないと考えております。(*この圧倒的な提供価値の軸についてはまたNOTEを書きたいと思います)
経営ステージ2:コアセグメントと提供価値の検証(KPI=LTV/
利用率)
競争優位性が構築できれば、それを提供価値に昇華させていくフェーズに入ります。その提供価値が一番刺さる「コアセグメント」を同時に見つけ、提供価値をさらにアップデート、最適化していきます。
経営ステージ3:1つの顧客獲得チャネルとオンボーデングの確立(KPI=CAC/Unit Economics)
コアセグメントと提供価値が最適化できれば、次にそのコアセグメントを一番生産性高く、且つ自社でコントロールできる新規獲得チャネルを確立します。顧客を連れてくるだけではなく、連れてきた顧客をしっかりとオンボーディングしてファン化していくコミュニケーション設計・組織設計も重要になってくるフェーズです。

経営ステージ4:顧客獲得のチャネル多角化(規模化)(KPI=M/Q/YoY%)
1つのチャネルが確立できれば、次はそれを様々なチャネルで実現できるよう、チャネルを広げていきます。スケールしていく事業に対してUnit Economicsを維持するのは非常に難易度が高く、MoM%等の成長率を見ると同時にUnit Economicsもマネージメントしていく力量が求められるフェーズです。
経営ステージ5:顧客層の拡大のための機能/商品拡充(マス化)(KPI=セグメント別シェア)
コアセグメントを確実に取れてくれば、さらなる成長を求めて次に「別セグメント」への展開を模索します。「セグメント」というのは基本的に「ニーズが分岐する層」なので、サービス・プロダクトに対してのニーズも既存のものからアジャストする必要がでてきます。この時にサービス・プロダクトをアップデート・アップグレードしていく必要がでてきます。もっと言えば、顧客獲得チャネルも全く違う可能性もあります。いわゆる「PMFを何度も繰り返す必要がある」というような表現がありますが、まさに「セグメント拡張をする」というタイミングで起こると考えております。
経営ステージ6:規模の経済の事業構造への折り込み(KPI=営業
利益率)
顧客セグメントの拡張がうまくいけば、市場で一定のポジションを確立できる確立が高いですし、規模も一定規模に成長しているフェーズです。こうなってくるといわゆる「レバレッジ」をかけれるフェーズに入ってきます。具体的に言えば「サービス・プロダクトの全て」を自分達で作らずにパートナーにプラットフォーム開放をする事で作ってもらえたり、「販売」も沢山の代理店が手を上げて販売を加速してくれたりします。これはどういう状態かというと「売上規模」の増加に対して、「コスト」が同様に増加しないモデル=規模の経済を事業規模へ折り込む、というフェーズだと考えております。
経営ステージ7:ネットワーク効果の増大による提供価値の向上(KPI=市場シェア)
コアセグメントからセグメント拡張をし、マス事業になった所で、規模の経済を効かせさらにスケールさせる事ができると、次はその「規模」に「ネットワーク効果」を意図的にもたらし、顧客の数やエンゲージメントが増えれば増える程、全顧客に対してより「提供価値」のレベルが向上していく仕組みを設計していきます。そもそもSNSやマッチングサービスのように「ネットワーク効果」が事業の構造として存在しているものももちろんあるので、その場合、さらに「ネットワーク効果」を最大化できるにはという観点で検討を進める事を意識する必要があると考えてます。
経営ステージ8:事業の向上・拡大・革新・拡張(=新しい柱)(KPI=企業価値)
ここまではいわゆる「単一事業セグメント」でした。その事業がいつか成熟期を迎え、成長率が鈍化するという前提に立ち、企業としては長期的に「企業価値」を伸ばしていけるかを考えていくフェーズにきます。AmazonでいえばAmazon Prime、Amazon Kindleのように既存プロダクトを革新させましたし、Amazon AWS、Amazon Ad、Amazon Fullfillmentのように「拡張=新しい柱」を作っていき企業価値を成長させ続けています。

経営者への個人的な強い想い 「才能と力を最大限発揮するために、無駄に焦らないで欲しい」
非連続な成長は各経営ステージの不確実性の連続的な検証の先にある(と信じている)
事業成長に対して課題を抱える経営者の方とお話すると、十中八九で2パターンの原因ですよね、と結論に至ります。
1つは「競争優位性」が作れていない、当初よりも競合がでてきて弱まっている。もう一つは「経営ステージ」を3-4個またいで施策を実行していて、どれもが形になりきっていないです。どの経営者の皆さまも「最大限」の努力をしているのにも関わらず、力を発揮しきれていない、そんな残念な事はありません。個人的な考えですが、不確実性の検証の連続的な成功の先にこそ、非連続な成長があると考えており、結果として「多角的な事ができている」というのが理想の姿だと考えております。積み木の土台がグラグラなのに、積み木を高く詰めないのと似ているなと考えております。
次回のNOTE
次回は各経営ステージ、それぞれをどんな考え方やフレームワークで登っていくのか、を紹介していきたいと思います!
最後にお願い
これは●●さんに役立ちそうだ!等 思って頂いたら是非シェアしてください!
社内で勉強会がしたいや経営伴走してほしい!等 ありましたら、下記より遠慮なくコンタクトください^^ (contact@maxeff.inc)